コーエン兄弟『バートン・フィンク』徹底解剖25「あんたらマンハッタンに何しはったん?」

  • 2018.05.18 Friday
  • 21:08

 

 

 

 

 

 

さて、いよいよ映画も大詰めだ。

 

今回の解説は「ギデオンズ聖書」と「ロス市警の刑事」の登場シーンだね。

 

 

前回を未読の方はコチラ!

 

第24回「BOX 〜箱〜」

 

 

前回紹介したチャーリーとバートンの会話シーンは、この映画についての「暴露大会」だった。

 

コーエン兄弟は「タネ明かし」になるジョークをこれでもかと連発させた。バートン・フィンクを演じるジョン・タトゥーロが噴き出しちゃうくらいに。

 

 

それでも気付かん人に向けた「究極のタネ明かし」が…

 

 

机の引き出しから出て来た「ギデオンズ聖書」だ。

 

もう「タネ明かし」というより「答え」だよね。

 

 

 

ホテルの部屋の引き出しに、いつも入ってるやつだ。

 

 

「ギデオンズ」は、ホテルや学校や軍隊や刑務所など、公共の場における聖書の無料配布が目的の団体だからね。

 

 

バートンが「盗み聞き」した時のポーズの元ネタでもあったな(笑)

 

 

 

そうだったね。あれは笑えた…

 

 

さて、バートンはまず『ダニエル書』を開く。

 

『ダニエル書』とはユダヤの国を滅ぼしたバビロニアの王ネブカドネザルと預言者ダニエルの「夢」がテーマの物語だったね。

 

バートンはたまたま開いたページを見て呆然とする…

 

 

 

ワシの見た夢を翻訳せえ。もし出来へんかったら、指どころか全身切り刻むぞワレ。己らの命より大事な幕屋も、糞溜めにブチ込んで畑の肥やしにしたる…

 

 

こわ…

 

 

W.P.メイヒューとオードリーとバートンによる「妄想ピクニック」では、W.P.の著書『ネブカドネザル』が出て来た。

 

さらに「manure(糞尿・肥やし)に飲み込まれる」というフレーズがキーワードだった。

 

そしてバートンが偶然開いたページにある「dunghill」も「糞尿・肥やし」って意味の言葉なんだよね。

 

だからバートンは呆然としたんだ。

 

 

なるほど!

 

 

呆然自失状態のバートンは別のページを開く。

 

開いた場所は『創世記』。しかしそこに書かれていたものは…

 

 

 

バートンの書いたレスリング映画の冒頭シーン!

 

 

ここで映画『バートン・フィンク』の「カラクリ」が誰の目にも明らかになる。

 

この映画で描かれていたことが、すべて聖書をなぞらえたものであるということがね…

 

 

ねえねえ、おかえもん!

 

「Manhattan's Lower East Side」って書いてあるよ!

 

おかえもんは「バートンの脚本では、一言もニューヨークとは言及されない」って言ってたよね!

 

でもマンハッタンって書いてあるじゃん!

 

 

コーエン兄弟と僕を甘く見ないで欲しいな。

 

この「マンハッタン」とはニューヨークのことではないんだ。

 

「イエス・キリスト」って意味なんだよ。

 

 

ハァ!?

 

 

「マンハッタン」とは、インディアンのデラウェア部族語「Mannahate(丘の多い島)」が英語化したものだ…

 

これが「Manna・hate」とも読めるんだよね。

 

 

マナ…ヘイト?

 

 

「Manna(マナ)」とは、モーセに率いられてエジプトを脱出した人々が、約束の地カナンへ辿り着くまでに荒野で飢えをしのいだ不思議な食べ物のことだ…

 

 

それぐらい知ってるよ!

 

なんでそれが「hate(ヘイト)」なんだ!?

 

 

『ヨハネによる福音書』第6章で、イエスは「今すぐマナをくれ!」と要求する人々に対し「マナを糧とする人は死ぬ」と語るんだ。

 

6:48 わたしは命のパンである。

6:49 あなたがたの先祖は荒野でマナを食べたが、死んでしまった。

6:50 しかし、天から下ってきたパンを食べる人は、決して死ぬことはない。

6:51 わたしは天から下ってきた生きたパンである。それを食べる者は、いつまでも生きるであろう。わたしが与えるパンは、世の命のために与えるわたしの肉である

 

 

うわあ…

 

まさに「Manna hate」…

 

 

だから「Manhattan's Lower East Side」とは、「マナを要求する人を否定したイエス・キリストが降誕したベツレヘム」という意味だったんだよ。

 

 

マジかよ…

 

英語でググっても、どこにも書いてないぞ…

 

おかえもんの深読みなんじゃないのか?

 

 

僕は別に自説を他人に強要はしない。

 

Twitterで何度も自分の記事をリツイートするけど、それを読むのは各人の自由だ。

 

だから、信じるも信じないも、あなた次第…

 

 

そんなふうに余裕見せられると、なんだかホントっぽく思えてきた…

 

 

さて、コーエン兄弟は「レスリング映画のシナリオ」と「聖書」を重ねて見せるという荒業を繰り出して観客を唖然とさせたあとに、爆笑シーンを用意した。

 

電話の呼び鈴が「二度」鳴り響き、シーンはエレベーターの中に移る…

 

 

 

キタ!否認フラグや!

 

 

「二度鳴る」ベルが、鶏の鳴き声のことだったんだ!

 

だからこのエレベーター係のおじいちゃんは「ピーター」って名前だったんだね!

 

初代教皇になった使徒ピーター(ペトロ)が、地上世界と天界を結ぶエレベーターの案内係だったとは、お釈迦さまでも気がつくめえ(笑)

 

 

当時の劇場内では「待ってました!」って感じだったろうね。

 

皆の期待を背に、バートンは口を開く…

 

 

「ピート…。君は聖書を読んだことある?」

 

 

振り返ることなくピーターは答えた。

 

 

「聖書…?さあ、どうでしたか…。聞いたことは間違いなくあるのですが…」

 

 

 

巧い!

 

ただ否認するんじゃオモロないからな。

 

 

使徒ペトロは聖書を読んだことはない。だけど直接イエスの言葉を聴いていた。

 

 

ホントうまいよね、コーエン兄弟は。

 

次の「ロス警察の刑事による聞き込み」シーンも最高なんだ。

 

 

イタリア系とドイツ系の名前のデカやな。いかにもファシスト風情の二人組やったで!

 

 

あの名前も、ほとんどの人が「誤読」してるんだよね。

 

 

なぬ!?

 

 

続きは次回の講釈で。

 

 

 

 

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