「スカイラーク」後篇(SKYLARK)〜ジョニー・マーサー徹底解剖9

  • 2018.11.08 Thursday
  • 00:16

 

 

 

 

 

さて、トイレも行ったしドリンクバーもとってきたし、準備万端だ。

 

もし前篇を未読の人がいたら、急いで読んでおいたほうがいいよ。

 

ジョニー・マーサー『SKYLARK(ひばり)』前篇

 

 

いらんかもしれんけど、登場人物紹介いちおう作っといたで。

 

 

 

なんだよコレ。

 

 

さて、準備はいいかな?

 

ジョニー・マーサーの代表曲中の代表曲『SKYLARK(スカイラーク)』の歌詞を解説するよ。

 

まず改めて歌を聴いてもらおうか…

 

 

待てぇ!ワイお薦めのタイン・アンジェラで行こか!

 

超イロっぽいで!

 

 

 

わお!せ〜くすぃ〜!

 

これぞ真夜中のジャズって感じ!

 

 

でもやっぱりこの歌は男性が歌ったほうが「本来の形」だな。

 

ということでオーストラリアのRai Thistlethwayteの弾き語りをどうぞ。

 

 

 

 

ライ・シスルレスウェイツ…

 

発音、難し過ぎ…

 

 

彼の名前はどうやって日本語にしたらいいのか僕にもわからない。

 

こちらのサイトで発音を確認してみてね。

 

各言語での読み方も大変そうなんだ。オランダ語とかドイツ語なんて、何言ってるんだかサッパリわからない…

 

だから彼は「Sun Rai」という名でも活動している。

 

 

そのほうが助かるな。

 

 

さて、この『スカイラーク』の曲自体は、名曲『スターダスト』でお馴染みの天才作曲家ホーギー・カーマイケルが、若くして亡くなった天才トランぺッター「ビックス・バイダーベック」の生涯を描いたミュージカルのために作ったものだ。

 

だけどミュージカルの企画が流れてしまい、カーマイケルはジョニー・マーサーに「何か好きな詞をつけていいよ」と手渡した。

 

それは1941年のこと。

 

つまり妻帯者ジョニー・マーサーが、国民的歌姫ジュディ・ガーランドとの「秘めたる関係」に悩んでいたと言われる頃のことだ…

 

 

おお!またドキドキの展開!

 

 

ジョニー・マーサーの頭の中は「ジュディ」のことでいっぱいだった…

 

だけどそれは禁断の愛…

 

今は有名人の不倫なんて掃いて捨てるほどありふれたニュースだけど、この当時は「その重み」が違う…

 

世間に知れてしまったら「人間失格」の烙印を押され、本当に社会的に抹殺されてしまうものだったんだ…

 

 

せやからハリウッドにはプロの「揉み消し屋」がおったんやな。

 

コーエン兄弟『ヘイル、シーザー!』のジョシュ・ブローリンみたいに…

 

 

 

だね。

 

さて、実はこの歌、ジョニー・マーサーの手により歌詞が何度も改変されている…

 

僕なりにその理由を考えてみたんだけど、やはりそれは「ジュディ絡み」としか思えない…

 

 

なぜそう決めつける?

 

 

ホーギー・カーマイケルが「喪失」をイメージして作った曲だけに、歌詞を考えるジョニー・マーサーの頭の中からジュディのことが離れなかったことは想像に難くない…

 

こんな切ないメロディを聞いたら、しょうがないよね…

 

だからジョニー・マーサーは「ジュディ・ロス」をストレートに歌にした…

 

だけどあまりにもストレート過ぎたので、歌詞を何度も書き換えることになったんだ…

 

たぶん最初はもっと「最愛の歌姫を失う喪失感」が描かれた歌詞だったんだろう…

 

 

なるほど…

 

もっと具体的に切ない歌だったというわけか。

 

 

だと思うんだ。

 

でなきゃ何度も歌詞を書き替える理由が見当たらない。

 

「これだとバレるかも…」ってジョニー・マーサーは思ったんじゃないかな?

 

というわけで、現在歌われているバージョンでの歌詞を見てみよう。

 

まずは1番から…

 

Skylark
Have you anything to say to me?
Won't you tell me where my love can be?
Is there a meadow in the mist
Where someone's waiting to be kissed?

 

ヒバリよ

僕に何か言うことがあるよね?

教えてくれてもいいだろう

僕のこの愛はどうしたらいい?

それとも霧に包まれた緑の牧場で

誰かが君の口づけを待っているとでも?

 

 

 

いきなり、めっちゃ切ないな。

 

 

せやけど何で「霧に包まれた緑の牧場」なんや?

 

 

ジョニー・マーサーは、最愛の女性ジュディ・ガーランドが「飛んで行った先」のことを歌っているんだ。

 

どこだったか覚えてる?

 

 

わずか2カ月前に先妻と離婚したばかりだったDavid Rose(デヴィッド・ローズ)氏!

 

David Rose & Judy Garland (1941年7月〜)

 

 

せやから、なんで「霧に包まれた緑の牧場」が「デヴィッド・ローズ」なんやねん?

 

 

実はこの歌詞って、旧約聖書『詩篇』第23篇(Psalm 23)の引用なんだよ。

 

 

また詩篇23!?

 

 

The Lord is my shepherd; I shall not want.

He causes me to lie down in green pastures;

He leads me beside still waters.

He leads me in paths of righteousness for His name’s sake.

 

主は私の羊飼い。私は求めることがありません。

主は私を緑の牧場に横たえ、水のほとりへ導きます。

主は私を義の小路へ導きます。主の名のために。

 

詩篇23では冒頭で「求めない姿勢」が歌われ、続いて「緑の牧場と水が与えられること」が歌われる。

 

そして「小路」というのは「バージンロード」を指しているね。

 

Rose(ローズ氏)とLord's(主)が掛けられているんだ。ジュディが結婚式で歩くバージンロードのことだね。

 

これが『SKYLARK』の1番になってるわけだ。

 

ジョニー・マーサーは「ヒバリ」をこれ以上求めないことにした…

 

だけど、どうしても「ヒバリ」の口から直接聞きたいことがあったんだ…

 

「行き先」である「霧に包まれた緑の牧場」についてを、ね…

 

だから詩篇第23篇を引用した…

 

「waters(水分)」を「mist(霧)」に言い換えて…

 

 

なるほど…

 

アメリカ人ってホントに好きなんだな、詩篇23を…

 

 

ねえ、僕の名前を連呼しないでって言ったよね?

 

 

い、いえ…うちらじゃありません…

 

連呼したのは、このオッサンです…

 

 

ぼくを、おこらせたな。

 

 

ごめんごめん。

 

でもあなたのことじゃないんだ。

 

お詫びに、このチキンのガーリックソテーを注文しようかな。

 

 

別にそれで僕の時給が上がるわけじゃないんだけどね。まったく…

 

 

やれやれ、とんだ邪魔が入ってしまった。

 

 

あんたが入れたんだろ!

 

 

さて『スカイラーク』に戻ろうか…

 

ちょっと思い出してほしいことがあるんだ。

 

詩篇23のタイトルは何だったっけ?

 

 

詩篇23のタイトルぅ?

 

 

あ!

 

ダ、ダビデの賛歌…

 

A song of David…

 


そういうこと。

 

ジョニー・マーサーが「詩篇23ダビデの賛歌」を基にして『スカイラーク』の歌詞を書いたのは、ジュディ・ガーランドの結婚相手デヴィッド・ローズ氏のことを想起させるためだったんだね。

 

そして「David Rose」って名前は「David Lord's(主のダビデ)」にも聞こえるからね。

 

ジュディは「Lord's 夫人」になったとも言える…

 

 

うひゃ〜

 

 

では2番を見てみよう。

 

Skylark
Have you seen a valley green with spring
Where my heart can go a-journeying
Over the shadows and the rain
To a blossom covered lane?

 

ヒバリよ

春の芽吹きに覆われた谷を見たかい?

僕の心が体を離れて天高く飛び立ち

雨降る死の陰の谷を越えて辿り着いた

花に覆われたあの谷を

 

 

 

「over the shadows」って「over the rainbow」の駄洒落かな?

 

 

だね。

 

そして2番も詩篇23の続きになってるんだ。

 

Even when I walk in the valley of darkness,

I will fear no evil for You are with me;

Your rod and Your staff, they comfort me.

 

たとえ死の陰の谷を歩むとも

あなたと共にあるならば

私は恐れることはありません

あなたの裁きの杖が私を慰め癒すから

 


ほぼ「そのまんま」やんけ!

 

 

まさに「そのまんま」なんだよ(笑)

 

そして例によってCメロは「読解のヒント」になっている。

 

ここで「スカイラーク」が「ジュディ・ガーランド」であることを臭わせるんだね。

 

And in your lonely flight
Haven't you heard the music of the night?
Wonderful music, faint as a will o' the wisp
Crazy as a loon
Sad as a gypsy serenading the moon

 

君の孤独な旅の途中で

あの「夜の調べ」を聞かなかったのかい?

君は素晴らしいと言ってたじゃないか

気絶するほど、気が狂いそうなほどって

月夜にジプシーが歌うセレナーデみたいに悲しいって

 

 

 

「スカイラーク」が聴いたはずの「the music of the night(夜の調べ)」って、もしや…

 

『Blues in The Night(夜のブルース)』のこと…?

 

 

その通り。

 

ジョニー・マーサーは『Blues in The Night』を完成させた夜に、ディナーパーティーの席でさっそくお披露目を行った。

 

その時ジュディ・ガーランドは、感動のあまりこう言ったんだよね。

 

「お願い、もう1回聴かせて…」

 

 

『Blues in The Night(夜のブルース)』後篇

 

 

そんで「ジプシー」といえば『オズの魔法使い』やな…

 

 

 

ちなみに『オズの魔法使い』も「詩篇23ダビデの賛歌」が元ネタになっている。

 

Even though I walk through the valley of the shadow of death,
I will fear no evil; for You are with me;
Your rod and Your staff, they comfort me.

You prepare a table before me in the presence of my enemies;
You anoint my head with oil;

 

ここに「I will fear no evil」「your rod and your staff」「you anoint my head with oil」という言葉があるよね?

 

 

ああ!

 

「臆病ライオン」と「詰め物のカカシ」と「錆びたブリキ」のことじゃんか!

 

「staff(杖)」が「stuff(詰め物)」の駄洒落になってるんだ!

 

 

 

このように「Psalm 23(詩篇23ダビデの賛歌)」は、さまざまな作品の元ネタになっている。

 

特にアメリカ人はこの「PS23」が大好きなんだ。

 

だからジョニー・マーサーもこっそり引用した。

 

まあ世間の目は誤魔化せても、僕の目は誤魔化せないよね。

 

でも「四分の三世紀」も人々を欺けたんだから、ジョニー・マーサーとしては大成功だったのかもしれないな。

 

さて、最後に3番を見てみよう。

 

Skylark
I don't know if you can find these things
But my heart is riding on your wings
So if you see them anywhere
Won't you lead me there

 

ヒバリよ

君がこの歌の本当の意味に気づくかどうか

僕にはわからない

だけど僕の心は君の翼に乗って天高く舞う

そしてもしいつかどこかで気づいたなら

僕もそこに連れてってくれるかな?

 

 

 

「僕の言ってることに気付くかな?」って自分で言うとるやんけ…

 

 

そうなんだよね。

 

よく歌詞を読めば、ちゃんと意味がわかるようになってるんだ。

 

そして「僕の心はいつも君と共にある。いつか君のもとへ導いてほしい」と歌われる。

 

これは『オズの魔法使い』のオチと一緒だね。

 

 

これも「詩篇23ダビデの賛歌」の〆の部分が元ネタになっているんだよ…

 

May only goodness and kindness pursue me all the days of my life,

and I will dwell in the house of the Lord for length of days.

 

私の生きているかぎりは必ず恵みと慈しみが伴うことでしょう

私はとこしえに主の家に住まうのです

 


ああ…

 

『サザエさん』のエンディングテーマと一緒…

 

 

そして実に興味深い歌詞があることに気付かない?

 

 

興味深い歌詞?

 

 

「my heart is riding on your wings」だね。

 

トム・ウェイツのデビューアルバム『CLOSING TIME』のB面4曲目『Little Trip to Heaven(On the Wings of Your Love)』は、この『SKYLARK』をもとにしている。

 

 

し、しばりくん!?

 

 

おやおや。これは驚いたな。

 

 

僕、とあるブログを愛読してるんだけど、書いてたのキミだったんだ…

 

ほら、これ…

 

TOM WAITS『天国への小旅行(愛の翼に乗って)』

 

 

ええ〜〜〜!?

 

 

そういえばキミたちも出てるよね?

 

あんまり役に立ってないけど。

 

 

なぬ!?

 

 

この二人も重要なんだよ。

 

もし居なかったら、僕は延々ひとりごと言ってる痛いオジサンになってしまう。

 

 

確かにw

 

 

そうとう読み込んでる!

 

 

まさかこんなところで僕の読者に会えるなんて思ってもみなかったな…

 

しかも子供の頃『すすめパイレーツ』の愛読者だったから余計にうれしい。

 

 

トム・ウェイツ『CLOSING TIME』徹底解説は面白かったです。

 

「マーサ=ジョニー・マーサー」説には正直「ハァ?」って感じだったけど、今回のでようやく腑に落ちました。

 

トム・ウェイツは明らかにジョニー・マーサーを意識して『CLOSING TIME』を作ってる…

 

 

そうなんだよね。

 

この二人も君みたいに物分かりが良ければいいんだけど。

 

 

ハァ!?

 

 

「しばり」の連呼も疑ってすみません。

 

『SKYLARK』のことだったんですね。

 

この歌、なぜだか僕も大好きで…

 

 

そうだろうね。

 

だってこの歌は「女性(ジュディ)」のことを「男性(イエス)」に偽装して歌っているんだから。

 

春の日に十字架で死に、天高く昇っていくイエス・キリストの姿を歌ってるように見せかけてね。

 

だからこの歌は教会で歌われることが多いんだ。「ゴスペルソング」として…

 

 

 

せやけどホンマは「ヒバリ」が「女」で、しかも背徳の関係にあった男が歌った歌やと知ったら驚くやろな…

 

 

歌に罪はない。

 

その人が感じたままに歌えばいいだけ…

 

 

ちなみに次はどの曲を?

 

 

『One for My Baby (and One More for the Road)』を予定している。

 

 

 

来た!

 

これまたトム・ウェイツの『CLOSING TIME』にとって重要な歌!

 

 

さすが、よくわかってらっしゃる。

 

 

僕、楽しみにしてる。

 

明日中にはアップしてほしいな。

 

 

やれやれ、とんだ注文が舞い込んだ…

 

仕方ない。大切な愛読者のリクエストだ。頑張って書いてみるとしようか…

 

 

やった!絶対だよ!

 

そしたら次回来た時に大サービスしてあげる。

 

 

これはこれは、楽しみだな。

 

 

じゃあね、僕そろそろ上がりの時間だから。

 

ゆっくりして行って。バイバイ。

 

 

はい、お疲れさまでした…

 

 

ねえねえ、ナンボク…

 

これも「オジサンのひとりごと」だよね…?

 

 

せやな…

 

しかもかなり痛いやつや…

 

 

何か言った?

 

さあ、君たち。『One for My Baby (and One More for the Road)』回の打ち合わせと行こうか。

 

今度はどんな設定にしようかな…

 

 

ねえねえ…

 

やっぱり家に帰って打ち合わせしない?

 

また別のややこしい店員が出て来て気が散ってしまう予感が…

 

 

そうだね。

 

やっぱり、おうちが一番だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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