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    TESTAMENTとTEMPEST(そしてちょっとCHESSの話)〜映画『LIFE』解説3

    • 2018.07.10 Tuesday
    • 13:31

     

     

     

     

     

     

     

    さて、映画『LIFE(ライフ)』の登場人物解説3人目は、ジェイク・ギレンホール演じる「デビッド・ジョーダン医師」だ。

     

     

     

     

    1人目の「キャット司令官」は「ロシア皇帝エカテリーナ2世」と「アメリカン・ショートヘアー」だったね。

     

    詳しくはコチラで。

     

     

    そして2人目「ローリー・アダムズ飛行士」は「俺ちゃんデッドプール」と「アメリカ第2代大統領ジョン・アダムズ」だった…

     

    詳しくはコチラで。

     

     

     

    デヴィッドは、インタビュー・シーンではエアバイク漕いどったな。

     

     

     

    こんなやり取りが交わされていたね。

     

     

     

    キャット「こちらにいるジョーダン医師は、宇宙での連続滞在記録を塗り替えようとしています。現在は連続473日」

     

     

    すると、キャット司令官を鋭い質問で困らせた少年アラン君が、またもやナイスなツッコミを入れる。

     

     

    アラン君「きっとママは淋しがってるよ」

     

     

    ジョーダン「そうだね。でも僕にとって、ここにいる皆が家族なんだ」

     

     

     

    これがヒント?

     

    何の変哲もない普通の会話じゃんか。

     

    オイラたちを担ごうったって、そうはいかないぞ!

     

     

    せや。アランのツッコミの、どこが鋭いんや?

     

    アホも休み休みに言え。

     

     

    主よ、お許しください…

     

    この者たちは自分が何を言っているのかわからないのです…

     

     

    なぬ!?

     

     

    では単刀直入に言おう。

     

    アラン君は見抜いていたんだ…

     

    医師デビッド・ジョーダンのモデルが、イエス・キリストだということを…

     

     

    じ、ジーザス!?

     

     

    だって名前がそもそも「David Jordan(デビッド・ジョーダン)」だよ。

     

    「Jordan」とはヨルダン川沿岸地域のことだし、「David」とは「ダビデ王」のことだ。

     

    イエスは「ダビデの町」ベツレヘムで生まれ、福音書の中では何度も「ダビデの子」と表現される。

     

    新約聖書の巻頭、第1章第1節のフレーズは「アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図」というものだったよね?

     

    アブラハムからダビデまでが14代、ダビデから28代あとの子がイエスなんだ。

     

     

    ああ、そうだった…

     

    じゃあ地上で「寂しがってるママ」って、もしかして…

     

     

    マリアのことだね。

     

    そしてデビッド・ジョーダンは「ここ(宇宙ステーション)にいるクルーが僕にとっての家族だ」と答えた。

     

    これは『マタイによる福音書』第12章の引用だな。

     

    イエスは血の繋がった母や兄弟よりも、共に行動する弟子たちを「家族」と呼んだ。天の父の御心と共にある者を「真の家族」と考えたんだね…

     

    12:46 イエスがまだ群衆に話しておられるとき、その母と兄弟たちとが、イエスに話そうと思って外に立っていた

    12:47 それで、ある人がイエスに言った、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟がたが、あなたに話そうと思って、外に立っておられます」

    12:48 イエスは知らせてくれた者に答えて言われた、「わたしの母とは、だれのことか。わたしの兄弟とは、だれのことか」

    12:49 そして、弟子たちの方に手をさし伸べて言われた、「ごらんなさい。ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。

    12:50 天にいますわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」

     

     

    そっか…

     

    国際宇宙ステーションって「天」に浮かんでいるもんな…

     

    だからクルーが「家族」なんだ…

     

     

    そしてイエスもデビッド・ジョーダンも…

     

    長い間、地上世界を離れとる…

     

     

    うまいよね。僕はこの会話で大爆笑してしまった。

     

    さて、デビッド・ジョーダンが「母は淋しがってるけど、僕にはここに家族がいる」と言ったことに、ミランダ・ノース検疫官が口をはさむ。

     

     

    「確かに。子を失った母の辛さを何とも思わないような人たちがね…」

     

     

     

    わーい!オイラの大好きな綺麗なお姉さんレベッカ・ファーガソンだ!

     

     

    せやけど、かなりきっついツッコミやで…

     

    ミランダは何でこんなこと言うたんや?

     

    たまたまイライラしとっただけか?

     

     

    彼女のモデルとなった人物は2人いるんだけど、どちらも「母子の別れ」を経験していたからだよ。

     

     

    誰と誰!?

     

     

    まず一人目は「ミランダ」だ。

     

    またもや名前そのまんまだね。

     

     

     

    へ?まさかミランダ・カーじゃないよね?

     

    どちらのミランダさん!?

     

     

    ミランダとは、ウィリアム・シェイクスピアの最後の作品『テンペスト』に登場するヒロインの名前だよ。

     

    ミランダの父プロスペローは魔術に没頭するあまり、実の兄弟によってミラノ大公の座を追われた。

     

    そしてプロスペローは生まれたばかりの娘ミランダだけを連れて絶海の孤島に亡命する。その島でミランダは文明社会と隔離されたまま育ったんだ。

     

     

    ミランダ・ノース検疫官が「隔離」の専門家なのは、ここから来てるのか!

     

     

    ちなみに彼女が最後に宇宙空間に飛ばされちゃうのも『テンペスト』ネタなんだ。

     

    ミランダ・ノース検疫官はラスト前の場面で「父に会いたい」と言ったよね。あれが「死亡フラグ」だったんだよ。

     

     

    嘘コケ!

     

    今『テンペスト』のウィキ読んだけど、ラストは父プロスペローと一緒にイタリアに戻るハッピーエンドやんけ!

     

     

    違うんだな。

     

    ミランダ・ノースの「願い」が叶って、父プロスペローに会いに行ったんだよ…

     

    天王星のほうまで…

     

     

    て、天王星!?

     

     

    実は天王星には「プロスペロー」という名の衛星があるんだ。

     

    だから「父に会いたい」と言ったミランダ・ノースは宇宙空間へ飛ばされちゃったんだね。

     

    父のいる天王星めざして…

     

     

    マジかよ…

     

    あのアクシデントは必然だったのか…

     

     

    映画『LIFE』で起こることは、すべて必然だ。

     

    最初から「予定」されていたことなんだよ…

     

     

    ま、マジで!?

     

     

    実は地球外生命体カルビンって「予知能力」を持っているんだよね。

     

    ちょっと先のことが読めるんだ…

     

     

    そうだったの?

     

    映画ではそんなこと言及されてなかったけど…

     

     

    そこに気付けなかったから、あんな大惨事になったんだよね…

     

    ヒントは至る所にあったのに…

     

    このへんはカルビン紹介の回でゆっくり解説しよう。

     

     

    さて、ミランダ・ノース検疫官はあのアクシデントの前に、万が一の事態に備えてメッセージを録音していたよね?

     

    「地球外生命体カルビンは、これまで見たことも無い、想像を絶する生物だ…」って。

     

    これも『テンペスト』ネタなんだよ。

     

    ヒロインのミランダは、もの心ついた時から父プロスペローと二人っきりで、他の男性を見たことなかった。

     

    王族への復帰を画策するプロスペローは、宿敵ナポリ王の息子ファーディナンド王子の乗る船を魔術で遭難させ、自分の島に上陸させる。

     

    そして彼と娘のミランダをくっつけて、結婚させようと考えた。そうしたら自分は次期王妃の父として華々しい世界へカムバックできるからね。

     

    プロスペローは若い二人に「ひとめぼれ」の魔法をかける。

     

    これまで父親以外の男を見たことなかった上に魔法までかけられたミランダは、若く逞しい王子を見るや否や衝撃を受けた…

     

     

    「この世のものとは思われないわ…。生きているもので、これほど立派なものなんて見たことない…」

     

     

     

    アハハ!どっちのミランダも想像を絶する衝撃を受けたんだ!

     

     

    おい、ちょっと待てや…

     

    後者のミランダのセリフ、何か変やろ…

     

     

    ふふふ。

     

    「あとは若い二人で…」とばかりに洞窟の中の部屋で二人っきりにされたファーディナンド王子とミランダ。

     

    しばらくしてプロスペローは様子を覗きに行く。結ばれたかどうか気になって仕方がなかったんだ。

     

    そっと近付いて出入口の幕をめくってみると、ファーディナンドとミランダが「チェス」をしているのが見えた…

     

    ミランダ「あら、今のはごまかしよ」

     

    ファーディナンド「とんでもない、そんなことするもんですか」

     


     

    なぜにチェス?

     

    ひとめぼれ魔法をかけられた二人でしょ?

     

     

    ちぇ、チェスは隠語や!

     

    「CHESS」は「SECHS」のアナグラムになっとんのや!

     

    「SECHS(ゼックス)」とはドイツ語の「6」のことやけど、英語の「SEX」と発音がめっちゃ似とる…

     

     

    その通り。

     

    シェークスピアはストレートな性表現を避けて、アナグラムで「ごまかし」たんだよ。

     

    シェークスピアの分身でもあるプロスペローに覗かれた時のミランダとファーディナンドの会話は、メタ視点のギャグになってるんだ。

     

    わざわざ「CHESSしてた」なんてドイツ語のアナグラムで誤魔化さずに、はっきり「SEXしてた」と書けばいいのに…という自分自身に対するツッコミだね。

     

    これをカズオ・イシグロは短編集『夜想曲集』で引用したわけだ。

     

    第4話「Nocturne」ではやたらとチェスが連発される。しかも「メグ・ライアンにもらったチェス」だったよね。

     

    「MEG RYAN(メグ・ライアン)」は「GERMANY(ドイツ)」のアナグラムになっている。

     

    つまり「メグ・ライアンのチェス」とは「SECHSと読んでください」という意味だったんだ。

     

    だからホテルの部屋で熟年の男女が「チェス」ばかりしてたんだね(笑)

     

     

    シェイクスピアもカズオ・イシグロも、英国人って何でそんなにムッツリスケベなの!?

     

     

    英国人は関係あらへん…

     

    物書きなんちゅう生きモンは、万国共通、みんな変態や。

     

     

    笑えるね。

     

    さらに言うと『テンペスト』には謎の怪物が登場する。

     

    プロスペローとミランダ父娘が辿り着いた孤島に住んでいた魔物「Caliban」だ。

     

     

     

    きゃ、キャリバン!?

     

     

    宇宙刑事か。

     

     

    違うでしょ!

     

    名前が映画『LIFE』の怪物「Calvin(カルビン)」とよく似てるってこと!

     

     

    おお、せやな…

     

     

    しかも横たわったオッサンの「足」を美味しそうにペロペロ舐めてたじゃんか…

     

    カルビンも同じことしてたよね…

     

     

    せ、せ、せやった!

     

     

    実を言うとね、『テンペスト』と『LIFE』は、そっくりなシーンだらけなんだ。

     

    セリフもたくさん引用されてるんだよね…

     

     

    なんで!?

     

     

    『テンペスト』って、当時の新大陸ブームを背景に書かれたものなんだ。

     

    この頃、多くの野心家が新大陸で一旗揚げようと海を渡った。未開の地を拓いて、植民地として立ち上げに成功すれば、まさに一国一城の主になれるからね。植民地経営者は領主様、ちょっとした貴族みたいなもんだったんだよ。

     

    だけど失敗して帰ってくる者も多かった。

     

    シェイクスピアはそんな「敗者たち」から話を聞き、『テンペスト』の構想を練ったと言われている。

     

    海を渡り一発逆転を狙ったプロスペローのモデルは、新大陸へのチャレンジャーたちだったんだね。

     

    そして、シェイクスピアがモデルにしたと言われる人物が、あのメイフラワー号に乗っていた。

     

    アメリカ人の始祖と呼ばれる「ピルグリム・ファーザーズ」を新大陸に運んだメイフラワー号にね…

     

     

    ハァ!?

     

     

    シェイクスピアが『テンペスト』を書いたのが1610年頃。そしてピルグリム・ファーザーズがメイフラワー号で海を渡ったのが1620年のこと。

     

    ほぼ同時代の出来事なんだ。

     

    新天地アメリカに「神の国」を建てようと考えたピルグリム・ファーザーズたちは、信仰心は篤いけど「国造り」に関しては素人だった。

     

    インディアンの土地の中にゼロから作るわけだから、交渉のプロ、土木・設計のプロ、そして軍事のプロが必要になる。

     

    だから「助っ人」を連れていったんだね。メイフラワー号102人の乗員のうち、約半数がこれらの助っ人だったんだよ。

     

    その中にシェイクスピアが『テンペスト』のモデルにしたと言われている人物がいた。

     

    一度は植民地経営に失敗してるとはいえ、その経験はとても貴重だ。そこを買われて参加したんだろうね。

     

     

     

    やっぱりこっちにつながっていくんだな…

     

     

    『テンペスト』も、言ってみれば「エイリアン」の物語だからね。

     

    勝手に島にやって来た異邦人が、全く異質な文化をもつ先住民を支配しようとした。異邦人から見れば異文化の先住民は「エイリアン」だけど、先住民から見れば異邦人も「エイリアン」だ。

     

    これは『LIFE』の構図と全く同じだね。

     

    グロテスクに描かれるけれど、『テンペスト』の「Caliban」も『LIFE』の「Calvin」も、何も悪いことはしていない。

     

     

    どちらの物語でも、ある日人間が突然やって来て、「人間=親、先住民=子」という上下関係を押し付け、頼んでもないのに支配しようとしたことに対し、先住民としての自己防衛を行っただけに過ぎないんだ。

     

    ただ『テンペスト』の場合は、最後に人間は元いた世界へ帰って行き、先住民は奴隷状態から解放されるんだけどね…

     

     

    シェイクスピアが寓話的に描いたものを、『LIFE』はテーマをより先鋭化させて、視覚的にもリアルに描いたっちゅうわけか…

     

     

    ミランダ・ノース検疫官の「Miranda」の件はわかった…

     

    じゃあ苗字「North」は?

     

     

    こちらは「ノース卿」のことだろうね。

     

     

    Frederic North(1732-1792)

     

     

    ノース卿?誰それ!?

     

     

    アメリカ独立戦争時のイギリス首相だよ。

     

    イギリスの「アンダー・コントロール」にあると思っていた植民地政府が牙をむいた時、こんなことを叫んだと言われている…

     

     

    「なんという恐ろしいことだ…。このままではすべてが終わってしまう!」

     

     

     

    それミランダ・ノース検疫官の警告メッセージ(笑)

     

     

    笑えるよね。

     

    ノース卿は「アメリカを失った首相」として有名なんだ。

     

    これも「母子」の別れだよね。イギリスが「生みの親」で、植民地アメリカは「子」みたいなもんだから。

     

    というわけで、ミランダ・ノース検疫官のモデルは「シェイクスピア『テンペスト』のミランダ」と「英首相ノース卿」でした。

     

    だから彼女はイギリス人だったんだね。

     

     

    ねえねえ…

     

    さっき聞き忘れたんだけど、デビッド・ジョーダン医師が「アメリカ人」だった理由は?

     

    イエス・キリストはアメリカ人じゃないでしょ?

     

     

    そこはこの映画にとって重要なポイントだ。カルビンの回でたっぷり話すとしよう。

     

    ということで次回は残りの二人のクルー、我らが真田広之演じるショウ・ムラカミと、生物学者のヒューイ・デリーを紹介します。

     

     

    イギリス人やったヒューイは想像つくけど、日本人のショウ・ムラカミはわからんな…

     

    ピルグリム・ファーザーズにもアメリカ独立戦争にも日本人は絡まんやろ。

     

     

    ふふふ。乞うご期待。

     

     

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