カルビン、宇宙を渡る〜『ライフ』よもやま話1

  • 2018.07.06 Friday
  • 22:32

 

 

 

 

カルビン?ライフ?

 

なんだこれ?

 

 

これのことやろ。

 

「カルビン」っちゅうのは火星からお持ち帰りした謎の生命体に付けられた名前や。

 

 

 

その通り。

 

この映画について、どうしても言っておきたいことがあってね。

 

 

また「宇宙人もの」か…

 

この前『メッセージ』やったばかりじゃん。

 

『ARRIVAL(邦題:メッセージ)』解説3

「Youは何しに函館へ?」

 

 

あれ、超自信作だったんだけど、例によって反響が全然なくてね…

 

このままじゃ悔しいんで、まだ誰も気づいてない『LIFE』の秘密を暴いちゃおうと思った次第。

 

今度こそみんなを僕の才能の前に跪かせてやる。

 

 

動機の不純度120%やな…

 

 

これまだ2017年の映画じゃん。

 

例によって究極のネタバレ解説するんだろうけど、いいのかな…?

 

 

たぶんこの映画は「うわべのストーリー」だけ追っても、たいして面白くないと思うんだ。

 

キャストが無駄に豪華なB級SF映画にしか見えないだろうから…

 

でも本当はすっごく社会風刺が効いた物語なんだよ。

 

いや「すっごく」どころじゃない。実は超ヘビーなテーマの映画なんだ。

 

ぼくとしては、そこを踏まえてこの映画を多くの人に観てもらいたい。

 

確かに究極のネタバレなんだけど、この映画をフルに楽しむためのトリセツだと思ってくれたらいい…

 

 

そこまで言うか!よし、話を聞いてやろう!

 

 

この物語は、「未知の生命体」を含んだ土壌サンプルを採取した火星探査機が、地球へ戻る前に国際宇宙ステーションに寄るところから始まる。生命体の安全確認のためにね。

 

で、ここがこの映画の脚本家の天才的なところなんだけど…

 

この冒頭シーンで既に映画の「究極のネタバレ」がさりげなく提示されているんだ。

 

 

ハァ!?

 

 

この火星探査機の名前が「PILGRIM7」というんだよね。

 

「PILGRIM」とは「巡礼始祖」という意味だ。

 

1620年にメイフラワー号で大西洋を渡ってマサチューセッツに入植した人たちを「ピルグリム・ファーザーズ」と呼ぶことは学校で習ったでしょ?

 

 

うん、習った!

 

でも何で「巡礼始祖」なんだろう?別にアメリカまで巡礼に来たわけじゃないでしょ?

 

 

いや、彼らにとっては「聖地巡礼の旅」だったんだよ。正確に言えば「新しい聖地」だけどね。

 

ピルグリム・ファーザーズと呼ばれた彼らは、清教徒、いわゆるカルヴァン主義を掲げるピューリタンだった。しかもイングランド国教会からの独立を訴える「分離派」と呼ばれる急進的なグループだったんだね。

 

だからイギリス国内で厳しく弾圧され、ひとまずオランダに逃げた。だけどイギリスとは目と鼻の先なんでイギリスの官憲の手からは逃れられなかった。

 

そこで彼らは新世界アメリカへ渡ることを決意する。

 

でも今と違って非常に危険な旅だよね。船なんて簡単に沈没するし、運よく上陸できても先住民のインディアンに皆殺しにされることも珍しくなかった。

 

だから彼らは自分たちをこう奮い立たせたんだ…

 

「俺たちは現代のモーセだ!危険な海を渡ったモーセの再来だ!神に見捨てられたエジプトのようなイギリスを捨て、俺たちは約束の地を目指す!海の向こうの新世界アメリカこそ、新しいイスラエルなのだ!」

 

 

マジで?

 

 

だからアメリカがイギリスと独立戦争を始めた際に「国印を決めよう」ということになったんだけど、その第一候補が「海を渡ったモーセと、海に飲み込まれるファラオの軍勢」のデザインだったんだよ。

 

「神は我らが側にあり!イギリスに未来はない!」ってことだよね(笑)

 

 

うわあ…

 

あの大英帝国と戦争になって興奮してたのはわかるけど、その後の外交とか考えたらボツにして正解だったな…

 

トランプ政権である今のアメリカがこれを使ってたらシャレにならない…

 

 

まあそういうわけで、『ライフ』という映画が「ピルグリム・ファーザーズ」の物語をベースにしたものであることがわかってもらえたと思う。

 

 

いや、全然わからないし!

 

「ピルグリム」なんて探査機の名前は「いつか火星に移住できたらいいなあ」くらいのノリで付けられたかもじゃんか!

 

 

まったく疑い深いなあ…

 

僕が言ってるんだから間違いないのに。

 

 

その謎の自信も意味不明ですから!

 

 

じゃあ順を追って説明していくしかないね。

 

まずは登場人物から。

 

火星探査機が到着した国際宇宙ステーション(ISS)には6人のクルーがいた。

 

 

各人の名前、演者、職業、国籍も紹介しよう。

 

デヴィッド・ジョーダン(ジェイク・ギレンホール):医師、USA

 

ミランダ・ノース(レベッカ・ファーガソン):検疫官、UK

 

ヒュー・デリー(アリヨン・バカレ):宇宙生物学者、UK

 

エカテリーナ・”キャット”・ゴロヴキナ(オルガ・ディホヴィチナヤ):司令官、RUSSIA

 

ローリー・アダムズ(ライアン・レイノルズ):航空エンジニア、USA

 

ショウ・ムラカミ(真田広之):システムエンジニア、JAPAN

 

 

いつもはこんなに登場人物を詳しく紹介しないよね…

 

国籍とか、なんか意味あるの?

 

 

あるどころの騒ぎじゃないよ。

 

名前と国籍で「モデルとなった人物」がわかるようになっているんだ。そこが理解できて初めて「真のストーリー」が見えてくるようになっている。

 

 

ええ!?

 

モデル!?真のストーリー!?

 

 

映画作る人が、何も考えずにキャラクターの名前つけたり国籍決めたりすると思う?

 

脚本家のレット・リースとポール・ワーニック、そして監督のダニエル・エスピノーサを甘く見ないでほしいね。

 

もちろん、この僕のことも。

 

 

あんたのことはどうでもいいから、「モデルになった人物」と「真のストーリー」とやらを解説しろ!

 

 

はいはい…

 

じゃあまずはこの動画を見てもらおうかな。

 

この映画の「秘密を解き明かすキーワード」がテンコ盛りのシーンだ。

 

地球外生物の発見に沸く地球の人々…というか、事の重大さがイマイチわかってないアメリカの子供3人の質問に、宇宙飛行士たちが答えるシーンだね。

 

 

 

「他愛もない」を絵に描いたようなシーンやんけ。

 

 

そうだよ、どこが「秘密テンコ盛り」なの?

 

アメリカの子供たち平均知能低すぎでしょ(笑)

 

 

わざとバカっぽい質問にしてるんだよ。「キーワード」を仕込むためにね。

 

まずはアラン少年がキャット司令官にこんな質問をする。

 

 

「(エイリアンは)緑色ですか?」

 

 

 

何がキーワードやねん。緑の宇宙人とかベタ過ぎるやろ。

 

こんなしょーもないガキが何でアメリカ代表でテレビに出とるんや?

 

アホちゃうか、アメリカ人。

 

 

いや、アラン君はとんでもなく鋭い質問をしているんだよ。

 

アホなのはナンボクのほうだ。

 

 

なんやとォ!?

 

 

まあまあ…

 

いったいどうゆうことなのさ、おかえもん?


 

アラン君はキャット司令官の「正体」を無意識下で見抜いてるんだよ。

 

彼女、実は「緑色をしたエイリアン」なんだよね…

 

 

 

 

ハァ!?なに言ってんだよ!?

 

アタマ大丈夫か?

 

 

恐らく世界初公開になるだろう…

 

これがキャット司令官の本当の姿だ…

 

 

 

いや…ちょっと待って…

 

確かに「緑色」だけど、どう見ても「エイリアン」じゃないでしょ…

 

てかこの人、誰?

 

 

 

緑色の軍服に身を包む男装の麗人…

 

彼女の名は、ロシアの女帝、エカテリーナ2世…

 

 

あ、あの有名なチチョ…じゃなくてエカチェリーナ2世!?

 

 

この緑の軍服姿は、彼女がクーデターを指揮した時のもの…

 

夫である皇帝ピョートル3世に反旗を翻し、力ずくで退位させ、自分が女帝となった時のものだ…

 

だから国際宇宙ステーションでも、司令官が男性じゃなくて女性だったんだね。

 

キャットの本名も「エカテリーナ」だから。

 

 

でもクーデターまで起こす女帝だからといって「エイリアン」のわけがない!

 

大黒屋光太夫みたいに直接会ったわけじゃないから断言はできないけど、99.999%人間のはず!

 

 

人間なのは間違いないだろう。

 

でも彼女は「100%エイリアン」なんだ。

 

 

へ?

 

 

どうやら君たちは「エイリアン=宇宙人」だと勘違いしてるようだね。

 

そもそも「alien」って「外国人・異邦人」って意味なんだよ。外から来た人は皆「エイリアン」なんだ。

 

「宇宙人」なんて意味で使い始めたのは、ここ最近のことなんだよね。

 

 

そ、そうなの!?

 

 

せやった!

 

80年代にはスティングが「ワイは法の上ではエイリアン」って言うとったやんけ…

 

 

 

エカテリーナ2世は、父がプロイセンの軍人で、母がデンマーク系ドイツ人貴族というルター派キリスト教徒の両親のもとに生まれ、2歳からはユグノーのフランス人、つまりカルヴァン派の教師のもとで育てられた。生粋のプロテスタントなんだ。

 

15歳でロシアに渡りロシア正教に改宗するんだけど、彼女にはロシア人の血は流れていない。だからロシア国民からするとバリバリの「エイリアン」なんだよね。

 

まあ当時のヨーロッパの王室では、決して珍しいことじゃないんだけど。

 

 

そうゆうことか…

 

アラン、すまん。馬鹿にして…

 

 

まだまだアラン君の凄さをわかってないと思うよ。

 

実はあの質問って「ダブルミーニング」になっているんだ…

 

「(エイリアンは)緑色ですか?」って…

 

 

「(外から来た人は)カトリックですか?」

 

 

という意味でもあるんだよね。

 

 

な、なんで?

 

 

アイルランドの国旗を思い出してごらん。あの三色ってどんな意味だったっけ…

 

 

 

え〜と…

 

緑がカトリックで、白が中立・調和で…

 

オレンジがオランダのカルヴァン派プロテスタント…

 

あっ!

 

 

そういうこと。

 

アラン君は、火星探査機「ピルグリム」に運ばれて来た「エイリアン」を「緑色ですか?」と聞いた。

 

でもこれは「海を渡って来たピルグリム・ファーザーズはカトリックですか?」という意味でもあったんだね。

 

 

げげぇ!

 

 

ちなみに言っておくと、この映画での「火星」とは宗教改革の父「マルティン・ルター」のことでもあるんだ。

 

 

Martin Luther 1483-1546

 

「Martian(火星人)」と「Martin(マルティン)」って一文字違いだからね。

 

「火星の土壌」から「カルビン」が採取されたというのは…

 

「マルティン・ルターが耕した宗教改革の土壌」から「カルヴァン主義」が生まれたという意味になっているんだよ。

 

 

全盛期の桂歌丸ばりの切れ味だ…

 

山田君、座布団…

 

 

面白いよね。

 

そしてキャット司令官はアラン君に対し、こんな風に答えるんだ…

 

 

「それはね、肉眼では見えないの。とっても小さな細胞なのよ。でもね、あなたの体だって、それが無数に集まって出来たものなのよ」

 

 

 

普通に細胞の説明じゃないの?

 

 

違うんだな。

 

彼女はアレン君に「アメリカ人」を説明しているんだよ。

 

アメリカ人の始祖ピルグリム・ファーザーズはカルヴィン主義の急進派である「分離派」だったんで、カトリックやイギリス国教会みたいにピラミッド型の聖職や教会組織を持たなかった。

 

信徒の万人が平等で、それぞれのグループにも上下関係はなかったんだ。そして教会もカトリックと違って超シンプル。質素で町内の集会所みたいな感じだったんだね。

 

つまり「NO COLOR」だったわけだ。

 

だけどスピリットは強い。見た目の派手さはないけど、ひとりひとりの個がしっかり立っていて、いざという時の団結力も半端ない。

 

その目に見えないピルグリム・ファーザーズの細胞が「アメリカ人」の体の中にはある…ってことをキャット司令官は言っていたんだ。

 

 

なるほどな…

 

せやけどキャット司令官はロシア人やろ?

 

なんでアメリカを熱く語るんや?

 

 

いいところに気が付いたね。

 

実はキャット司令官には、もうひとつ「モデル」がいるんだ。

 

そっちで彼女は「アメリカン」なんだよ。

 

 

 

もう「ひとつ」のモデルがアメリカン?

 

もう「ひとり」じゃなくて?

 

てか「アメリカン」って「アメリカ人」と違うの?

 

 

そう。

 

キャット司令官は「ネコ」なんだ。キャットだけに。

 

 

ね、ネコやと!?

 

レベッカ・ファーガソン演じるミランダが「タチ」ってことか!?

 

 

いや、そういう意味じゃなくて。ホントの猫だ。

 

実はピルグリム・ファーザーズの船メイフラワー号には「猫」が搭乗していたんだよ。

 

当時船内にはネズミがたくさんいて、ただでさえ節約しなければならない食料を食い荒らしていたんだ。

 

だからヨーロッパから猫も載せて来たんだね。ネズミ退治のために。

 

そしてピルグリム・ファーザーズが産めよ増やせよ地に満ちよで「アメリカ人」になったように、その時の猫も負けじと繁殖して「アメリカン・ショートヘアー」になったというわけ

 

 

そうだったのか!

 

だからキャット司令官は「ショートヘアー」だったんだな(笑)

 

 

笑えるよね。

 

さて、キャット司令官の「アメリカ人論」にアラン少年は驚いてみせる。

 

そしてなかなかパンチのきいたセリフを吐くんだよ…

 

 

「僕の体の中にもエイリアンがいるってこと!?」

 

 

 

やるな、アラン。あいつ黒人やったさかいな。

 

おそらくピルグリム・ファーザーズの細胞は入っとらん。別ルートの「アメリカ人」や。

 

レニー・ブルースや全盛期のエディ・マーフィーばりにキレッキレの返しやで。

 

 

まだ動画のアタマ12秒しか解説してないのに、内容が濃過ぎる…

 

 

アラン君の予想外のマジ返しに、笑顔のままフリーズするキャット司令官。

 

うしろで作業をしてる振りして話をずっと聞いてたローリー・アダムスが、話を「表の筋」に戻そうと助け船を出す。

 

 

「君の先生も時々そう思ってるだろうな」

 

 

つまり、

 

「大人が答えに困るようなことを聞くんじゃねーぞ。マイノリティーだからって調子に乗るなよな…」ってことだね。

 

 

「俺ちゃん」にしては回りくどいツッコミや。

 

 

だよね。R指定じゃない映画だから遠慮してるのかもしれない。

 

しかも子供たちは無反応だった。つまり滑ったんだね…

 

微妙な空気を察したアナウンサーはすかさず話題を変える。

 

次はそのローリー・アダムスへの質問だ。

 

続きは次回の講釈で。

 

 

 

長期戦の予感だな…

 

 

 

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