『ライアー ライアー』解答編「誰が、嘘を、ついた?」〜暗闇キス事件の真相に迫る〜

 

 

 

 

 

では、「誰が嘘をついた?」事件の解答編を始めようか。

 

 

その前に、本編を未読の方はコチラを!

 

ジム・キャリーの『LIAR LIAR』

 

 

この映画は「ファミリー映画」とか「ハートウォーミング」とか形容されることが多いけど、そんな生易しいものじゃない…

 

真のテーマは「嘘の大切さ」だ。

 

「人が社会生活を送る上で、どれだけ嘘が重要な意味をもっているのか」ということを、ブラックユーモアを交えながら描いたオトナのファンタジー映画なんだよね。

 

「嘘を甘く見ていた男」と「嘘が嫌いな少年」が、それぞれ「嘘」の意味について考え、成長していく物語なんだ…

 

 

能書きはエエから、早よラストシーンの謎解きをせえ!

 

誰が嘘をついてるんや?どいつが犯人や!

 

 

ちょっと静かにしててくれないか、今泉君。

 

 

誰がハゲやねん!

 

 

まず、父と子のラストシーンに至るまでの心理状態をおさらいしよう。

 

 

ジム・キャリー演じるフレッチャーは「嘘を甘く見ている男」だ。

 

無意識のうちに口から「嘘」がポンポン出て来るタイプの人間だった。

 

職場内の人間関係や弁護士という職務においては、この性格が功を奏していたわけだ。

 

だけど妻オードリーと息子のマックスは、彼の「嘘」に傷付いていた。

 

オードリーに離婚されても特に反省の色を見せるでもなく、フレッチャーは以前と変わらないままだった。

 

そしてマックスの5歳の誕生日における「メイク・ア・ウィッシュ」で、一日だけ嘘がつけなくなる。

 

人間関係を円滑にするための「善い嘘」もつけなくなったので、大惨事の連続だったね…

 

 

だけど「嘘がつけない」お陰で、勝ち目が薄かった裁判で逆転勝利を飾ったぞ。

 

 

 

だけど非常に後味の悪いものとなった…

 

裁判には勝ったけど、弁護人の鬼嫁が二人の子供の親権を得ることになってしまったんだ。

 

大好きな父親から引き離される子供たちが可哀想だったよね。

 

この寓話的な法廷ドラマが訴えていることはひとつ…

 

「真実が常に正しいとは限らない」

 

ということだ。

 

 

おお…

 

 

フレッチャーは、隠されていた「年齢詐称」という真実を明らかにしてしまったせいで、ひとつの家族を不幸にしてしまった。

 

だから裁判官に「これは間違っている!」と抗議し、法廷侮辱罪で留置所送りになってしまったんだ。

 

この一連の描写から、彼が「何を悟った」のかが見えてくると思う…

 

それは…

 

中途半端な嘘は人を傷つける。嘘をつくなら徹底的につき通さなければならない。それが愛なんだ!

 

ということだ。

 

 

なるほどな。

 

あの裁判が長々と描かれるのは、この結論を導くためやったんか。

 

 

そしてボストンへ旅立つ元妻と息子を引き留めに空港へ向かう。

 

ここで重要なポイントは、母子と再会する直前に「メイク・ア・ウィッシュ」の効果が切れていたことだ。

 

この事実と法廷での「気づき」を踏まえると、フレッチャーが母子に対して語った言葉が非常に深い意味をもっていたことがわかるだろう。

 

 

元奥さんのオードリーには「正直でいることの素晴らしさがわかった」と言い…

 

マックス君には「お前だけには嘘はつかない。お前だけには正直でいよう」って言ったよね…

 

 

そして一年後、問題の夜を迎える…

 

 

 

なんだか、フレッチャーは嘘を言ってるような気がしてきたな…

 

 

次に息子マックスの心理状態を追ってみよう。

 

 

5歳の誕生日の夜8時15分、彼はケーキの蝋燭を吹き消す際に「メイク・ア・ウィッシュ」を行った。

 

その内容は「パパが一日だけでいいから嘘をつきませんように」というもの。

 

マックスは父フレッチャーの「嘘」に傷付いていた。

 

 

フレッチャーは、出来ひん約束も「出来る」と簡単に言ってもうて、挙句の果てに、そのことを自体を忘れてまうっちゅうことを繰り返しとったからな。

 

 

大事な裁判を控え、嘘がつけないと困るフレッチャーは、マックスの幼稚園を訪れ、こんなことを語る。

 

 

「オトナの世界には嘘が必要なんだ。世の中が本音ばかりになったら社会は成り立たない」

 

 

父の熱意に押されて渋々「メイク・ア・ウィッシュの取り消し」を承諾する。

 

ここでのマックスを演じる子役ジャスティン・クーパーの演技が実に素晴らしい。何とも「やりきれない」表情がよく出ているよね。

 

 

 

まさに「汚れちまった悲しみに」状態やな。

 

こうやって人は大人になっていくんやで。

 

 

だけど「アンウィッシュ」は成功しなかった。マックスは父にこう伝える。

 

「きのうは本気で願えたけど、これは本気になれない」

 

焦ったフレッチャーはこう詰め寄った。

 

「何言ってるんだ!みんな嘘をついてるんだぞ!ママも、お前のお気に入りのジェリーも!」

 

 

これに対してマックスは答える。

 

「パパの嘘だけが僕を傷つける…」

 

 

 

ん?ちょっと待って…

 

パパの嘘「だけ」?

 

 

よく気付いたね。そうなんだよ。

 

マックスは「母オードリーとその交際相手ジェリーも嘘をついている」というフレッチャーの指摘に、否定も反論もしなかった。

 

つまり二人の「偽善性」を、理解まではいかなくても、何となく肌で感じていたんだね。

 

そしてその「嘘」が「自分のためなんだ」と薄々わかっていたんだよ…

 

 

 

せやけど「パパの嘘だけには傷付く」っちゅうのは、どうゆうこっちゃねん?

 

 

まあ「いつも約束をすっぽかすから」といった単純な見方もできるけど、この映画の構造上、それはないよね。

 

この場面の後に、さっきの法廷での「気づき」が来るわけだから、このマックスの発言も「鍵」になっていることは間違いないだろう。

 

 

つまり、こういうことだ…

 

 

母オードリーやジェリーの嘘は「一生懸命な嘘」だった。「マックスのために温かい家族を作りたい」という意思とか目的が明確な嘘だよね。

 

特に母オードリーの場合、心底惚れているわけでもないジェリー相手に、一生懸命「愛のある関係」を演じていた。

 

かたやフレッチャーの嘘は「その場しのぎの嘘」だったんだ。気合が入ってない中途半端な嘘だ。

 

これがマックス少年を傷つけていたのだろう…

 

 

なるほど…

 

確かにあの裁判シーンにつながるな…

 

 

そして誕生日の翌日の夜8時45分。

 

「メイク・ア・ウィッシュ」から24時間と30分が過ぎていた。

 

空港で飛行機の離陸を阻止したフレッチャーは、マックスにこう語る。

 

「お前だけには嘘はつかない。お前だけには正直でいよう」

 

マックスはこの言葉を信じ、ボストン行きはキャンセルされた。

 

そして一年後、問題の夜を迎える…

 

 

「願掛け」の効果は無くなったから、フレッチャーは元の「嘘つき」に戻った可能性がある…

 

そしてマックス君も、嘘を完全否定してたんじゃなくて、中途半端な嘘を嫌っていたわけだから、彼も嘘をつく可能性はある…

 

 

 

誰が嘘をついていてもおかしくない状況だね…

 

まず事件の流れをまとめよう。

 

 

1)母オードリーが息子マックスに「メイク・ア・ウィッシュ」を促す

 

2)父フレッチャーが「一年前の悪夢の再現」を恐れて止める

 

3)オードリーが「そんなこと、また起きると思ってるの?」と笑う

 

4)マックスが蝋燭を吹き消して室内が暗くなる

 

5)マックスが灯りのスイッチを入れる

 

6)フレッチャーとオードリーによる「キス事件」発生

 

7)フレッチャーがマックスに「パパとママの復縁を願ったな?」と聞く

 

8)マックスは「願ったのはローラーブレード」と答える

 

9)フレッチャーが「アイアン・クロー」で母子を追いかける

 

 

 

やっぱり嘘をついたのはマックスってことになるのかな…

 

ホントは「二人の復縁」を願ったのに「ローラーブレード」と答えた…

 

 

せやけど、二時間ドラマの鉄則「頭ごなしに否定する人間は怪しい」も忘れたらアカン。

 

「そんなこと起こるわけがない」って言う奴ほどアヤシイんやで。

 

 

じゃあ犯人はママのオードリーってこと?

 

どうなの、おかえもん!

 

 

他にあのシーンで気付いたことはない?

 

 

他に気付いたこと?

 

そういえば…

 

5歳の誕生日は盛大だったのに、6歳の誕生日はかなり地味だった気がするな。

 

 

いいところに気付いたね。

 

この違いは「空白の一年間」を読み解く上で重要だ。非常に多くのことを物語っている…

 

 

 

ボードの文字が、超テキトー(笑)

 

しかも去年は飾りが豪華だし、風船もバースデー用の特別なものだった…

 

だけど今年の風船は、無地の普通のやつ…

 

 

去年は野球場のデコの「スペシャル・ケーキ」やったな。

 

せやけど今年は、周りにマーブルチョコがくっついとるだけの「不細工ケーキ」や。

 

 

オードリーの外見も全く別人みたいだよね。

 

5歳の誕生会の時は、かなりイケてる女だった。

 

だけど一年後は正直言って…

 

やつれてて、ちょっと貧乏臭くなっている…

 

 

ああ、確かに!

 

 

かなりの苦労の跡が見えるよね。この一年間、いろいろあったんだろう…

 

 

元夫であるフレッチャーは有名法律事務所を首になった。

 

さらに、滑走路に侵入し飛行機を止めたことで、裁判で大変な金額を支払ったに違いない。

 

個人事務所を立ち上げたけど、間違いなく収入は大幅減だ。

 

かつて渡されていた養育費も、ほとんど無くなってしまったはず…

 

 

それが「6歳の誕生日」の様子によく表れている。

 

 

ホンマや…

 

 

でも、どこか幸せそうに見える…

 

 

そうだね。

 

あの笑顔は「充足感」を感じさせる。そこだけが救いだ…

 

 

さて、一連の流れを詳しく分析しよう。

 

まずオードリーがマックスに「メイク・ア・ウィッシュ」を促した。そしてフレッチャーはビビッて止める。

 

 

 

嘘をつくことをやめたんなら、焦る必要ないのにね!

 

 

そういうわけにはいかないでしょ。何と言っても彼は弁護士なんだから。

 

次の日の仕事にも差し障りが出てしまうだろうし、この「親子水入らず」の状況下でも、何らかの「嘘」はついているはずだ。

 

まあ「嘘をついている」というより「本音を隠してる」と言ったほうがいいかもしれないけど…

 

 

本音を隠してる?どゆこと?

 

 

鈍いやっちゃな…

 

元嫁とヨリを戻して、もう一度やり直したいっちゅうことや…

 

 

ああ、そうか!

 

 

オードリーは「そんなことが、また起きると思ってるの?」と笑い飛ばす。

 

そしてマックスは蝋燭の火を吹き消し、部屋が真っ暗になる。

 

その時「チャララララ〜ン」と「何か」が起きた音がする。

 

 

あれ?5歳の時と違う…

 

 

せやな。

 

あん時は電気もついとったし、窓が開いとって、風みたいな「何か」が吹き込んでカーテンが大きく揺れた…

 

 

そうなんだよね。

 

おそらく、わざと違う描写にしてあるんだ。

 

「不思議な力」が起きたのか起きなかったのか、どちらにもとれるように…

 

 

どちらにもとれるように?

 

 

さて、部屋が真っ暗になり、マックスは「パパ?ママ?」と声をかける。

 

でも返事はない…

 

マックスは両親の「異変」を感じ、部屋の照明のスイッチを入れた。

 

するとフレッチャーとオードリーがキスをしてる最中だった…

 

 

 

やっぱりオードリーから行っとるな。完全に。

 

 

このキスシーンでのオードリーは、実に興味深いものがある。

 

唇を離した後の一連の表情や仕草が、何とも言えないんだ。何だか「切なさ」や「不安」が、こちらにもひしひしと伝わってくるんだよね。

 

その様子にフレッチャーは思わず見とれてしまうんだけど、その気持ちもよくわかる。

 

きっと彼女と初めてキスした時のことを思い出したんじゃないかな…

 

 

ジム・キャリーの派手な演技に隠れがちだけど、僕はオードリー役のモーラ・ティアニーの演技に、最大級の賛辞を送りたい。

 

 

確かにあの時のオードリーは、初めて恋した「乙女」のようになってたな!

 

 

オードリーはちょっと驚いた表情でマックスを見つめる。

 

そしてフレッチャーはニヤけながら「メァ〜ックス!」と呼ぶ。

 

 

フレッチャーはマックスに問いただす。

 

「パパとママの復縁をお願いしただろう?」

 

 

だけどマックスはこう答える。

 

「僕がお願いしたのは、ローラーブレードだよ…」

 

 

 

この表情、どっからどう見ても嘘ついてる顔やろ!

 

 

 

ちょっとというか、かなり硬い(笑)

 

 

たぶん彼にとって「初めての嘘」なんじゃないかな?

 

それをこんな重大局面で繰り出したんだ。大したもんだね、さすがフレッチャーの息子だ。

 

しかも咄嗟に「ローラーブレード」って答えるなんて洒落のセンスもいい。

 

山田君に座布団3枚お願いしたいレベルだよ。

 

 

しゃれ!?

 

ローラーブレードって、これのことでしょ?

 

 

 

 

そうなんだけど、実は「ローラーブレード」ってジョークにもなっているんだよね。

 

「roller」は「滑らかに進む・よく転がる」という意味で…

 

「blade」には「舌の先」という意味がある…

 

つまり「舌先が滑らかに転がる」だから「嘘をつく」って意味になってるんだ…

 

 

 

げげェ!

 

山田君!マックスに座布団MAXあげて!

 

 

まんまとやられたね。

 

「暗闇キス事件」の犯人は、やっぱりマックスだった。

 

彼は人間関係における「嘘の重要さ」を理解したんだ。

 

5歳の時は「オトナって不思議だな」くらいにしか思ってなかったけど、この一年間で成長したんだね…

 

 

父は「嘘をつくなら、つき通す」ということを学び…

 

息子は「嘘も時に必要なことがある」ということを学んだ…

 

この映画は、父と子の「嘘」を通した成長の物語や…

 

 

確かに「オトナのブラックユーモア」だね…

 

 

父と子だけじゃないよ。

 

マックスの「メイク・ア・ウィッシュ」が「魔法」になっていなかったと考えた場合、この「家族の再生劇」は母オードリーの「勇気ある行動」のお陰ということになる。

 

自分から言い出して離婚したのに、自分から行動して復縁するなんてこと、普通は恥ずかしいよね。

 

しかもそのせいで元夫の弁護士人生は狂い、生活レベルも格段に下がってしまったんだ。

 

でも彼女はフレッチャーを支え続けた。彼女もまた成長したんだ。

 

 

なるほど、確かに!

 

 

そしてフレッチャーの腕が震え始める。

 

彼の十八番「The Claw(アイアン・クロー)」の登場だ。

 

 

 

あれ?オードリーが…

 

 

めっちゃノリノリやんけ。

 

 

そう。

 

これまで二度の「The Claw」シーンでは、オードリーは冷めた対応をしていた。フレッチャーが「冷たくて死にそう」と言うくらいに。

 

だけど三度目でようやく本来の姿に戻ったんだ。

 

マックスよりもマジで怖がって、我先にと逃げていたからね…

 

 

 

この遊びが好きだったのは、実はマックスよりもオードリーだったんじゃね?

 

 

きっとそうだろうね。

 

だから空港でジェリーが真似した時に不快になったんだ。

 

彼女はずっと「The Claw」遊びをやりたかったんだよ。

 

だけど自分から離婚してしまった手前、素直になれなかったんだね。だからあんな風に喜びが爆発したわけだ。

 

彼女の一年間の「苦労」が報われたというものだね…

 

 

 

・・・・・

 

 

いやその…

 

「Claw」と「苦労」はどっちも「クロウ」だから…

 

 

これがオチ?

 

 

僕もローラーブレード欲しいかも。

 

 

 

 

 

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