エピローグ第26話:あなたのキスを忘れましょう『THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI(スリー・ビルボード)』徹底解剖

  • 2019.02.27 Wednesday
  • 08:09

 

 

 

 

 

そして『あなたのキスを数えましょう』の「キスを捜す」2番のサビが終わると、3番には行かず「第3のサビ」へと続く…

 

これもそのまま『スリー・ビルボード』で再現されているんだよ…

 

「第3のサビ」の主人公は「キスを忘れたい人物」だ…

 

 

ちなみに2番『あなたのキスを捜しましょう』を未読の人はコチラをどうぞ!

 

 

 

最後は「あなたのキスを忘れましょう」か…

 

まずは《深詠み映像》を確認やな。

 

 

 

ゲホッ…ゲホッ…ゲホッ…ゲホッ…

 

ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…

 

 

だいじょぶ、マーティン?

 

なんか乾いた息をきらして…

 

 

さ、酒だ!酒をよこせ!

 

 

もうウォッカは空や…

 

お前がウォッカ・マティーニにして全部飲んでもうた…

 

あとは、この赤ワインしか残っとらん…

 

 

それでいい!瓶ごとよこせ!

 

ゴクゴクゴク…

 

 

ワインをラッパ飲みしてるよ…

 

大丈夫かなあ…

 

 

さて、もう気付いてるかもしれないけど…

 

映画『スリー・ビルボード』において「第3のサビ」は、

 

「肉体的苦痛以上に精神的に追い詰められ、最後は自殺を選んだウィロビー」

 

として再現された…

 

 

精神的に?

 

 

ウィロビーは余命数ヶ月の末期癌だったけど、肉体的にはそれほど苦しそうに見えなかった…

 

 

あんときくらいやな、弱った表情を見せたのは。

 

 

 

確かにミルドレッドの顔面に吐血した時は「弱った姿」を見せたけど、あれは肉体的に衰弱した姿ではない…

 

「ミルドレッドの娘アンジェラの顔面にも同じように吐血した」という過去の記憶がよみがえったから、激しく動揺していたんだ…

 

だから吐血後のウィロビーは、ミルドレッドに対し「あれはわざとじゃなかったんだ…」と、怯えながら謝るように弁解を繰り返したんだよ…

 

 

ウィロビーを精神的に追い詰めていたのは「キス」ね…

 

死の直前に交わしたアンジェラとの「濃厚なキス」…

 

 

その通り。

 

アンジェラの遺体を徹底的に焼いて「自分に結び付く証拠」を消したにもかかわらず、遺体からは「犯人のDNA」が検出された…

 

ウィロビーは証拠隠滅を図る際、重大なことを見落としていたんだ。

 

目に見える「体の表面」ばかりに気を取られていて「口の中」を忘れていたんだよ。

 

「濃厚なキス」で自分の唾液がアンジェラの口の中にたっぷり残っていたというのに…

 

 

だからDNAが検出された時は、かなり焦ったはずだ。

 

 

それで最期の日まで奥さんともキスをしなかったんだね…

 

あのアンジェラとのキスを思い出してしまうから…

 

 

そりゃキス恐怖症にもなるわ…

 

 

ウィロビーは最後の夜、妻アンへキスする前に、自分の娘の額に「おやすみのキス」をした…

 

だけど、キスしてすぐに、その場所を手で拭くような動作をするんだ…

 

あれもキス恐怖症の影響だろう…

 

無意識の中で「キスの跡を消さなきゃ」という意識が働いてしまったんだよ…

 

 

 

 

あれは「よしよし」の「なでなで」じゃないの?

 

 

そんな「ありきたり」なことを、わざわざ意味有り気な構図で観客に見せるかな?

 

しかもウィロビーにとって「おでこ」といえば、「アンジェラへの吐血」を想起させる場所でもある…

 

「娘の額にキス」という「なんてことない描写」にも、深い意味がこめられているんだ…

 

 

なるほど…

 

 

しかも娘のセリフ「ママは酔ったの?」は『福音書』や『使徒行伝』へのオマージュにもなっている。

 

聖書でイエスや弟子たちが聖霊に満たされ何かを語る時、疑い深い人たちは「あの人は酒に酔っているのだろう」と突っ込むのがお約束になっているからね…

 

ママであるアンにはアンジェラの霊が入っていた。そしてアンジェラにはイエスが投影されていた。

 

だから「ママは酔ったの?」は完璧なセリフなんだ。

 

そんなことにも気づけないようじゃ、一人前の深読み探偵にはなれないぞ…

 

 

何だかよくわからないけど、マーティン・マクドナーって人は、いろんなことを考えながらこの映画を作ったんだね…

 

 

ハア…ハア…ハア…

 

 

遺体の口の中からDNAが検出されたことにより、ウィロビーは「アンジェラと交わしたキス」が頭から離れなくなってしまった…

 

 

きっと…

 

どんなに忘れようとしても、生々しい記憶がよみがえって来て、切なく苦しい日々を送っていたに違いないわ…

 

 

夜も眠れないほどに…

 

 

 

・・・・・

 

 

そして、そんな時って、こんなふうに考えてしまうのよね…

 

「その人を嫌いになってしまえれば楽なのに」って…

 

 

だけどそれもできない…

 

 

なぜなら…

 

 

その人のことを、今でも愛しているから…

 

 

 

私には…

 

痛いほどわかる…

 

 

 

なんでお前が泣くんや?

 

感情移入し過ぎやで…

 

 

・・・・・

 

いま花笠君が語ってくれた「ウィロビーの想い」は、「第3のサビ」そのものだと言える。

 

ウィロビーは「アンジェラとのキス」を忘れたかった…

 

だけど「愛する人とのキス」だから、忘れられなかった…

 

だから最終的に「静かに眠る」ことを選んだんだ…

 

あなたのキスを忘れましょう

嫌いになって、楽になって

夜を静かに眠りたい

I'm alone and you were mine...

 

 

 

見事な流れや。完璧やな…

 

お疲れさん。

 

 

まだこれで終わりじゃないんだよ…

 

『あなたのキスを数えましょう』には、とても感情的で悲しい「Cメロ」がある…

 

マーティン・マクドナーはこの「Cメロ」も『スリー・ビルボード』の中で再現した…

 

ウィロビーが書いた「愛する人への置手紙」という形で…

 

 

ええ!?

 

 

そして「ウィロビーがアンジェラの顔面に吐血して、その跡を消すために燃やす」というアイデアも、『あなたのキスを数えましょう』から取られているんだ…

 

 

ハァ!?

 

そんな歌詞あったか!?

 

 

歌詞じゃなくて、ミュージックビデオの演出の中にある…

 

《深詠み映像》をよく見てごらん…

 

「第3のサビ」から「Cメロ」に移る瞬間に…

 

「黒い帽子の男」が「黒い革ジャンの女」に「血」を吐くんだ…

 

 

 

確かに「男から女」へ「赤いもの」が飛び散ってたように見えたけど、早過ぎてよくわからないな…

 

スロー再生してみよう…

 

 

ヤ、ヤメロ…

 

ゴボッ…ゴボッ…ゴボッ…

 

 

なんてこと…

 

まさにこれは、ウィロビーによるアンジェラへの吐血そのものじゃないの…

 

 

 

 

うわあーーーー!

 

 

そして「黒い革ジャン」のあとに…

 

 

ブハッ!

 

 

!?

 

 

マ、マーティンも吐血した!

 

 

いや、違う…

 

この臭いは赤ワインだね…

 

さっき一気飲みしたから…

 

 

わ、わざとじゃなかったんだ…

 

 

いいの…わかってる…

 

ところで、さっき言いかけたことだけど…

 

Cメロでの「歌う女」は「黒い革ジャン」と「赤い服」の姿が交互に描かれる…

 

これもまさにアンジェラそのものね…

 

 

 

その通りだ、花笠君…

 

アンジェラの「そもそものモデル」は、チェーホフ『狩場の悲劇』のヒロイン「赤い服の女オリガ」なんだけど、そこには「黒い革ジャン」という要素は無かった…

 

「黒い革ジャン」は『あなたのキスを数えましょう』からのアイデアだったんだよ…

 

『狩場の悲劇』と『あなたのキスを数えましょう』のヒロインが融合して「赤いインナーの上に黒い革ジャンを羽織るアンジェラ」というキャラクターが完成したんだね…

 

 

なるほど!そうゆうことだったのか!

 

 

クソッ…ハア…ハア…

 

 

それでは…

 

「Cメロの歌詞」と「ウィロビーの置き手紙」の関係について話そう…

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

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