「American Tune」ー映画『LIFE』解説・最終回

  • 2018.07.25 Wednesday
  • 19:14

 

 

 

 

 

さて最終回の今日は、ラストシーンに隠された本当の意味を解説するとしよう。

 

あの短いシーンの中に、制作陣がこの映画で描きたかったことの全てが凝縮されていると言っていい。

 

 

前回を未読の方はコチラをどうぞ!

 

 

 

これまでも散々ネタバレして来たけど、今回はラストシーンの徹底解説やさかい、ネタバレとかそうゆうレベルのハナシとちゃうで。

 

映画を未見の奴は引き返したほうがええかもな。「読んでから見る派」の猛者は大丈夫やと思うけど。

 

 

では始めるよ。

 

生き残った二人は脱出ポッドに乗り込んだ。

 

デヴィッド・ジョーダンはカルビン君を連れて、地球とは反対の宇宙空間へ向かい…

 

ミランダ・ノースは全てを知る「生き証人」となるために地球へ向かう…

 

 

 

カルビン君、あんな可愛い姿じゃなかったけどね(笑)

 

 

しかしミランダはポッドの切り離しに手間取ってしまう。

 

遅れて出発したミランダは、地球着陸時の「万が一」に備え、カルビン君が如何に人類にとって危険な存在なのかということを音声データとして録音する。

 

だけどその直後にトラブルが発生し、ポッドの軌道が変わってしまうんだ…

 

 

すべてカルビン君の予定通りやろ。

 

前回の「映画のストーリーは『キリスト教網要』によって予定されていた」説によれば、ミランダに定められていた役割は「師伝」や。

 

カルビン君を地球へ導く「導者」はデヴィッド・ジョーダンやさかい、ミランダは報告を録音した時点で「お役御免」っちゅうことやな…

 

 

その通り。6人全員の「決定されていた最期」を貼っておこう。

 

 

ミランダがポッドの切り離しに手間取ったのは、おそらくカルビン君の仕業だね。

 

カルビン君はテレパシー能力があるから、彼女の操作を遅らせることが出来たんだろう。

 

しかも「発進後に障害物と接触するタイミング」で出発させたんだ…

 

 

あの接触事故もカルビン君の仕業なの!?

 

カルビン君がミランダのポッドに残骸をぶつけたってわけ?

 

 

そうだろうね。

 

ただカルビン君は「物体」を動かす能力は持っていない。あくまで生物の意識にコネクトする能力なんだ。

 

でも神レベルの計算能力で、無数に散らばる残骸の全軌道を読むことが出来た。だからドンピシャのタイミングでミランダを発進させたんだね。

 

 

恐ろしい子…

 

 

こんな神レベルの生物が地球に入って来たら、人類を始め既存種はひとたまりもないね。

 

というか、なぜヒューイ以外の乗組員はそこに気が付かなかったんだろう?

 

明らかに心を読まれ、カルビン君の掌の上で転がされていたのに…

 

 

地球人がカルビン君に唯一勝てる方法は、意識を消して無我の境地で戦うしかないのか…

 

もし続編が作られるとしたら、禅マスターの出番だな…

 

 

さて、このラストシーンにおける前半部「ポッド脱出シーン」は、ある歴史的事実をもとにして作られている。

 

実際にあった出来事が元ネタなんだ。わかるかな?

 

 

歴史的事実?

 

なんだろう?

 

 

「カルビン」と共に「脱出ポッド」で宇宙を渡る…

 

しかも2つのうち片方は軌道を外れる…

 

ま、まさか…

 

ピルグリム・ファーザーズ…

 

 

その通り。

 

このラストシーンは迫害を逃れて大西洋を渡り、新天地アメリカへ辿り着いたピルグリム・ファーザーズを描いているんだね。

 

『ピルグリムの乗船』Robert Walter Weir

 

 

あれ?

 

この絵って映画の中に出て来なかった?

 

 

アホ言え。出て来るわけないやろ。

 

 

いや、ええじゃろうの言う通りだ。

 

クルーが娯楽室みたいなところで歓談してる中、デヴィッドが小難しい本を朗読するシーンがあったよね。

 

あのシーンに『ピルグリムの乗船』が投影されていたんだよ。

 

 

口の悪いローリーがこんな皮肉を言う。

 

「その本は1枚も絵が無い(よくそんな本を読めるよなw)」

 

これはあの絵の中にあるように、ピルグリム・ファーザーズが乗船の時に聖書を朗読したことに因んだジョークだね。

 

ピルグリム・ファーザーズはピューリタン、つまり宗教改革で誕生したカルヴァン派の中で最も理想主義者である分離派と呼ばれた人たちだ。

 

堕落した英国国教会からの分離を求めた彼らは、英国王ジェームズ1世によって徹底的に弾圧され、オランダへ逃れた。でもオランダでも安心して暮らすことは出来ず、彼らは旧世界からのエクソダス(脱出)を試みたんだね。

 

かつてモーセが紅海を渡って「約束の地」へ向かったように、大西洋を渡って「約束の地アメリカ」を目指したんだ。

 

 

映画ではメイフラワー号が脱出ポッドに代わったのか。

 

どちらもエクソダス(脱出)だもんね。

 

 

だから最初は2つあったんだ。史実通りにね。

 

 

メイフラワー号って2つあったの!?

 

 

いや、メイフラワー号は1つだ。

 

でも当初「脱出計画」は二隻の船で行われる予定だったんだよね…

 

だけどアクシデントで一隻になってしまったんだ…

 

もう一隻の船スピードウェル号は、海を渡ってアメリカに行くことが出来なかったんだよ。

 

 

 

そうだったの!?

 

スピードウェル号なんて名前のくせに?

 

 

当初、二隻の船でイギリスのサウサンプトンから出航しようとしたんだけど、スピードウェル号が水漏れのアクシデントで出航に手間取ったんだ。

 

なんとか修理して出航に漕ぎ着けるんだけど、やっぱり水漏れアクシデントが発生し、スピードウェル号はアメリカ行きを断念した。

 

一説には、大西洋横断というハイリスクな仕事を嫌った乗組員が「わざと」水漏れ事故を起こしたとも言われている。

 

実際、メイフラワー号がピルグリム・ファーザーズをアメリカで降ろしてイギリスへ帰って来た時には、乗組員の半数が亡くなっていたからね…

 

 

厳しい旅だったんだな…

 

そしてカルビン君がミランダの脱出ポッドを「わざと」事故らせたのも、史実通りだったんだ…

 

 

こうゆうことやな。

 

 

 

さて、デヴィッド・ジョーダンの脱出ポッドは、カルビン君の「強い意思」で地球へ向かうことになった。

 

大気圏を通過する際に摩擦熱で非常に高温になったポッドは、成層圏に出てもまだ赤みを帯びていたよね…

 

 

 

よく見るとハートみたい。

 

 

ホンマやな。燃える心臓みたいや。

 

 

「みたい」じゃなくて、ホントに「燃える心臓」なんだよ。

 

 

へ?

 

 

現在のマサチューセッツ州ケープコッド岬の先端に辿り着いたピルグリム・ファーザーズは、同地の先住民インディアンの墓を荒らし、埋められていたインディアン・コーンの種を盗んでしまった。

 

 

なんの話?

 

埋められてたインディアン・コーンって?

 

 

インディアンは将来の食糧不足の時に備え、墓の中に乾燥させたトウモロコシを一緒に埋めていたんだよね。厳しい土地で生きるための知恵だ。

 

それをピルグリム・ファーザーズたちは盗んでしまったんだよ。

 

これによってケープコッド・インディアンとの関係が微妙になり、より良い環境の入植地を求めてプリマスへ移動する。

 

 

 

それ、火星の土の中から仮死状態の生命体を盗んだ人類と一緒やんけ。

 

あれは宇宙版インディアン・コーンやったんか。人が喰うんじゃなくて喰われる方の。

 

 

ねえねえ…

 

ケープコッドの形って、どっかで見たことあるんだけど…

 

 

そう。

 

まだ凶暴じゃなかった頃のカルビン君だね。

 

 

ピルグリム・ファーザーズは先住民の保存用乾燥コーンを盗んだけど、まだ先住民を殺したり完全な敵対関係になったわけではなかった。

 

だからこの形の時のカルビン君は何となく友好的にも見えたわけだ。

 

 

うまく出来てるな(笑)

 

 

さて、ピルグリム・ファーザーズはプリマス沖合にメイフラワー号を停泊させ、小舟で上陸し、入植の拠点を探索する。

 

だけど予想以上の厳しい冬がやって来て困難を極めた。だから先発隊以外はメイフラワー号内にとどまったんだ。この冬の停泊中に、乗員乗客の半数が亡くなってしまうんだけどね…

 

だけど決して絶望的ではなかったんだ。「希望」もあったんだね。

 

この過酷な冬の間に、メイフラワー号の中で赤ちゃんが1人生まれているんだよ。

 

これがショウ・ムラカミの子供メイちゃんになったんだね。

 

 

メイだけに(笑)

 

 

さて、翌春になり本格的にプリマス植民地の建設が始まる。

 

彼らはこの土地に関して右も左もわからないから、先住民とは友好的に努めた。まだ先住民の土地を力づくで奪うほどの軍事力が無かったからね。

 

もちろん友好的なインディアン部族には、キリスト教カルヴァン主義の素晴らしさを教えてあげた。

 

だからプリマス植民地の紋章には、信仰の証である「燃える心臓」を掲げる人物がデザインされたんだよね。

 

一説には、キリスト教を有り難がる先住民の姿だとも言われているけど…

 

 

 

こ、これか!

 

脱出ポッドが「燃えるハート」に見えた元ネタは!

 

 

しかも遠くに「パラシュート」らしきものが落ちてるんですけど…

 

 

よく気付いたね。

 

4つの絵のうち3つは「樹」が「パラシュート」みたいに見えるんだ。実に面白い。

 

メイフラワー号に付けられた3つの英国旗と共に、脱出ポッド着水時の元ネタになっている。

 

 

 

完璧すぎる…

 

突っ込む隙が無い…

 

 

そしてカルビン君とデヴィッドの脱出ポッドが岩場近くに着水にしたのは、ピルグリム・ファーザーズの上陸を描いた有名な絵が元ネタだね。

 

 

せやから、あんな岩だらけの危険な場所に落ちたんや…

 

一歩間違ったら激突して即死やで…

 

普通もっと安全な場所選ぶやろ…

 

 

しょうがないよ。ピルグリム・ファーザーズの絵を再現したかったんだから。

 

そして、発見して助け出してくれたのが「アジア系の漁民」なのも、ピルグリム・ファーザーズが元ネタなんだ。

 

 

 

アジア系なのは「アメリカ・インディアンによく似てるから」だってわかるけど、「漁民」なのがイマイチわからないな…

 

 

最初にピルグリム・ファーザーズと友好関係を結んだプリマスの先住民は「漁業」が得意な部族だったんだよ。

 

彼らは、土地が痩せてて農作業に苦労してた入植民に、この土地ならではの「生きる知恵」も与えてくれた。

 

それが「畑に魚をまく」ことだったんだね。

 

魚はいくらでも獲れるから、それを畑の肥やしにするという裏技を提供してくれたんだよ。

 

 

マジで!?

 

 

だからピルグリム・ファーザーズは彼らに感謝した。

 

最初の感謝祭を行った時にも、彼ら先住民を招待したんだよ。

 

 

 

ホントだ。隣でピクニックみたいにしてる。

 

メイフラワー号で生まれたメイちゃんもいるし、なんともハートウォーミングな絵だな。

 

 

だけどこの後に何が起こったかは、僕が説明するまでもない…

 

協力的だったインディアンたちも、この時はまだ自分たちの「未来」に何が待ち受けているかは知る由もなかったんだ…

 

まさか、ここから彼らにとって未曾有の受難の歴史が始まるとはね…

 

 

ああ…

 

 

これが映画『LIFE』に隠された本当の物語だ。

 

 

でも…

 

なんでこんな映画にしたんだろう、ダニエル・エスピノーサ監督は…

 

 

せやな。何でこんな回りくどい手法をとる必要があったんや?

 

しかも当の本人はスウェーデン人やろ?

 

アメリカ関係ないやんけ。

 

 

僕が推理するに…

 

彼は「大国の論理」というものに対して激しい嫌悪感をもっている。

 

「勝者の歴史」というものにね…

 

 

なぬ!?

 

 

さっき「スウェーデン人」って言ったけど、ダニエル・エスピノーサ監督を見て何か感じない?

 

Daniel Espinosa (1977 - )

 

 

え…?

 

なんというか…その…

 

 

僕らが一般的に想像する、いわゆる「金髪碧眼のスウェーデン人」じゃないよね。

 

実は彼、チリからスウェーデンにやって来た移民の2世なんだ。

 

おそらく…

 

というか、どう見てもインディオやモンゴロイドの血が色濃く流れてるよね。

 

 

チリからスウェーデンに?

 

なんでアメリカとかイギリスとかスペインじゃないの?

 

めっちゃ遠いし、両国に文化的繋がりなんて全然ないじゃん!

 

 

チリの歴史も紹介しなきゃいけないね。

 

チリでは1970年に南米初の左派による社会主義政権が誕生した。

 

左派革命が南米諸国へ波及することを恐れたアメリカは、CIAや過激人物を送り込み右派を支援。そして露骨な経済制裁と暴力でチリ国内を混乱に陥れ、1973年にピノチェトによる軍事クーデターを成功させる。

 

左派政権の支援者は虐殺され、逃げ延びた人々は難民となってしまった。

 

だけど、どこの国もアメリカが怖くて受け入れに及び腰だったんだ…

 

そこで当時スウェーデンの首相だったオロフ・パルメが名乗りを上げることになる。

 

OLOF PALME(1927-1986)

 

パルメ首相はヒューマニズムと「アンチ大国主義」の論客で、左派を中心に国内で絶大な人気を誇っていた。当時世界を二分していた米ソにも楯突いて、小国でもハッキリとモノを言う独自路線を貫いていたんだ。

 

だからチリの難民を大量に受け入れたんだね。

 

この時の移民や子孫であるチリ系スウェーデン人は現在5万人を数える。これはスウェーデン人口の0.5%にもあたるんだよ。

 

ダニエル・エスピノーサ監督の他にも、左派政党の政治家やサッカー選手として活躍してる人が多く、日本の原口元気が所属するハノーファー96でDFのレギュラーになってるミーコ・アルボルノスが、チリ系スウェーデン人選手として有名だね。

 

彼はスウェーデン代表を辞退してチリ代表になったため、今回のロシアW杯には出場できなかった。だけど9月に行われるキリンチャレンジカップには来るかもしれないから要注目だ。

 

 

チリといえば世界ランク9位の強豪国だし、原口のチームメイトか。そいつは楽しみだ。

 

 

何のハナシしとんねん。

 

 

ごめんごめん。

 

さて、大国に媚びず、人道主義で独自路線を突き進んだパルメ政権だったけど、この政治哲学がスウェーデン国内で大きな反動を生んでしまう。

 

アメリカに批判的だったパルメに対する退陣要求だけでく、反移民運動までもが広がり始めたんだ。

 

 

そういえば、その頃スウェーデンでアメリカ人経済学者ミルトン・フリードマンのノーベル経済学賞受賞を反対する大規模デモも起こったよな…

 

 

なんでスウェーデン人が?

 

 

フリードマンはチリの軍事クーデターを支援し、実際にチリを訪問までしてた。ピノチェト将軍の経済顧問はフリードマンの弟子だったしね…

 

だれも受け入れたがらないチリ難民を支援してたパルメ支持派からしたら「ふざけんな」だったと思うよ。

 

だけど米ソからの独立路線が行き詰まり、1976年にパルメは退陣を余儀なくされる。

 

その頃に米国女優のシャーリー・マクレーンがスウェーデンを訪れて彼にインタビューした映像があるんで、時間のある方はぜひ聴いてみて頂戴。

 

 

 

最近も話題になっとるな。反移民を掲げるスウェーデンの右派政党の躍進が…

 

 

ダニエル・エスピノーサ監督は、彼の恩人ともいえるパルメ首相が退陣した半年後に生まれた。パルメ首相がチリ難民を受け入れてくれなかったら、生まれてなかったかもしれないからね。

 

そしてパルメは1982年に再び首相となる。

 

だけど4年後の1986年2月28日、何者かに暗殺されてしまうんだ。

 

この暗殺事件は未解決のままなんだよね…

 

 

 

めっちゃ臭うやんけ…

 

 

ダニエル・エスピノーサは、成長して映画監督となった。

 

そしてデンゼル・ワシントンとライアン・レイノルズが共演した話題作『デンジャラス・ラン』の監督に大抜擢される。

 

この映画が世界各地でヒットし、一躍ダニエル・エスピノーサの名は知れ渡った。日本でもまあまあヒットしたよね。

 

 

 

壇蜜は好きやけど、これは無しやろ…

 

エスピノーサもビックリクリや。

 

 

そしてエスピノーサは、あの大御所リドリー・スコットの製作で、トム・ハーディとゲイリー・オールドマンという大スターが共演した『チャイルド44 森に消えた子供たち』を撮る。

 

 

 

わりィ。聞いたことないわ。

 

 

だろうね。この映画は大コケした。

 

しかもテーマが「ソ連の闇を描く」というものだけに、ロシアやロシアの友好国では上映禁止になってしまったんだよ…

 

もちろんアメリカでも酷評された。批評サイトには「扱われるテーマが重すぎて、監督の力量を超えている」なんて書かれたそうだ。

 

日本では、テーマがテーマだけに壇蜜砲の援護も得られず、全国ロードショーすらされなかった。この映画を知らないのも無理はない。

 

 

そして次回作が『LIFE』ってわけ?

 

 

その通り。

 

前作で「大国ロシアの歴史の闇」をストレートに描いて失敗したエスピノーサ監督は、違う作戦に出たんだ。

 

同じ「大国の歴史の闇」を描くにしても、比喩やメタファーを駆使して、全く違う映画のように撮ったんだね。

 

しかも彼の出自からして、アメリカには特別な想いがあるはずだ。『チャイルド44』のような失敗は絶対に許されない。

 

そうして『LIFE』が誕生したんだ。

 

 

「アメリカと移民」というテーマを語る上では避けられないピルグリム・ファーザーズを、火星人カルビン君の地球侵略という形に偽装して描いたのか…

 

しかもダニエル・エスピノーサの「故郷」は、アメリカが支援する軍事政権によって多くの命が奪われた…

 

まるでかつての北米インディアンみたいだ…

 

 

もしストレートに想いをぶつけてたら、トランプ政権下のアメリカでは上映禁止になったかもしれんな。「反米や!」って…

 

もちろん対米追随路線の日本でも…

 

 

だろうね。

 

なんだかやるせない気持ちになってきたな…

 

まったくとんでもない映画を作ってくれたもんだ、ダニエル・エスピノーサは…

 

 

おかえもんが解き明かさなければ、日本で、いや世界中で誰も気付かなかったかもしれないのに…

 

 

せやで…

 

ええんか?これでダニエル・エスピノーサがアメリカで映画撮れんなってしもうても…

 

 

そ、そんなプレッシャーをかけないでよ…

 

僕が書かなくても、誰かがいつか書いていただろうし…

 

 

いや、世界広しといえども、ここまで深読みする暇人はお前しかいない!

 

お前のせいや!お前が悪い!

 

 

僕は何も悪いことなんかしてないのに…

 

なんでそこまで責められなければいけないんだろう…

 

ただ、映画の本当の面白さを伝えようとして来ただけなのに…

 

なんという誤解、またとない受難局面…

 

こんな時にはこの歌でも聴いて心を落ち着かせるしかないな…

 

それでは皆さん、ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました…

 

またの機会にお目にかかりましょう。それまで僕は、しばしの休息を…

 

さようなら。

 

 

『American Tune』Paul Simon

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:映画

映画内で言及されないカルビン君の重要な能力について〜『LIFE』解説7

  • 2018.07.23 Monday
  • 12:27

 

 

 

 

 

 

さて、今回は映画『LIFE』とジャン・カルヴァンの著作『キリスト教網要』との関係について話そう。

 

 

前回を未読の方はコチラをどうぞ!

 

 

 

 

難しいハナシは勘弁やで。

 

ただでさえ『LIFE』解説シリーズは他のに比べて閲覧数がイマイチなんやさかい。

 

 

了解。では単刀直入に言おう。

 

映画『LIFE』において、国際宇宙ステーションISSのクルー6人の運命は…

 

すべてジャン・カルヴァンの『キリスト教網要』に書かれていたんだ。

 

 

ハァ!?

 

 

ジャン・カルヴァンの教えは「予定説」として有名だね。

 

救済される者されない者は、神によって予め決められているという考え方だ。全知全能の神の前では、人間の自由意志なるものは無いという思想だね。

 

当時カトリック世界では、善行や免罪符の購入によって天国に入れるとされていた。カルヴァンはそれを痛烈に批判したわけだ。

 

不完全な存在である人間の行為が、完全無欠である神の行動を左右するのはオカシイと…

 

 

まあ一理あるわな。

 

 

これが映画のカルビン君にも適用されているわけだ。

 

 

乗組員たちは危険を顧みず様々なやり方で救われようとした。

 

でも、いくら自己犠牲的行為(善行)を行おうとも、そんなことは全くの無意味なんだよ。

 

だって救われるかどうかは予め決まっていることなんだから。全知全能のカルビン君によってね。

 

 

未来はすべて決まっていたってこと?

 

 

その通り。

 

カルビン君は、先のことがわかっていたんだね。乗組員たちの考えを読むことができたんだよ。

 

だから罠にもかからないし、抜け道を見つけることも出来たし、常に先回りすることが出来た。

 

宇宙ステーションの構造も熟知してたよね。

 

乗組員がそれを「知っている」から当たり前なんだけど(笑)

 

 

マジですか!?

 

 

だって『キリスト教網要』第1篇 第1章のタイトルがこれだよ…

 

 

「神の知識と我々人間の知識は相結合している」

 

 

カルビン君は、人間の意識にコネクトすることが出来たんだ。

 

乗組員は早くこれに気付くべきだったよね…

 

 

そんな能力があったとは…

 

わかっていたら全然違っただろうに…

 

 

そして『キリスト教網要』には各クルーの運命もちゃんと書かれていた。

 

まず死んでしまった4人。

 

 

第4章のタイトルが、彼らの結末を物語る…

 

 

「第4章:無知のために、邪悪のために、あるいは窒息せしめられ、あるいは壊敗せしめられたる、神においての知識」

 

CHAPTER 4. THE KNOWLEDGE OF GOD STIFLED OR CORRUPTED, IGNORANTLY OR MALICIOUSLY.

 

 

え…?これって…

 

 

ひとりずつ見ていこう。

 

まずは「無知・無視(IGNORANTLY)」によって死んだヒューイ・デリーから…

 

 

彼は生物学者で、カルビン君が隔離されたラボ内の培養器に唯一接することのできる存在だった。

 

だから本来なら彼が真っ先にカルビン君の「他の生物の意識を読むことができる特殊能力」が人類にとって危険であると報告すべきだった。

 

だけどヒューイは、気付いていたのに報告せず、それを「無視」したんだ。

 

 

え!?

 

ヒューイは知っていたの!?

 

 

もちろん。

 

彼は優秀な生物学者だ。それくらいのことに気付かないはずがない。

 

培養器の酸素が漏れてカルビン君が仮死状態になってしまった事件があったよね?

 

ヒューイのせいにされてたけど、あれはカルビン君の仕業だったんだよ。

 

そしてヒューイはそれに気付いていたけど黙っていた…


 

ええ〜!?マジで!?

 

だけど、どうして…?

 

 

まずカルビン君の思惑から説明しよう。

 

カルビン君は火星の土壌の中から仮死状態で発見された。そして地球に運ばれる途中で国際宇宙ステーションISSに収容される。

 

カルビン君としては仮死状態のまま地球へ向かいたかったんだ。

 

だけどISSで目覚めさせられてしまった。これは困るよね。

 

 

なんで?

 

 

だって培養されて成長させられたら「危険」なことがバレてしまうからね。

 

実は乗組員の中には、カルビン君が危険とわかったら宇宙空間へ即時追放する指令を受けている者もいた。人的犠牲を払ってでもね…

 

カルビン君はそれを知っていたから、目覚めたくなかったんだよ。

 

でもヒューイによって培養されてしまった。だからわざと酸素を抜いて仮死状態になったんだ。

 

 

なんでヒューイは黙っとったんや?

 

そんな大事なこと報告せんとアカンやろ!

 

 

「足」だよ。

 

ヒューイは足が不自由だった。幼い頃に下半身麻痺になってしまったようなことを話していたね。

 

そんなヒューイだから、カルビン君の驚異的な「万能細胞」ぶりを見て心が湧きたった。

 

カルビン君の万能細胞能力を医学に応用すれば、自分の足を元通りに出来るかも…と考えたんだよ。

 

個人的な願望を、人類全体の未来より優先させてしまったんだね。

 

だからカルビン君は逃走後にヒューイの足に同化したんだ。ヒューイの頭の中の妄想を知っていたから…

 

 

そ、そうゆうことだったのか!

 

 

『キリスト教網要』の日本語訳では「無知」となっているけど、英語の「IGNORANTLY」には「無視」という意味もある。

 

この映画の制作陣は「無知」より「無視」という意味を当てはめているよね。

 

まあ、危険だとわかっていたのに無視したから十分「無知」なんだけど…

 

 

ちなみにヒューイのモデルは英国王ジェームズ1世だったよね。

 

ジェームズ1世は当初カルヴァン派に寛容だった。だけど突然カルヴァン派の急進派である分離派と呼ばれる人たちを弾圧した。

 

分離派はオランダに逃れ、そこからメイフラワー号に乗ってアメリカに渡る。

 

これがそのままヒューイとカルビンの関係になっているというわけだ。

 

 

なるほど…

 

 

ちなみに、ヒューイに対して最初に牙をむいた時に「人差し指」を狙ったのは、カルビン君のギャグだね。

 

有名なジャン・カルヴァンの肖像画の指を真似たんだ…

 

 

普通はムカついたら中指立てるけど、人差し指だったのはこういうことだったのか!

 

 

さて、次は「邪悪(MALICIOUSLY)」のために死んだローリー・アダムズだ。

 

 

 

これはわかりやすいな。

 

ローリーは唯一カルビンを危険視しとった。カルビンから見れば「邪悪」な存在や。

 

 

その通り。

 

ローリーは火炎放射器でカルビンを焼き殺そうとした。

 

これはジャン・カルヴァンが宗教改革のライバルだったミゲル・セルベートを「火あぶりの刑」にしたことが元ネタだね。カルヴァンの中の「邪悪」もローリーに押し付けたわけだ。

 

だから彼だけ十字架の形で死んだんだろうな。

 

 

ちなみにローリー・アダムズのモデルは、アメリカ第2代大統領ジョン・アダムズだったよね。

 

ジョン・アダムズはカルヴァン派から、当時は異端だったユニテリアンに転向した人なんだ。

 

その際に彼は、カルヴァン主義に対して「決別宣言」を出したといわれている。それもかなり強い口調でね…

 

 

「吠えろ、唸れ、噛みつけ、カルヴァン主義者よ!望むなら言うがいい!私がキリスト教徒ではないと!」

 

 

 

うわあ…

 

だからカルビン君はローリーの口から体内に入っていったんだ…

 

 

 

挑発し過ぎたな…

 

 

「口は禍の元」とはよく言ったものだ。

 

 

さて、お次は「窒息(STIFLED)」によって死んだエカテリーナ司令官。

 

 

 

 

説明不要やろ。

 

 

だね。

 

彼女のモデルはエカテリーナ2世。

 

エカテリーナ2世は両親がルター派のプロテスタントで、カルヴァン派の乳母兼家庭教師のもとで育った。

 

だけど15歳でロシア正教に改宗したんだったね。

 

 

カルビン君にしてみれば裏切り者だ。

 

 

カルビン君の「殺し方」って、モデルになった人物の宗教的背景に応じて残虐性が変わるんだ。

 

プロテスタントやカルヴァン主義を捨てた人には残虐極まりないんだよ。

 

これまでの3人は皆そうだ。

 

 

でもショウ・ムラカミの殺し方は、それほど残虐ではなかったよね。

 

カルビン君が襲わなくてもショウはソユーズの爆発と共に死んでいた。

 

だから彼は「壊敗(CORRUPTED)」によって死んだと言える…

 

 

 

真田広之演じるショウ・ムラカミが残虐に殺されんかったのは、モデルが徳川家光やからや。

 

家光はキリスト教全般を弾圧した。別にカルヴァン派を裏切ったわけとちゃう。

 

 

その通り。

 

だからカルビン君はショウをあっさりと殺した。全然憎しみが籠ってなかったよね。

 

 

「壊敗」って聞いたことない単語かも。

 

「破壊」とは違うの?

 

ショウは結果的にソユーズとISSを破壊しちゃったじゃん。

 

 

「CORRUPTED」とは「非物質的なものの劣化・崩壊」を意味する言葉なんだ。

 

「精神」とか「倫理観」とか「正しい発音」とかね。

 

物質的なイメージの強い「破壊」と差別化するために、『キリスト教網要』の日本語翻訳者は「壊敗」と訳したんだろう。

 

そしてショウ・ムラカミは2つの面で「CORRUPTED」していたんだよ。わかるかな?

 

 

我らがサムライ真田広之が、倫理的に劣るようなことしたか?

 

 

思いっきりしてたじゃん。

 

ショウ・ムラカミが6人の中で最も倫理観の崩壊した人物だったよね。

 

 

ええ!?そうだったっけ?

 

 

他のどの解説記事を読んでも「わざと」なのかよくわからないけど、そこがスルーされてるんだ。

 

「わざと」じゃなかったら、おそらく「サムライ日本人の代表だから高潔」という先入観で見落としたんだろうね。

 

ショウはソユーズがISSにドッキングした際に、仲間たちを見捨てて自分だけ助かろうとした。我先にソユーズに乗り込んで地球へ帰ろうとしたよね。娘メイに会いたいがために…

 

そしてそれをカルビン君にまんまと利用されてしまうことになるんだ。

 

カルビン君はショウのことを「ソユーズによるISS隔離計画を失敗させる駒に使える」と判断したんだよ。

 

ショウの頭の中が娘のことでいっぱいだから、未来が読めたんだ…

 

「こいつ、絶対にソユーズに無理矢理乗り込もうとする」って。

 

 

ソユーズは救出に来たのではなくて、ISSを地球軌道上から外すためにドッキングしていた。

 

なのにショウは強引にハッチを開けてしまう…

 

そしてカルビン君の思惑通りに事が進んだ…

 

 

ショウのこの行為は100%私情による行動だし、完全なる任務規約違反だ。

 

まさに倫理的崩壊「CORRUPTED」だね。


 

そうだったのか…

 

オイラも「サムライ」イメージの先入観で見てたかも…

 

 

ワイもや…

 

そんでもう1つの「CORRUPTED」っちゅうのは何や?

 

 

「英語」だよ。

 

 

・・・・・

 

 

ホントにこの映画はブラックユーモアが強烈だよね。

 

というわけで、カルヴァンの書いた『キリスト教網要』第1篇 第4章のタイトルが、4人の最期を暗示していたというわけだ。

 

 

 

うひゃあ…完璧すぎる…

 

これは深読みとか偶然とかいうレベルじゃないな…

 

 

 

さて、次は生き残った2人…というか最後まで死が確認されなかった2人について。

 

 

こちらの2人の運命は、『キリスト教網要』第1篇 第6章のタイトルに記されていた…

 

 

「第6章:創造主なる神に到達するために、導者(導き手)および師伝(教師)として聖書が必要である」
 

CHAPTER 6. THE NEED OF SCRIPTURE, AS A GUIDE AND TEACHER, IN COMING TO GOD AS A CREATOR.

 

 

カルビン君が新しい「創造主」として新天地「地球」へ到達するためには、「導者(GUIDE)」と「師伝(TEACHER)」による「SCRIPTURE」が必要だというんだね。

 

 

ちょっと…

 

これもそのまんまじゃん…

 

 

しかも「SCRIPTURE(聖書)」の原義は「SCRIPT(台本・脚本)」やで…

 

すべてはカルビン君のシナリオ通りっちゅうことや…

 

 

恐ろしいね…

 

まず「導者(GUIDE)」と定められていたデヴィッド・ジョーダンから見ていこう。

 

 

デヴィッドはカルビン君を無事に地球まで導いてくれた。

 

しかも最後は「一体」になってたよね…

 

 

デヴィッド・ジョーダンのモデルは、人々を救済へと導く者「イエス・キリスト」や…

 

せやから地球の新しい「神」カルビン君と「一体」になっとったんか…

 

 

だね。

 

カルビン君がデヴィッドを殺さなかったのは、そういうことだ。

 

 

そしてもう1人はミランダ・ノース。彼女の役割は「師伝(TEACHER)」だ。

 

 

こちらもわかりやすいよね。

 

人類にとって危険なカルビン君と国際宇宙ステーションISSの「処分計画」は、彼女だけが知っていた。

 

しかもISS内での情報漏洩を防ぐために文書にも電子データにもせず、彼女の「頭の中」だけにあったんだ。

 

彼女はそれを他のクルーには黙っていたんだよね。地球の運命がかかった最高機密だから。

 

だけど生物の意識が読めるカルビン君の前では、それが逆効果となった。

 

計画をすべて知られてしまうことになったんだね…

 

 

まさにカルビン君にとっての「TEACHER」になってしまったんだ…

 

だからソユーズが来た時も、あれだけ迅速に対処できたのか…

 

 

特別任務のためにミランダが新クルーとしてISSに送り込まれた時点で「終了」してたっちゅうわけやな…

 

カルビン君、なんて恐ろしい子…

 

 

そんなこととは露知らず、ミランダは脱出ポッドの中で人類にカルビン君の恐ろしさを必死に伝えようとした。

 

最期まで彼女はカルビン君から与えられた「師伝(TEACHER)」の役割を全うしようとしたわけだ。

 

なんとも皮肉だね…

 

 

さて、ミランダ・ノースには「師伝(TEACHER)」としての役割がもう1つある。

 

わかるかな?

 

 

もう1つの「師伝(TEACHER)」?

 

なんだろう?

 

 

カルビン君とデヴィッド・ジョーダンの地球への到着…

 

つまり地上に主イエス・キリストが降誕した時に、それを「教え伝える」ものがあったよね…

 

 

ああ!

 

ベツレヘムの星と東方の三博士!

 

 

 

大気圏上空を横切るように流れて行ったミランダの脱出ポッドは、まるで「ベツレヘムの星」のように夜空に輝いただろうね。

 

ちなみに「ベツレヘムの星」の正体は、くじら座の変光星ミラ、あるいは他のミラ型変光星だという説がある。

 

さらには金星と天王星が大接近(会合)した時のものという説もあるんだ。

 

デヴィッドとミランダのポッドが会合する描写もあったよね。その天王星にはミランダという衛星がある…

 

 

そういえばミランダはデヴィッドの体にクリームを塗りながら、すっごく優しく診察してたよな…

 

あれはまるで東方の三博士が幼子イエスを拝み、乳香と没薬を与えたシーンみたいだった…

 

 

しかも「長時間の宇宙線被曝で体が白く光ってるわ」とかジョークを言っとったな…

 

それ、いと高きところに登った時のイエスやんけ…

 

 

しかもデヴィッドは、自分が人類を救うために「犠牲」となることをミランダから知らされる。

 

彼女はメッセンジャーだから、大天使ガブリエルでもあるよね。

 

地球へ向かったポッドの中にカルビン君が入ってることを知らせるメッセージは、さながら『受胎告知』だ。

 

 

ということで…

 

『キリスト教網要』第1篇 第6章のタイトルによって、デヴィッドとミランダの運命は定められていたというわけだ。

 

 

 

うひゃあ…

 

ドンピシャ過ぎて、何も言えねえ…

 

 

ジャン・カルヴァンの予定説をここまで見事にストーリーに落とし込むとは、まさに脱帽ものだよね…

 

恐れ入りました、ダニエル・エスピノーサ監督。

 

さて、次回はラストシーンを解説をして、このシリーズの終わりとしよう。それでは。

 

 

 

JUGEMテーマ:映画

カルビンと1924移民法〜『LIFE』解説6

  • 2018.07.22 Sunday
  • 15:31

 

 

 

 

さて、ドミニクちゃんによる命名式の解説の続きだ。

 

 

前回までを未読の人はコチラをどうぞ!

 

 

 

 

ドミニクちゃんの命名宣言は以下の通り。

 

 

「私たちのカルビン・クーリッジ記念小学校が11000校の中から選ばれたことを大変名誉に思います。そして私たちの校名にあやかって、この火星人をカルビンと名付けます!」

 

 

このスピーチのポイントは3点だった。

 

1、選ばれた少女の名前が「ドミニク」

 

2、彼女の学校の名前が「カルビン・クーリッジ記念小学校」

 

3、火星人(Martian)に「カルビン(Calvin)」と命名

 

 

今回はポイント2「カルビン・クーリッジ記念小学校」からやな。

 

 

カルビン・クーリッジって誰?

 

 

第30代アメリカ大統領だよ。歴代大統領の中で唯一「7月4日」に生まれた人だ。

 

 

アメリカは偉い人の名前を冠した学校や公共施設がぎょうさんあるよな。

 

日本でも付けたらええ。

 

 

おととしくらいの夏の甲子園に「クラーク記念国際高校」って出てなかった?

 

あと、現役首相の名前がついた幼稚園もあったな…

 

 

さて、多くの日本人は「カルビン・クーリッジ」と聞いてもピンと来ないだろうから、僕が解説しよう。

 

Calvin Coolidge (1872-1933)

 

 

なんか真面目で几帳面そう…

 

でもあんまり聞かない大統領だよね。

 

アメリカ人はこの名前で何かピンと来るの?

 

 

歴史の授業をちゃんと聞いていたアメリカ人なら、ここで「カルビン・クーリッジ大統領」の名前が出て来たらピンとくるんじゃないかな。

 

「あ!そういう映画か!」ってね。

 

 

そうゆう映画?

 

 

カルビン・クーリッジ大統領は「Immigration Act of 1924(1924年移民法)」を施行したことで有名なんだ。

 

この法律によって、イギリスやオランダやドイツ、北欧などプロテスタント国以外からの移民は厳しく制限されたんだよね。

 

つまり…

 

「正教徒やユダヤ系が多い東ヨーロッパ、そしてカトリックが多い南ヨーロッパからの移民がこれ以上増え過ぎると、アメリカ社会に良くない」

 

と宣言したに等しいんだよ。

 

 

 

ええ〜!

 

ち、ちなみに日本人は?

 

 

日本人をはじめアジア系は移民の全面禁止だ。

 

「アジア人は害悪だから、これ以上アメリカ社会に入って来てくれるな」

 

と宣言されたみたいなもんだね。

 

当時日本はアジア唯一の「一等国」を自負していた。だからこの移民法は日本人にとって大ショックだったらしい。下に見ていたアジア諸国と同じ扱いをされたわけだからね。

 

民主国家の鑑としてアメリカを見ていた知識階級の落胆ぶりは特に大きかった。ここから対米開戦につながる反米感情が高まったとも言われている。

 

そういうわけで、日本ではこの法律は憎しみを込めて「排日移民法」と呼ばれるようになったんだ…

 

 

ま、マジで…

 

そんなんあり?

 

 

社会にとって異質なものが入ってくることを拒む「1924移民法」を制定したカルビン・クーリッジ大統領の名前が冠された小学校が、これから地球へ運ばれる未知の生命体を命名する名誉にあずかるって、かなりの皮肉だよね…

 

だから自国の黒歴史もちゃんと知ってるアメリカ人なら、このシーンでピンと来ただろうね。

 

「この映画には移民に関するメタファーが隠されている。しかもプロテスタント、中でもカルヴァン主義に関するメタファーが…」と。

 

 

カルビン・クーリッジ大統領は「Calvin」って名前だけに、やっぱり熱心なカルヴァン主義の家庭に生まれたの?

 

 

そのようだね。

 

彼のフルネームは「John Calvin Coolidge(ジョン・カルビン・クーリッジ)」という。

 

宗教改革者ジャン・カルヴァンは英語で「John Calvin」と書くから、まさにそのまんま。

 

 

マルティン・ルターをそのまんま英語読みにしたマーティン・ルーサー・キング牧師みたいやな。

 

 

アメリカの礎となった偉大な名前を生まれながらにして背負ってるわけだから、並々ならぬ責任感というか使命感を抱きながら育ったことだろう。

 

普通は「ジョン・クーリッジ」とか「ジョン・C・クーリッジ」と名乗るのが一般的なんだけど、アマースト大学を卒業してからは「ジョン」ではなくミドルネームの「カルビン」をファーストネームとして名乗るようになった。

 

これも使命感の表れだろうね。

 

 

そのアマースト大学とか関係あるんか?

 

 

あるんじゃないかな。

 

だって当時のアマースト大学って、アメリカで一番のカルヴァン派牧師の養成学校だったからね。

 

アメリカのCalvinism発祥の地であったニューイングランド地方で劣勢になっていたCalvinistの牙城だったんだよ…

 

 

劣勢?

 

 

17世紀前半、ピルグリム・ファーザーズに代表されるニューイングランド地方への入植者は、分離派と呼ばれるカルヴァン主義の急進派が多数を占めていた。

 

彼らは植民地を立ち上げるとすぐに牧師育成のための学校を設立する。

 

カルヴァン主義では宗教と政治がほぼ一体となる神権政治が理想とされたから、植民地運営のためには多くの有能な牧師が必要だったんだね。

 

それが現在のハーバード大学やイェール大学、ダートマス大学など東部名門校というわけ。

 

だけど19世紀前半、それらカルヴァン主義の大学が、こぞってユニテリアンに鞍替えするという「事件」が起こった…

 

 

ユニテリアン?

 

なにそれ?犬?

 

 

聖書を「科学的・合理的」に突き詰め、イエスの死後に「盛られた」嘘を取り除こうとした人々だよ。

 

つまりイエスの神性を否定し、ひとりの改革者として尊敬しようという考えだね。

 

だからカトリックだけでなくプロテスタントからも異端視されたんだ。「イエスは神じゃない」という思想は、既存のキリスト教の完全否定だったから。

 

ヨーロッパでは17世紀頃から盛んになったムーブメントで、アイザック・ニュートンなど当時の一流の科学者や哲学者はこぞってユニテリアンとなった。

 

それが18世紀後半頃からアメリカにも浸透し始め、19世紀になって知識階級の間で大ブームになったんだ。

 

そしてついにハーバード大学などがカルヴァン主義からユニテリアンに鞍替えするという大事件が起こる。

 

ニューイングランド地方の人々は激しく動揺した。イエスは普通の人間だったと主張するユニテリアンというのは、無神論の前段階と考えられていたからね。

 

今でもまだそう考えてる人はいるんだけど、当時のアメリカ人にとって無神論者というのは「人間じゃない」存在なんだ。未開人や悪魔みたいな存在だったんだよ。

 

ちなみにその後アメリカのユニテリアンはユニヴァーサリズムという派と融合し、ユニテリアン・ユニヴァーサリズムと呼ばれるようになった。

 

現在、彼らは統計上「キリスト教徒」には含まれない。

 

 

なるほど…。そんな歴史があったのか…

 

 

だからハーバードなどのユニテリアン化を受けて、カルヴァン派の人々は新たな牧師育成学校を作る必要に迫られた。

 

それがアマースト大学だったわけだ。

 

 

そういえば日本を代表するキリスト者、新島襄や内村鑑三もアマースト大学出やったな。

 

 

その通り。

 

そして新島襄の先輩だったのが、あのクラーク博士だ。

 

その縁で来日し、札幌農学校の事実上の校長となったクラークは、学生たちにカルヴァン主義を説いた。

 

学問を学ぶにあたって学生たちに署名させた「イエスを信じる者の誓約」は、まさにカルヴァニズムの神髄だよね。

 

 

だからジョン・C・クーリッジはアマースト大学を卒業してからカルビン・クーリッジと名乗るようになったのか。

 

でもなんでそんな人が「1924移民法」みたいな人種差別的な法律を施行しちゃったんだろう?

 

 

どうなんだろうね。

 

黄禍論や反ユダヤ主義が高まっていた世論に押されたとも言われてるし、元々そういう気のある人物だったとも言われている。

 

彼はカルヴァン主義に基づいた集団自治による初期のニューイングランド社会を理想とし、徹底した「小さな政府」論者だったから、政府のケアが必要な人々が増えることは好ましくはなかったんじゃないかな。

 

だから「1924移民法」にもサインしたんだと思う。人種差別的というより「理想のアメリカ」のためだろうね。

 

レーガン大統領はカルビン・クーリッジを非常に尊敬していて、思想や政策面にも影響を受けていたのは有名な話だ。

 

 

なるほどな。

 

またややこしい大統領を持ち出したもんや、ダニエル・エスピノーサ監督と脚本家連中は。

 

 

この映画は「エイリアン(異邦人)」による「移民・入植」がテーマだからね。

 

そして火星のエイリアンに、カルビン・クーリッジ大統領の「カルビン」が名付けられる。

 

代表に選ばれたドミニクちゃんは、こう高らかに宣言した…

 

 

「We name the Martian after our school, Calvin !」

 

 

「Martian(火星人)」には「Martin Luther(マルティン・ルター)」がかけられてるから、これはジョークだよね。

 

「このルター派は以後カルヴァン派と呼びます!」

 

と言ってるに等しい。

 

ルターが始めてカルヴァンが先鋭化させた宗教改革の流れを言い表している。

 

 

 

それをカトリックの守護聖人「聖ドミニコ」の名を持つ少女ドミニクが発表するんやさかい、強烈な皮肉がきいとる。

 

 

だね。

 

この映画をB級SF映画扱いする人が多いようだけど、制作陣の意図は別のところにあったんだよ。

 

さて、カルヴァン主義について簡単に説明しよう。

 

Jean Calvin (1509-1564)

 

フランスに生まれたカルヴァンは、プロテスタント弾圧を受けてスイスへ亡命した。

 

そして宗教改革運動の論客として活躍し、後世に大きな影響を与えることになった『キリスト教網要』を発表する。

 

 

むかし世界史の授業で聞いた覚えがあるわ、それ。

 

内容は知らんけど。

 

 

実はこの『キリスト教網要』が、映画『LIFE』のストーリーに大きな意味を持っているんだよ。

 

エイリアンの描写、人間たちの行動と運命、これらすべてが『キリスト教網要』とカルヴァンの思想を元ネタにしているんだね。

 

 

マジで!?

 

 

 

というわけで、続きは次回の講釈で。

 

 

 

JUGEMテーマ:映画

なぜ『ライフ』は『遊星からの物体勝戮隼てるのか?〜『LIFE』解説5

  • 2018.07.21 Saturday
  • 17:41

 

 

 

さて、いよいよ地上との生中継シーンのクライマックス、火星で見つかった地球外生命体へのネーミングの瞬間だ。

 

 

前回までを未読の人はコチラをどうぞ!

 

 

 

中継映像も観といたほうがええな。

 

各乗員のインタビューのあとにタイムズスクエアでの命名式が始まるで。

 

 

 

全人類、というか全アメリカ人を代表して発表するのはドミニクちゃんだ。

 

 

 

「私たちのカルビン・クーリッジ記念小学校が11000校の中から選ばれたことを大変名誉に思います。そして私たちの校名にあやかって、この火星人をカルビンと名付けます!」

 

 

 

なんで全人類にとっての大発見をアメリカ人が私物化するんや?

 

 

そうだそうだ!

 

オイラの通う「官渡小学校」の名前でもいいじゃないか!

 

 

カントはアカン。映画がR指定になってまう…

 

つうかお前んとこの学校は三国志か。

 

 

エイリアンの形態も変わっちゃいそうだよね。

 

言葉にするのは難しいんで、絵にするとこんな風に…

 

 

やめんかボケ!通報されるわ!

 

 

冗談冗談、デヴィッド・ジョーダン。

 

まあふざけるのはこのくらいにして…

 

このドミニクちゃんのセリフは、この映画における最重要のセリフだと言っていい。

 

この映画のテーマすべてが凝縮されていて、しかも最上級のジョークにもなっているという、とんでもないセリフなんだよ。

 

僕はこのセリフだけで、どんぶり飯が三杯食べられるな…

 

 

このセリフでどんぶり飯が三杯も!?

 

ウナギを焼く煙か!

 

 

このシーンの旨味ポイントは以下の通りだね。

 

 

1、選ばれた少女の名前が「ドミニク」

 

2、彼女の学校の名前が「カルビン・クーリッジ記念小学校」

 

3、火星人(Martian)に「カルビン(Calvin)」と命名

 

 

「ドミニク」って名前が美味しいの?

 

 

うん。実に香ばしいよね。

 

まあこれまで様々なSF映画で使われてきた定番ネタなんだけど。

 

 

定番ネタ!?

 

 

「Dominique」とはラテン語の「Dominicus」が由来の名前で「神に統治される者」という意味なんだよ。

 

「Domini」が「神・主」だからね。「主の年」を意味する西暦の「A.D.」の「D」も「Domini」だ。

 

ちなみに「Dominions」で「主の支配を支える者」という意味になる。人気キャラクターの「ミニオンズ」はここから取られた名前だね。

 

だから彼らは常にボスを必要とするんだ…

 

 

 

 

うわあ!そうゆうことだったのか!

 

 

クリストファー・ノーランの代表作『INCEPTION(インセプション)』で、レオナルド・ディカプリオ演じる主人公の名前が「ドミニコ(通称ドム)」だったのも同じ理由だ。

 

 

ドムは自分が主体的に行動していると思っていたけど、実は全て妻モルの思う通りに行動させられていた。

 

アリアドネもサイトーも、実はモルの「なりすまし」だったんだ。映画の全編にわたって、モルが場を支配してるんだよね。

 

あの映画は、妻モルが夫ドムにインセプションする物語…、つまり、トラウマに囚われている哀れな夫を、妻が解放してあげる物語なんだ。

 

だけど天才クリストファー・ノーランによって、主人公ドムも観客も完璧に騙されてしまったというわけ…

 

『インセプション』徹底解剖

 

 

そういえば、そうだったな…

 

一年前のことなんで、すっかり忘れてた…

 

 

そしてSFホラーの古典的名作『The Thing(遊星からの物体勝法戮癲屮疋潺縫魁廛優燭駆使されている。

 

いや、駆使どころの騒ぎじゃないな。あの映画は「ドミニコ」から作られたと言っても過言ではない。

 

犬、体内への取り込み、奇形への変身、火、世界への拡散…

 

これら全てがドミニコ由来のネタなんだ。

 

 

 

どこがやねん?

 

 

実を言うと『遊星からの物体勝戮蓮▲トリックの聖人でドミニコ修道会の創設者「聖ドミニコ」の物語が元ネタになってるんだ。

 

St.Dominic (1170-1221)

 

 

ハァ!?

 

ど、どゆこと!?

 

 

聖ドミニクには、彼にまつわる「3つの夢」というものがある。

 

まず1つ目の夢。これはまだ母ヨハンナがドミニクを妊娠中だった時の話。

 

ある日ヨハンナは不思議な夢を見た。

 

なんと、胎内のドミニクが「犬」の姿に変わり、腹から飛び出してきたんだ…

 

 

それグロ過ぎでしょ!

 

てか『遊星からの物体勝戮修里泙鵑沺

 

 

しかも元ドミニクの「犬」は、口に燃えさかる松明を咥えていた。

 

そして驚く母に向かってこう吠えたんだ…

 

「俺はこの火を世界中に放ってやる!」

 

 

『遊星からの物体勝戮任浪个杷海笋気譴襪曚Δ世辰燭韻…

 

 

せやけど「火」を「物体X遺伝子」としたら一緒やで。

 

あれを世界中に拡散させよう思うたわけやさかい…

 

 

この「松明の火」というのは「キリストの教え」の喩えなんだよ。

 

「世界中に火を放つ」というのは「世界中にカトリックの教えを遍く広める」という意味なんだ。

 

別に放火魔とかテロリストになろうってわけじゃない。

 

ヨハンナは「この夢はお告げに違いない」と喜んだ。生まれてくる子は大きな使命を持った人間なんだ…ってね。

 

 

なるほど…

 

 

そして聖ドミニコにまつわる2つ目の夢は「ロザリオ」の夢。

 

ドミニコが生きていた時代、南仏を中心にカタリ派という異端信仰が流行していた。

 

ある種の宗教改革運動みたいなもので、腐敗しまくっていたカトリック教会に多くの人々が反発していたんだ。

 

彼らは旧約聖書を否定し、イエスの思想と清貧生活のみを理想とし、「物質世界は悪魔が作った世界、精神世界は神が作った世界」と考えた。

 

聖ドミニコはカタリ派を再びカトリックの教えに改宗させることに心血を注いだんだ。だけどそれは困難を極めた。

 

ある時、ドミニコは夢を見る。聖母マリアが現れて、ドミニコにロザリオを手渡したんだ。

 

このロザリオの力によって、異端者カタリ派の改宗がスムーズに行くようになったと言われている。カトリック世界でロザリオが重視されるのは、これに端を発するんだそうだ。

 

 

ふむふむ。

 

 

そして3つ目の夢が、題して「マリアのどっきり大作戦」。

 

 

なんだよそれ!

 

ちょっとエッチな漫画のタイトルみたいじゃんか(笑)

 

 

カタリ派への改宗活動によりドミニコの評判は高まり、彼の創設したドミニコ会には多くの会衆が集まった。

 

そんなある時、ドミニコは天国に行く夢を見る。

 

夢の中でドミニコは思った。天国にはさぞかしドミニコ会の元メンバーがいるんだろうな、と。

 

 

元メンバーとか、やめい。

 

 

だけど天国を見渡せど、ドミニコ会の会員らしき人々はどこにもいない。

 

そこには微笑む聖母マリアがいるだけ…

 

ドミニコは焦った。

 

「もしかして私の教えも異端だったのか?弟子たちは地獄に堕ちたのか?」ってね。

 

すると聖母マリアが羽織っていたマントをひらりと広げた。

 

ドミニコは驚いた。マリアのマントの中には、多くのドミニコ会の信徒が包まれていたんだよ…

 

この夢を見たことでドミニコの不安は吹き飛んだ。ドミニコ会の信徒は、天国で聖母マリアの懐で幼子イエスのように守られることがわかったからね。

 

 

人って外からはうかがい知れない、いろいろな心配事があるんだろうね。

 

世間から成功者と思われているような人は特に…

 

 

オモロイ話やったけど、これ『遊星からの物体勝戮抜愀犬△襪鵑?

 

読んどる奴、みんなそう思ってるで。

 

 

もちろん関係あるとも。

 

長々と話をしたけど、この「ドミニコの3つの夢」を一枚の絵にした有名な作品があるんで見てもらいたい。

 

『聖ドミニコの夢』Bernardo Cavallino

 

 

ホントだ!3つの夢が一枚の絵になってる!

 

 

マリアからロザリオを受け取る夢やろ…

 

マントがマントをチラリして出て来た幼子イエスやろ…

 

そんで、端っこで「ああ!」って叫んどるのがドミニコのオカンやな…

 

 

確かにオモロイ絵やけど…

 

『遊星からの物体X』とは何のつながりもないやんけ!ええ加減にせえ!

 

 

よく絵を見てよ。他にも何か描かれてるでしょ?

 

 

他にも?

 

 

え…?

 

 

何この黒っぽい影!!!まさか奇形化した犬!?

 

 

 

 

くっついとる首は、まさに物体召笋鵑院!!

 

 

 

だから『遊星からの物体勝戮砲蓮△笋燭蕕函峺ぁ廚函崋鵝廚出て来るんだね…

 

この絵が元ネタだったんだよ。

 

さらに2011年に公開された前日譚『遊星からの物体勝Д侫 璽好肇灰鵐織ト』は、それがもっと顕著になっている。

 

 

 

真ん中の写真とか、ポッチャリ具合や髪型まで似せてある…

 

完全にオマージュじゃんか…

 

 

それだけじゃない。映画のストーリーにも影響してるんだよ。

 

聖ドミニコは異端者をカトリックに改宗することに生涯を費やした。いわばカトリックの守護聖人だよね。

 

だからノルウェー観測隊は全滅し、アメリカ観測隊は12人中2人が取りあえずは生き延びれたんだよ…

 

 

ハァ?意味がわからん。

 

 

つまり、あの映画で殺されちゃうのは「非カトリック教徒」なんだ。

 

当時のノルウェーはルター派が国教だったのでカトリック人口は1%ほど。だから確率的に観測隊には存在しないと言っていい。

 

いっぽうアメリカの場合、カトリック人口は17%ほどだった。

 

ぴったり「12人中2人」だよね。

 

だからノルウェー隊は全滅して、アメリカ隊は2人生き残ったんだ…

 

 

ま、マジですか!?

 

 

これを「カルヴァン主義」に置き換えたのが『LIFE』なんだよね。

 

映画に『遊星からの物体勝戮修辰りのシーンがいくつも出て来るのは、そういう理由からなんだ。

 

だから「ドミニクちゃん」だったんだよ。

 

そしてラストシーンでも『遊星からの物体X』への敬意を表してか「聖ドミニコ」ネタが使われる。

 

漁民が脱出ポッドの中を覗いて「誰も居ないのかな?」って考えるよね?

 

そしてカルビンの繭みたいなものに包まれてるデヴィッド・ジョーダン医師の顔が見えて「ひと安心」するんだ…

 

これ「聖ドミニコの夢」そのまんまだよね。

 

 

 

ああ、たしかに…

 

 

しかし『遊星からの物体勝戮砲弔い毒く語り過ぎちゃったな。

 

これがホントのカタリ派。なんちゃって。

 

 

・・・・・

 

 

ということで、このへんで次回へ続くとしよう。バイナラ。

 

 

 

JUGEMテーマ:映画

鎖国と呼称問題〜映画『LIFE』解説シリーズ4

  • 2018.07.20 Friday
  • 18:08

 

 

 

 

 

さて、映画『LIFE』(邦題:ライフ)の登場人物紹介シリーズも残るは二人。

 

今回は、生物学者のヒュー・デリー(英国)と、エンジニアのショウ・ムラカミ(日本)を解説しようかな。

 

 

 

待ってました、真田広之!

 

ちなみに他の搭乗員たちはコチラ!

 

司令官エカテリーナ・キャット

 

航空エンジニアのローリー・アダムズ

 

デヴィッド・ジョーダン&ミランダ・ノース

 

 

登場人物紹介シーンも、観といたほうがええな。

 

 

 

 

エカテリーナ司令官は、エアバイクをしていたデヴィッド・ジョーダンとランニングマシーンで走ってたミランダを踏まえて、地上の子供たちにこんなことを言ったね。

 

 

「これを見てるあなたたちは、宇宙トライアスロンの目撃者ね」

 

 

 

待てや。

 

トライアスロンっちゅうのは「ラン・バイク・スイム」の3つやろ。

 

2つしかないやんけ。

 

 

その通り。

 

だから7歳のレイラちゃんはエカテリーナ司令官に突っ込んだんだ。

 

 

「トイレはどうしてるんですか?」

 

 

 

へ?

 

なんでトライアスロンとトイレが関係あるの?

 

 

エカテリーナ司令官は「宇宙遊泳」の最中に「溺れて水死」するよね?

 

しかも「トイレ」みたいな宇宙服の中で…

 

 

 

と、トイレ!?

 

確かに背中のパックが貯水槽みたいだけど…

 

 

もうこの自己紹介シーンの時点で、彼女の運命は決まっていたんだ。

 

というか…

 

「エカテリーナ」という名前が付けられた時点で彼女の最期は定められていたんだよね。

 

モデルとなったエカテリーナ2世も、トイレの最中に心臓発作で倒れているから…

 

 

 

な、なんですとォ!?

 

 

自分から「トライアスロン」という言葉を出して「水場に関する事故」を想起させたエカテリーナ司令官に対し、レイラちゃんは鋭く突っ込んだ。

 

前回のアラン君同様、この小さなインタビュアーたちは油断ならないね。

 

そしてまたしてもエカテリーナ司令官は笑顔のままフリーズしてしまった…

 

そこで代わりに答えるのが、日本人のショウ・ムラカミ。

 

 

ショウ・ムラカミは、実際の「宇宙トイレ」をカメラに向かって説明する。まさに「ショウ・タイム」だ。

 

 

「漏斗(じょうご)、管(くだ)、吸引器…。ここISS(国際宇宙ステーション)でのやり方は、地球上にいる君たちのやり方とほとんど同じ」

 

 

ウケるよね。もうわかったでしょ?

 

モデルになった人物と、真田広之演じるショウ・ムラカミの役割が…

 

 

ぜんぜんわかりませ〜ん!

 

 

「SHO(ショウ)」とは「SHOGUN(ショウグン)」の「SHO」なんだよ。

 

そして彼が紹介してみせた「宇宙トイレ」とは、彼の「死に様」の暗示であると同時に「長崎の出島」の比喩でもあるんだ。

 

「出島」というシステムは、西洋文明の「吸引器」みたいなもんだからね。

 

「扇形の制限区域」が西洋文明を集める「漏斗」で、本土とつながる唯一の通路である「橋」が「管」にあたる…

 

 

 

しょ、将軍!?出島ァ!?

 

 

長崎の出島を作ったのは第三代将軍「徳川家光」だ。

 

扇形のデザインも家光の指示だったと言われている。

 

第三代将軍 徳川家光(1604‐1651)

 

長崎に出島を作り…

 

日本での布教活動を目論むイエズス会を追放し…

 

カトリックを国体への脅威とみなし、スペイン・ポルトガルと断交し…

 

異民族への布教にこだわらなかったカルヴァン派のプロテスタント国オランダとの貿易体制を確立し…

 

キリスト教を禁教としてキリシタンを厳しく処罰した徳川家光が、真田広之演じるショウ・ムラカミの役割なんだよ。

 

 

そういえば…

 

ショウと将軍徳川家光って「ヒゲの形」がそっくり…

 

真田広之がロン毛だったのも、チョンマゲを意識したものだったんだ…

 

 

 

ホンマやな。

 

せやけど家光の治世って、メイフラワー号によるピルグリム・ファーザーズのアメリカ入植の時期と重なるんとちゃう?

 

 

その通り。

 

家光の鎖国体制の確立と、カルヴァン主義のピューリタンによるプリマス植民地の設立は、まったく同じ時期なんだ。

 

だからISSの乗員6名の中に日本人が入ったんだね。

 

将軍家光はカルヴァン主義のオランダ人と手を結んだ。だけどキリスト教自体は厳しく弾圧し、国内へ入って来ることを徹底的に拒んだ。

 

この背景がショウ・ムラカミというキャラクターの行動原理となっている。

 

 

確かにそうだ…

 

出入口を閉鎖してエイリアンが入って来ないように頑張ってたもんな…

 

 

せやけど、防ぎきれんかったんや…

 

ひとつだけ残った出入口から侵入を許してもうた…

 

 

彼がカプセルに籠るのも象徴的なシーンだよね。

 

あれも「鎖国」のメタファーだ。

 

オランダとの交易は認める傍ら、キリスト教だけは絶対に国内へ入れないようにした徳川家光の姿だったんだよ…

 

 

 

うひゃあ!

 

あの時カルビンがカプセルの中へ侵入できなかったのも歴史通りじゃんか!

 

 

そして「ショウ・ムラカミ=徳川家光」説を決定づけるのが、彼に子供が誕生するシーンだ。

 

奥さんである「カズミ」が「メイ」を出産するところが中継されたよね。

 

「カズミ」とは「徳川和子」のことで、「メイ」とは和子が生んだ「明正天皇」のことなんだよ。

 

 

 

ちょい待て。

 

徳川和子っちゅうたら第二代将軍家忠の娘で、幕府の体制固めのために天皇家に嫁いだ姫やんけ。

 

確か夫は絶倫で有名な後水尾天皇やろ…

 

ショウ・ムラカミが家光やとすると、辻褄が合わん。

 

 

その通り。

 

和子は家忠の娘、そして家光の妹にあたる。

 

つまり和子の娘「明正天皇」は家光の「姪」なんだ。

 

だから映画でもこんな風に冷やかされたんだね…

 

 

「父親は別の男なんじゃね?」

 

 

 

 

 

確か、あの時ショウは、みんなに「Meet MEI(メイに会って)!」って紹介してたよな…

 

そしたら毒舌家のローリー・アダムズが「父親は違う男?」と聞いた…

 

「MEI」は「姪」でもあるから「Meet MEI!」は「姪に会って!」ともとれる…

 

和子が産んだ明正天皇は家光にとって姪だから、ある意味間違っていない…

 

なんじゃこりゃァ!

 

 

この脚本を書いたレット・リースとポール・ワーニックは、相当手の込んだことをしてるよね。

 

前にも解説した通り「メイちゃん」とは「メイフラワー号」のことでもあった。

 

でもそれだけじゃなかったんだね。こんな仕掛けも隠されていたんだ…

 

あまりにも手が込み過ぎていて、世界中で今まで誰も気付かなかった。映画の公開から一年以上も経つというのに…

 

僕は、こんな映画を放っておくことが出来ないんだよ。使命感を感じちゃうんだよね。

 

誰かがやらねば…誰かが書かねば…って。

 

 

お前はウルトラマンレオか。

 

 

ねえねえ…

 

「ショウ」はわかったんだけど「ムラカミ」のほうは?

 

まさか村上春樹とか?

 

 

たぶん村上直次郎じゃないかな。

 

日本のキリシタン研究の権威で、オランダの歴代カピタンの日誌を翻訳して江戸時代の日蘭関係の実態を明らかにした人物だよ。詳しくはこちらのサイトを見てごらん。

 

村上直次郎(1868‐1966)

 

さて、インタビューシーンに戻ろう。

 

ショウ・ムラカミが宇宙トイレの解説をして「みんなが地上でやってることと同じ」と言うと、生物学者のヒューイ・デリーが「違うことだってある!」と割り込んでくる。

 

 

ヒューイ・デリーは子供たちに「Dou you like peas?(豆は好き?)」と言い、一粒の「豆」を空中に浮かせて見せ、口を広げて飲み込みにいく。

 

まるで水面の小さな餌を大きな口で丸吞みするクジラみたいに…

 

 

ショウが「小水」の説明をするというオヤジギャグに対して、「ピー(pee:小便)」と「ピー(pea:豆)」のオヤジギャグで返したわけやな。

 

 

まさか!それは深読みでしょ(笑)

 

 

「ショウ」と「小水」はともかく、「pea」と「pee」はかけてあるよね。

 

ショウが「ここでのトイレのやり方は、みんなが地上でやるのと同じ」と言ったので、ヒューイ・デリーはカチンと来たんだ。

 

下半身麻痺の体である彼のトイレのやり方は「みんなとは違う」だろうからね。

 

だから「違うこともある!」と割って入って来たんだよ。

 

 

せやけど誰がモデルや?

 

イギリス人で「デリー」やさかい、インド系とか?

 

 

ヒントは「豆」だ。

 

 

まめ!?

 

 

豆は「pea」の他に何て言う?

 

 

それは簡単!ビーン(bean)でしょ?

 

 

そう。

 

だから「英国人ヒューイ・デリー」のモデルは「英国王ジェームズ1世」なんだよね。

 

James(1566-1625)

 

 

その「だから」は日本語的にオカシイよ!

 

全然「bean」と繋がってないじゃんか!

 

 

でもヒューイ・デリーと似たようなモン持っとるで。

 

 

あはは。面白いところに気が付いたね。

 

ヒューイ・デリーの「電気ショック棒」は、ジェームズ1世の王笏(おうしゃく)がモデルだったんだ。

 

 

そうゆう問題じゃないでしょ!

 

ますます「bean」と離れていってるよ!

 

 

ごめんごめん。

 

実はジェームズ1世の治世を「ジャコビアン時代」というんだよね。

 

英語で書くと「Jacobean Era」。「James」というのはヘブライ語の「Jacob」の変形だから、こう呼ばれるんだ。

 

そして「Jacobean」の中には…

 

 

「豆(bean)」がある…

 

 

そうゆうこと。

 

ちなみにジェームズ1世は、幼少時代「足」が不自由だった。7歳になるまで歩けなかったそうだ。

 

 

ま、マジで!?

 

ヒューイ・デリーの足が不自由だったのも、ジェームズ1世のせいなのか!

 

 

ジェームズ1世の少年時代は、人より運動能力は劣っていたけど、ちょっと不思議なタイプの子だったらしい。

 

ある時、枢密院の玉座に座っていたジェームズ少年は突然「この議会には穴がある」と呟いた。

 

驚いた重臣たちがよく調べると、議事堂の天井に小さな穴があいているのが見つかった。

 

「なんと御聡明な王子、どんな異変も見逃さない」と皆が感心してると、議員のひとりが急死して、人員面でも議会に穴があいてしまう事態に…

 

この出来事でジェームズは「神童か?それとも予言者か?」と騒がれるようになったという。

 

 

ヒューイ・デリーの「穴」事件も、ここから来てるのか…

 

彼は穴を見逃しちゃったけど…

 

 

そして「デリー」とは、インドの「デリー」ではなく、北アイルランドの都市「DERRY」のことだ。

 

ジェームズ1世は1604年に「デリー」を自治都市と認める勅許状を出した。

 

そして1613年には、この町を永久に「ロンドンデリー」と呼ぶことを命じる勅許状を出したんだね。

 

 

二度も勅許状を?

 

しかも「デリー」を「ロンドンデリー」と呼ぶことの命令って、どうゆうこと?

 

 

デリーは英国によるアイルランド植民地化計画の前線基地だったんだ。

 

アイルランド島北部の町デリーを中心に、イングランド人による植民を進めていったんだね。

 

そして1604年に「デリーを自由都市とする」という1回目の勅許状が出された。

 

でもアイルランド人は怒り狂った。

 

「自由都市?ふざけんな!俺たちにとっては不自由だ!」

 

そして町は破壊されてしまう。

 

ジェームズ1世は英国の橋頭堡であるデリーの再建を目指すが、慢性の財政赤字でおカネが無い。

 

そこでロンドンのシティの商工業組合がお金を出し、町を再建することになった。しかも今度はアイルランド人を威圧するために、強固な城壁付きで…

 

ジェームズ1世はロンドンのシティに頭が上がらなくなり、2度目の勅許状でこう宣言する。

 

「これよりデリーは、いかなる時も、ロンドンデリーと呼ばれなければならない」

 

 

 

 

つまりロンドンのシティが「デリー」のスポンサーになったから「ロンドンデリー」と呼ばれるようになったっちゅうわけか…

 

ネーミングライツみたいなもんやな…

 

 

そういえば『ロンドンデリーの歌』って曲もあったね。あれはこの町のことを歌ってるの?

 

 

いや、全然関係ない。

 

最初に楽譜に記録したのがロンドンデリー在住の人で、タイトルが不明だったから、便宜上この名が付けられただけなんだ。

 

だから『ダニーボーイ』をはじめ、いろんな歌詞が乗せられる。

 

最近ではこんなバージョンが話題になったよね…

 

やなぎなぎ『クロスロード』作詞:新海誠

 

 

思い出した!

 

そういえば「デリー/ロンドンデリー」呼称問題っちゅうものあったな!

 

 

そうなんだよ。

 

北アイルランド問題において、この町は象徴的な存在となっている。

 

イギリス連合王国にとどまることを主張するプロテスタント・ユニオニスト・忠誠派は「ロンドンデリー」という名前にこだわり、アイルランド統一を目指すカトリック・共和派は町の名に「ロンドン」が冠されることを屈辱とし「デリー」の呼び名にこだわった。

 

かつてのIRAの過激なテロは無くなったけど、今でも両者の軋轢は根深く残っているんだ。

 

そんなデリーの少女たちを描いた『DERRY GIRLS』という映画も作られた。

 

英国から引っ越して来たアイルランド語(ゲール語)を喋れない少年の名が「ジェームズ君」なんだけど、これって間違いなくジェームズ1世が投影されているよね。

 

 

 

デリー・ガールズ、何しゃべってるのか全然わからねえ…

 

 

なかなか面白そうな映画だよね。

 

では『LIFE』の話に戻ろう。

 

豆を飲み込んだヒューイ・デリーは、子供たちにこう尋ねた。

 

 

「さて、もう名前は決まったのかな?」

 

 

そもそもこのインタビューは、初めて発見された地球外生命体に付けられる名前の発表イベントの前座みたいなものだったんだ。

 

 

このセリフをヒューイ・デリーが言うって、「デリー/ロンドンデリー」の名前問題が解決してないことへの皮肉でもあるね!

 

 

まさに。

 

この映画って政治風刺も結構キツいんだ。

 

さて、ヒューイ・デリーの問いかけで、映像はニューヨークのタイムズスクエアに切り替わる。

 

 

というわけで今回はここまで。

 

次回は「カルビン」と登場人物の関係性について見ていこう。

 

 

JUGEMテーマ:映画

TESTAMENTとTEMPEST(そしてちょっとCHESSの話)〜映画『LIFE』解説3

  • 2018.07.10 Tuesday
  • 13:31

 

 

 

 

 

 

 

さて、映画『LIFE(ライフ)』の登場人物解説3人目は、ジェイク・ギレンホール演じる「デビッド・ジョーダン医師」だ。

 

 

 

 

1人目の「キャット司令官」は「ロシア皇帝エカテリーナ2世」と「アメリカン・ショートヘアー」だったね。

 

詳しくはコチラで。

 

 

そして2人目「ローリー・アダムズ飛行士」は「俺ちゃんデッドプール」と「アメリカ第2代大統領ジョン・アダムズ」だった…

 

詳しくはコチラで。

 

 

 

デヴィッドは、インタビュー・シーンではエアバイク漕いどったな。

 

 

 

こんなやり取りが交わされていたね。

 

 

 

キャット「こちらにいるジョーダン医師は、宇宙での連続滞在記録を塗り替えようとしています。現在は連続473日」

 

 

すると、キャット司令官を鋭い質問で困らせた少年アラン君が、またもやナイスなツッコミを入れる。

 

 

アラン君「きっとママは淋しがってるよ」

 

 

ジョーダン「そうだね。でも僕にとって、ここにいる皆が家族なんだ」

 

 

 

これがヒント?

 

何の変哲もない普通の会話じゃんか。

 

オイラたちを担ごうったって、そうはいかないぞ!

 

 

せや。アランのツッコミの、どこが鋭いんや?

 

アホも休み休みに言え。

 

 

主よ、お許しください…

 

この者たちは自分が何を言っているのかわからないのです…

 

 

なぬ!?

 

 

では単刀直入に言おう。

 

アラン君は見抜いていたんだ…

 

医師デビッド・ジョーダンのモデルが、イエス・キリストだということを…

 

 

じ、ジーザス!?

 

 

だって名前がそもそも「David Jordan(デビッド・ジョーダン)」だよ。

 

「Jordan」とはヨルダン川沿岸地域のことだし、「David」とは「ダビデ王」のことだ。

 

イエスは「ダビデの町」ベツレヘムで生まれ、福音書の中では何度も「ダビデの子」と表現される。

 

新約聖書の巻頭、第1章第1節のフレーズは「アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図」というものだったよね?

 

アブラハムからダビデまでが14代、ダビデから28代あとの子がイエスなんだ。

 

 

ああ、そうだった…

 

じゃあ地上で「寂しがってるママ」って、もしかして…

 

 

マリアのことだね。

 

そしてデビッド・ジョーダンは「ここ(宇宙ステーション)にいるクルーが僕にとっての家族だ」と答えた。

 

これは『マタイによる福音書』第12章の引用だな。

 

イエスは血の繋がった母や兄弟よりも、共に行動する弟子たちを「家族」と呼んだ。天の父の御心と共にある者を「真の家族」と考えたんだね…

 

12:46 イエスがまだ群衆に話しておられるとき、その母と兄弟たちとが、イエスに話そうと思って外に立っていた

12:47 それで、ある人がイエスに言った、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟がたが、あなたに話そうと思って、外に立っておられます」

12:48 イエスは知らせてくれた者に答えて言われた、「わたしの母とは、だれのことか。わたしの兄弟とは、だれのことか」

12:49 そして、弟子たちの方に手をさし伸べて言われた、「ごらんなさい。ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。

12:50 天にいますわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」

 

 

そっか…

 

国際宇宙ステーションって「天」に浮かんでいるもんな…

 

だからクルーが「家族」なんだ…

 

 

そしてイエスもデビッド・ジョーダンも…

 

長い間、地上世界を離れとる…

 

 

うまいよね。僕はこの会話で大爆笑してしまった。

 

さて、デビッド・ジョーダンが「母は淋しがってるけど、僕にはここに家族がいる」と言ったことに、ミランダ・ノース検疫官が口をはさむ。

 

 

「確かに。子を失った母の辛さを何とも思わないような人たちがね…」

 

 

 

わーい!オイラの大好きな綺麗なお姉さんレベッカ・ファーガソンだ!

 

 

せやけど、かなりきっついツッコミやで…

 

ミランダは何でこんなこと言うたんや?

 

たまたまイライラしとっただけか?

 

 

彼女のモデルとなった人物は2人いるんだけど、どちらも「母子の別れ」を経験していたからだよ。

 

 

誰と誰!?

 

 

まず一人目は「ミランダ」だ。

 

またもや名前そのまんまだね。

 

 

 

へ?まさかミランダ・カーじゃないよね?

 

どちらのミランダさん!?

 

 

ミランダとは、ウィリアム・シェイクスピアの最後の作品『テンペスト』に登場するヒロインの名前だよ。

 

ミランダの父プロスペローは魔術に没頭するあまり、実の兄弟によってミラノ大公の座を追われた。

 

そしてプロスペローは生まれたばかりの娘ミランダだけを連れて絶海の孤島に亡命する。その島でミランダは文明社会と隔離されたまま育ったんだ。

 

 

ミランダ・ノース検疫官が「隔離」の専門家なのは、ここから来てるのか!

 

 

ちなみに彼女が最後に宇宙空間に飛ばされちゃうのも『テンペスト』ネタなんだ。

 

ミランダ・ノース検疫官はラスト前の場面で「父に会いたい」と言ったよね。あれが「死亡フラグ」だったんだよ。

 

 

嘘コケ!

 

今『テンペスト』のウィキ読んだけど、ラストは父プロスペローと一緒にイタリアに戻るハッピーエンドやんけ!

 

 

違うんだな。

 

ミランダ・ノースの「願い」が叶って、父プロスペローに会いに行ったんだよ…

 

天王星のほうまで…

 

 

て、天王星!?

 

 

実は天王星には「プロスペロー」という名の衛星があるんだ。

 

だから「父に会いたい」と言ったミランダ・ノースは宇宙空間へ飛ばされちゃったんだね。

 

父のいる天王星めざして…

 

 

マジかよ…

 

あのアクシデントは必然だったのか…

 

 

映画『LIFE』で起こることは、すべて必然だ。

 

最初から「予定」されていたことなんだよ…

 

 

ま、マジで!?

 

 

実は地球外生命体カルビンって「予知能力」を持っているんだよね。

 

ちょっと先のことが読めるんだ…

 

 

そうだったの?

 

映画ではそんなこと言及されてなかったけど…

 

 

そこに気付けなかったから、あんな大惨事になったんだよね…

 

ヒントは至る所にあったのに…

 

このへんはカルビン紹介の回でゆっくり解説しよう。

 

 

さて、ミランダ・ノース検疫官はあのアクシデントの前に、万が一の事態に備えてメッセージを録音していたよね?

 

「地球外生命体カルビンは、これまで見たことも無い、想像を絶する生物だ…」って。

 

これも『テンペスト』ネタなんだよ。

 

ヒロインのミランダは、もの心ついた時から父プロスペローと二人っきりで、他の男性を見たことなかった。

 

王族への復帰を画策するプロスペローは、宿敵ナポリ王の息子ファーディナンド王子の乗る船を魔術で遭難させ、自分の島に上陸させる。

 

そして彼と娘のミランダをくっつけて、結婚させようと考えた。そうしたら自分は次期王妃の父として華々しい世界へカムバックできるからね。

 

プロスペローは若い二人に「ひとめぼれ」の魔法をかける。

 

これまで父親以外の男を見たことなかった上に魔法までかけられたミランダは、若く逞しい王子を見るや否や衝撃を受けた…

 

 

「この世のものとは思われないわ…。生きているもので、これほど立派なものなんて見たことない…」

 

 

 

アハハ!どっちのミランダも想像を絶する衝撃を受けたんだ!

 

 

おい、ちょっと待てや…

 

後者のミランダのセリフ、何か変やろ…

 

 

ふふふ。

 

「あとは若い二人で…」とばかりに洞窟の中の部屋で二人っきりにされたファーディナンド王子とミランダ。

 

しばらくしてプロスペローは様子を覗きに行く。結ばれたかどうか気になって仕方がなかったんだ。

 

そっと近付いて出入口の幕をめくってみると、ファーディナンドとミランダが「チェス」をしているのが見えた…

 

ミランダ「あら、今のはごまかしよ」

 

ファーディナンド「とんでもない、そんなことするもんですか」

 


 

なぜにチェス?

 

ひとめぼれ魔法をかけられた二人でしょ?

 

 

ちぇ、チェスは隠語や!

 

「CHESS」は「SECHS」のアナグラムになっとんのや!

 

「SECHS(ゼックス)」とはドイツ語の「6」のことやけど、英語の「SEX」と発音がめっちゃ似とる…

 

 

その通り。

 

シェークスピアはストレートな性表現を避けて、アナグラムで「ごまかし」たんだよ。

 

シェークスピアの分身でもあるプロスペローに覗かれた時のミランダとファーディナンドの会話は、メタ視点のギャグになってるんだ。

 

わざわざ「CHESSしてた」なんてドイツ語のアナグラムで誤魔化さずに、はっきり「SEXしてた」と書けばいいのに…という自分自身に対するツッコミだね。

 

これをカズオ・イシグロは短編集『夜想曲集』で引用したわけだ。

 

第4話「Nocturne」ではやたらとチェスが連発される。しかも「メグ・ライアンにもらったチェス」だったよね。

 

「MEG RYAN(メグ・ライアン)」は「GERMANY(ドイツ)」のアナグラムになっている。

 

つまり「メグ・ライアンのチェス」とは「SECHSと読んでください」という意味だったんだ。

 

だからホテルの部屋で熟年の男女が「チェス」ばかりしてたんだね(笑)

 

 

シェイクスピアもカズオ・イシグロも、英国人って何でそんなにムッツリスケベなの!?

 

 

英国人は関係あらへん…

 

物書きなんちゅう生きモンは、万国共通、みんな変態や。

 

 

笑えるね。

 

さらに言うと『テンペスト』には謎の怪物が登場する。

 

プロスペローとミランダ父娘が辿り着いた孤島に住んでいた魔物「Caliban」だ。

 

 

 

きゃ、キャリバン!?

 

 

宇宙刑事か。

 

 

違うでしょ!

 

名前が映画『LIFE』の怪物「Calvin(カルビン)」とよく似てるってこと!

 

 

おお、せやな…

 

 

しかも横たわったオッサンの「足」を美味しそうにペロペロ舐めてたじゃんか…

 

カルビンも同じことしてたよね…

 

 

せ、せ、せやった!

 

 

実を言うとね、『テンペスト』と『LIFE』は、そっくりなシーンだらけなんだ。

 

セリフもたくさん引用されてるんだよね…

 

 

なんで!?

 

 

『テンペスト』って、当時の新大陸ブームを背景に書かれたものなんだ。

 

この頃、多くの野心家が新大陸で一旗揚げようと海を渡った。未開の地を拓いて、植民地として立ち上げに成功すれば、まさに一国一城の主になれるからね。植民地経営者は領主様、ちょっとした貴族みたいなもんだったんだよ。

 

だけど失敗して帰ってくる者も多かった。

 

シェイクスピアはそんな「敗者たち」から話を聞き、『テンペスト』の構想を練ったと言われている。

 

海を渡り一発逆転を狙ったプロスペローのモデルは、新大陸へのチャレンジャーたちだったんだね。

 

そして、シェイクスピアがモデルにしたと言われる人物が、あのメイフラワー号に乗っていた。

 

アメリカ人の始祖と呼ばれる「ピルグリム・ファーザーズ」を新大陸に運んだメイフラワー号にね…

 

 

ハァ!?

 

 

シェイクスピアが『テンペスト』を書いたのが1610年頃。そしてピルグリム・ファーザーズがメイフラワー号で海を渡ったのが1620年のこと。

 

ほぼ同時代の出来事なんだ。

 

新天地アメリカに「神の国」を建てようと考えたピルグリム・ファーザーズたちは、信仰心は篤いけど「国造り」に関しては素人だった。

 

インディアンの土地の中にゼロから作るわけだから、交渉のプロ、土木・設計のプロ、そして軍事のプロが必要になる。

 

だから「助っ人」を連れていったんだね。メイフラワー号102人の乗員のうち、約半数がこれらの助っ人だったんだよ。

 

その中にシェイクスピアが『テンペスト』のモデルにしたと言われている人物がいた。

 

一度は植民地経営に失敗してるとはいえ、その経験はとても貴重だ。そこを買われて参加したんだろうね。

 

 

 

やっぱりこっちにつながっていくんだな…

 

 

『テンペスト』も、言ってみれば「エイリアン」の物語だからね。

 

勝手に島にやって来た異邦人が、全く異質な文化をもつ先住民を支配しようとした。異邦人から見れば異文化の先住民は「エイリアン」だけど、先住民から見れば異邦人も「エイリアン」だ。

 

これは『LIFE』の構図と全く同じだね。

 

グロテスクに描かれるけれど、『テンペスト』の「Caliban」も『LIFE』の「Calvin」も、何も悪いことはしていない。

 

 

どちらの物語でも、ある日人間が突然やって来て、「人間=親、先住民=子」という上下関係を押し付け、頼んでもないのに支配しようとしたことに対し、先住民としての自己防衛を行っただけに過ぎないんだ。

 

ただ『テンペスト』の場合は、最後に人間は元いた世界へ帰って行き、先住民は奴隷状態から解放されるんだけどね…

 

 

シェイクスピアが寓話的に描いたものを、『LIFE』はテーマをより先鋭化させて、視覚的にもリアルに描いたっちゅうわけか…

 

 

ミランダ・ノース検疫官の「Miranda」の件はわかった…

 

じゃあ苗字「North」は?

 

 

こちらは「ノース卿」のことだろうね。

 

 

Frederic North(1732-1792)

 

 

ノース卿?誰それ!?

 

 

アメリカ独立戦争時のイギリス首相だよ。

 

イギリスの「アンダー・コントロール」にあると思っていた植民地政府が牙をむいた時、こんなことを叫んだと言われている…

 

 

「なんという恐ろしいことだ…。このままではすべてが終わってしまう!」

 

 

 

それミランダ・ノース検疫官の警告メッセージ(笑)

 

 

笑えるよね。

 

ノース卿は「アメリカを失った首相」として有名なんだ。

 

これも「母子」の別れだよね。イギリスが「生みの親」で、植民地アメリカは「子」みたいなもんだから。

 

というわけで、ミランダ・ノース検疫官のモデルは「シェイクスピア『テンペスト』のミランダ」と「英首相ノース卿」でした。

 

だから彼女はイギリス人だったんだね。

 

 

ねえねえ…

 

さっき聞き忘れたんだけど、デビッド・ジョーダン医師が「アメリカ人」だった理由は?

 

イエス・キリストはアメリカ人じゃないでしょ?

 

 

そこはこの映画にとって重要なポイントだ。カルビンの回でたっぷり話すとしよう。

 

ということで次回は残りの二人のクルー、我らが真田広之演じるショウ・ムラカミと、生物学者のヒューイ・デリーを紹介します。

 

 

イギリス人やったヒューイは想像つくけど、日本人のショウ・ムラカミはわからんな…

 

ピルグリム・ファーザーズにもアメリカ独立戦争にも日本人は絡まんやろ。

 

 

ふふふ。乞うご期待。

 

 

JUGEMテーマ:映画

俺ちゃん、エイリアン法を語る〜映画『LIFE』解説2

  • 2018.07.08 Sunday
  • 08:27

 

 

 

 

さて、前回に引き続き「アメリカの子供たちによる宇宙飛行士インタビュー・シーンから見える映画の真のストーリー」を考えていこう。

 

 

二人目は、ライアン・レイノルズ演じる航空エンジニア「ローリー・アダムス」についてだったね。

 

 

 

ロシアの女帝「キャット」こと「エカテリーナ司令官編」はコチラ!

 

第1回「キャット司令官編」

 

 

ライアン・レイノルズっちゅうたら、今ノリノリの役者やな。

 

 

まさにそうだよね。

 

かつて「グリーン・ランタン」だった彼は、今では「俺ちゃん」こと「デッドプール」として世界的人気を博している。

 

 

 

グリーン・ランタン!

 

すっかり忘れとったけど、レイノルズはDCのヒーロー「グリーン・ランタン」も演じとったな…

 

せやけど大コケしてデップーに専念することになり、結果としてそれが吉と出たんや…

 

 

ちなみに彼は、2019年に公開される実写版ポケモン映画『名探偵ピカチュウ』で「ピカチュウ」の声を演じることになっている。

 

 

 

マジで!?俺ちゃんがピカチュウやるんか!

 

せやけど、こうして並んどると、まるでセネガル国旗やな…

 

 

 

なるほど、確かに!

 

じゃあライアン・レイノルズには、こちらも2019年11月に公開予定の「ソニック君」実写版でも主演してもらわないとな…

 

エグゼクティブプロデューサーが『デッドプール』の監督さんらしいから…

 

そしたら、青が加わってモーリシャスの国旗に…

 

 

 

そう来たか!

 

せやけど青キャラやるんやったら、ついでに白キャラ映画でも主演して…

 

これでセーシェルの国旗が完成や!

 

 

 

あんたら、さっきから何ライアン・レイノルズで遊んでんだよ!

 

しかもその白キャラ映画での主演とか、絶対ありえないし!

 

 

ごめんごめん。

 

「グリーン・ランタン」の話題を出したかっただけなんだけど、ついつい悪ノリしてしまった…

 

アラン君が「宇宙人は緑色なの?」って質問して、キャット司令官がそれを否定して、そのタイミングで、かつてグリーン・ランタンを演じたライアン・レイノルズが割って入って来るなんてナイスだよね…って言いたかっただけなんだ。

 

 

それだけのためやったんか…

 

めっちゃ時間かけて画像を作っとったけど、アホやな。

 

 

さて、アラン君の次の質問者は8歳のマリちゃん。

 

彼女はアダムスにこんな質問をぶつけた。

 

 

「エイリアンを地球に連れてくるの?」

 

 

アダムスは答える。

 

 

「いや、今は隔離しなきゃ。安全なこの場所で、奴が何者なのか知る必要がある」

 

 

 

これも「モデルになった人物」のヒントになってるの?

 

 

もちろん。

 

まあ「RORY ADAMS」という役名を見れば一目瞭然なんだけどね…

 

さっきのセリフは、アメリカ合衆国の第2代大統領ジョン・アダムズが元ネタなんだ。

 

John Adams 1735-1826

 

 

エカテリーナ・キャット司令官は「エカテリーナ2世」で、ローリー・アダムズは「ジョン・アダムズ大統領」か。

 

そのまんまやんけ。

 

 

そう、そのまんまなんだよ。わかりやすいでしょ?

 

 

じゃあ「ローリー」は?

 

寺西?

 

 

「RORY」という名前の語源は「赤い戦士」とか「錆びついた・役立たず」って意味なんだ。

 

前者ではライアン・レイノルズの代表作「デッドプール」を表していて、後者では無駄口の多い役立たずのアダムズ飛行士を表しているよね。

 

 

こっちもそのまんまだったんだ(笑)

 

 

さっきのセリフとジョン・アダムズ大統領の関係を教えろや。

 

アダムズ大統領は「エイリアン法」でも施行しようとしたんか?

 

 

それ月刊ムーで読んだことある!

 

アメリカの歴代大統領は、みんなエイリアンと会っているんだよね!

 

ヒラリー・クリントンは大統領になったらエイリアンの存在を公にするって言ったから、圧力がかかって当選できなかったんだって!

 

 

 

ベイビー、月刊ムーが宇宙人について書いていることは全部嘘だぜ。

 

 

ええ!そうなの!?

 

 

そうだろ?

 

 

何やってんだよ(笑)

 

 

めんごめんご。

 

しかしさっきの動画はダメだね。

 

初代大統領ワシントンと第3代大統領ジェファーソンを出して、肝心の第2代大統領アダムズに触れていない。

 

アダムズこそ「エイリアン法」を制定した張本人なのに…

 

 

ま、マジですか!?

 

 

ジョン・アダムズ大統領は「エイリアン法」にサインしたことで米国史に名を残した大統領なんだ。

 

この「エイリアン法」は4つの法律で構成されていたんだけど、そのうちの1つは今も有効で、トランプ政権になって再び論議の的になっている…

 

 

 

ええ!うそォ!

 

ギャグじゃなかったの!?

 

 

インディアン嘘つかない。おかえもんも嘘つかない。

 

 

そうゆうのいらないから、早く教えろ!

 

何だよ「エイリアン法」って!?

 

 

アダムズ大統領は4つのエイリアン関連法からなる『Alien and Sedition Acts』にサインし、1798年より施行された。

 

まず1つが「エイリアン帰化法」

 

それまでエイリアンは米国内に5年間滞在すればアメリカ国民として認められていた。それを一気に14年間に延長したんだ。

 

これによってエイリアンの米国市民権取得のハードルが高くなった。

 

そもそもこのエイリアン法は、アダムズ率いる連邦党が、ライバルであるトマス・ジェファーソンの民主共和党を潰すためだったと言われている。

 

民主共和党の支持者には、アメリカに来て日の浅いエイリアンが多かったんだ…

 

 

マジかよ…

 

そんなの学校では教えてくれなかった…

 

 

そして2つ目が「友好的エイリアン法」

 

この法律はエイリアンを「安全なエイリアン」と「危険なエイリアン」に分けることを目的とする法律だ。

 

ひとたび「アメリカ合衆国にとって危険」と判断されたエイリアンは、問答無用で国外退去、つまり排除される…

 

マリちゃんの質問にローリー・アダムズ飛行士が答えたのは、これを元ネタにしたものだね。

 

 

ん?

 

 

3つ目は「敵性エイリアン法」

 

アメリカ合衆国と敵対する勢力の在米エイリアンは「敵性エイリアン」とし、アメリカがその勢力と交戦状態に入った時は、彼らの資産を没収して強制的に身柄を連行したり、国外強制退去にすることができるというもの。

 

この法律は現在も有効で、これまで多くのエイリアンが「敵性」と見做され、強制収容所に隔離されてきた歴史がある…

 

 

すっご〜い!

 

アメリカには宇宙人がゴロゴロいるって話、ホントだったんだ!


 

そろそろ気付けや、ボケ。

 

全部「外国人」のことやんけ…

 

 

はにゃ?

 

 

だから前回も言ったよね?

 

「エイリアン」が「宇宙人」という意味で使われるようになったのは最近のことだって…

 

本来の意味は「外から来た人」だよ。

 

 

ああ、そうだった…

 

 

この『Alien and Sedition Acts』は、日本語では『外国人・治安諸法』と呼ばれる。

 

第二次大戦中は日系人も対象になったことは知ってるよね。多くの日系人が「敵性エイリアン」とされ強制収容所に隔離された。

 

ちなみに4つ目の法律は「治安法」だ。

 

これは外国人にかかわらず全ての人に対し、米国や大統領、連邦議会議長などへの「虚偽や誹謗中傷の文書」を出版することを禁じるもの。

 

つまり体制批判を封じるための言論弾圧だね。

 

 

自由と民主主義の国アメリカっぽくない…

 

 

でも、それくらい切羽詰まってたんだよ。

 

さすがに必要性が無ければ、こんな法律は施行されないでしょ。

 

 

確かに。


 

実は独立当時のアメリカって、いきなり「南北戦争」が起こってもおかしくない状態だったんだよ。

 

「奴隷制度の是非」や「フランス革命の解釈」で南北アメリカは最初から対立していたんだよね。フランス系住民の中にはパリ・コミューンの過激な政治思想をアメリカにも持ち込もうとする者もいたんだ。

 

でもまだ国家としての基盤が脆弱なので、何としても内戦だけは避けたかった。ここで内輪揉めなんか始めたら、新大陸で利権争いを繰り広げるイギリスやフランス、スペインなどの思う壺だから。

 

この危機を誰よりも理解していたのが、第2代大統領ジョン・アダムズなんだよ。

 

だからこんな国家としても人としても「汚点」になりかねない法律にもサインしたんだ…

 

この事実によってアダムズの評価は建国の父の中で最悪レベルだったんだけど、近年、再評価されるようになってきた。

 

長期的視野をもち、世論や感情に流されず、汚れ役を自ら買って出た真の愛国者だってね。

 

 

せやからローリー・アダムス飛行士は、エイリアンに過度な親近感を持つことに危機感を抱き、慎重な姿勢を貫いたんやな…

 

モデルになったアダムズ大統領そのまんまの性格なんや…

 

 

そうだね。

 

政治家になる前は剛腕弁護士として鳴らしたアダムズ大統領は、口が悪いことでも有名だった。皮肉とブラックジョークの天才だったんだよ。

 

そのへんも一緒だね。

 

 

なるほど…

 

まさに「俺ちゃん」だったのか…

 

 

さて、ローリー・アダムズ飛行士が答えた後に、キャット司令官はISS(国際宇宙ステーション)の説明をする。

 

ここも面白いんだ。

 

 

「ISSはとってもお金がかかるの。ここまでに建て増しをしながらtwo hundred billion米ドルという大金が注ぎ込まれてきたのよ。一日に地球を16周もして、ここ30年間で100人以上がISSに滞在したわ」

 

 

 

ただ普通に説明しただけじゃんか。

 

 

いや、数字がアヤシイんとちゃうか?

 

なんか他のことを意味しとるかもしれん…

 

 

その通り。

 

実は「30」を「20」にすると「ピルグリム・ファーザーズ」のことになるんだよ。

 

彼らは「1620」年にメイフラワー号でアメリカ東海岸のケープ・コッドに辿り着いた。

 

その人数は「102」人だったんだね。「two hundred」は逆さになってたんだ。

 

ちなみにイギリスを出発した時はメイフラワー号の他にスピードウェル号という船も一緒で、そっちには30名が乗り込んでいた。「30」はその数のことかもしれない。

 

 

 

 

細か過ぎでしょ!

 

 

でもね、この映画に出て来る数字は、全部別の意味が隠されているんだ。

 

そういうのを考えながら観ると面白いよ。

 

 

そんな観方は邪道だよ!

 

だいいちストーリーに集中できないじゃんか!

 

 

最初は見たまんまのストーリーに乗って楽しむ…

 

その後は映画制作者が仕込んだ仕掛けを拾いながら、そこに隠された真の物語を読み解く…

 

せっかくそういうふうに作られているんだから「見たまんま」だけ観てても勿体ないでしょ。

 

 

 

確かにカズオ・イシグロの『日の名残り』や『夜想曲集』、ケルアックの『孤独な旅人』、コーエン兄弟の『バートン・フィンク』、そしてクリストファー・ノーランの作品群など、これまでおかえもんが取り上げて来た映画や小説は、みんなそうだったけど…

 

 

いくら反響が毎回ゼロだからといって、僕を疑うのはそろそろやめてくれないか。

 

確かに僕の解説はいつも突拍子もないものかもしれない。他の人の解説を見ても、誰も僕と同じようなことを言ってる人はいないからね。

 

だけど、真実とは常に理解されないものなんだ。

 

あれだけの真実を説いたイエスだって、当時は理解されなかったわけだからね…

 

 

ということで次の「クルー紹介」は、ジェイク・ギレンホール演じる「デヴィッド・ジョーダン飛行士」だ。

 

 

この映画最大のキーパーソンだよ。お楽しみに!

 

 

 

JUGEMテーマ:映画

カルビン、宇宙を渡る〜『ライフ』よもやま話1

  • 2018.07.06 Friday
  • 22:32

 

 

 

 

カルビン?ライフ?

 

なんだこれ?

 

 

これのことやろ。

 

「カルビン」っちゅうのは火星からお持ち帰りした謎の生命体に付けられた名前や。

 

 

 

その通り。

 

この映画について、どうしても言っておきたいことがあってね。

 

 

また「宇宙人もの」か…

 

この前『メッセージ』やったばかりじゃん。

 

『ARRIVAL(邦題:メッセージ)』解説3

「Youは何しに函館へ?」

 

 

あれ、超自信作だったんだけど、例によって反響が全然なくてね…

 

このままじゃ悔しいんで、まだ誰も気づいてない『LIFE』の秘密を暴いちゃおうと思った次第。

 

今度こそみんなを僕の才能の前に跪かせてやる。

 

 

動機の不純度120%やな…

 

 

これまだ2017年の映画じゃん。

 

例によって究極のネタバレ解説するんだろうけど、いいのかな…?

 

 

たぶんこの映画は「うわべのストーリー」だけ追っても、たいして面白くないと思うんだ。

 

キャストが無駄に豪華なB級SF映画にしか見えないだろうから…

 

でも本当はすっごく社会風刺が効いた物語なんだよ。

 

いや「すっごく」どころじゃない。実は超ヘビーなテーマの映画なんだ。

 

ぼくとしては、そこを踏まえてこの映画を多くの人に観てもらいたい。

 

確かに究極のネタバレなんだけど、この映画をフルに楽しむためのトリセツだと思ってくれたらいい…

 

 

そこまで言うか!よし、話を聞いてやろう!

 

 

この物語は、「未知の生命体」を含んだ土壌サンプルを採取した火星探査機が、地球へ戻る前に国際宇宙ステーションに寄るところから始まる。生命体の安全確認のためにね。

 

で、ここがこの映画の脚本家の天才的なところなんだけど…

 

この冒頭シーンで既に映画の「究極のネタバレ」がさりげなく提示されているんだ。

 

 

ハァ!?

 

 

この火星探査機の名前が「PILGRIM7」というんだよね。

 

「PILGRIM」とは「巡礼始祖」という意味だ。

 

1620年にメイフラワー号で大西洋を渡ってマサチューセッツに入植した人たちを「ピルグリム・ファーザーズ」と呼ぶことは学校で習ったでしょ?

 

 

うん、習った!

 

でも何で「巡礼始祖」なんだろう?別にアメリカまで巡礼に来たわけじゃないでしょ?

 

 

いや、彼らにとっては「聖地巡礼の旅」だったんだよ。正確に言えば「新しい聖地」だけどね。

 

ピルグリム・ファーザーズと呼ばれた彼らは、清教徒、いわゆるカルヴァン主義を掲げるピューリタンだった。しかもイングランド国教会からの独立を訴える「分離派」と呼ばれる急進的なグループだったんだね。

 

だからイギリス国内で厳しく弾圧され、ひとまずオランダに逃げた。だけどイギリスとは目と鼻の先なんでイギリスの官憲の手からは逃れられなかった。

 

そこで彼らは新世界アメリカへ渡ることを決意する。

 

でも今と違って非常に危険な旅だよね。船なんて簡単に沈没するし、運よく上陸できても先住民のインディアンに皆殺しにされることも珍しくなかった。

 

だから彼らは自分たちをこう奮い立たせたんだ…

 

「俺たちは現代のモーセだ!危険な海を渡ったモーセの再来だ!神に見捨てられたエジプトのようなイギリスを捨て、俺たちは約束の地を目指す!海の向こうの新世界アメリカこそ、新しいイスラエルなのだ!」

 

 

マジで?

 

 

だからアメリカがイギリスと独立戦争を始めた際に「国印を決めよう」ということになったんだけど、その第一候補が「海を渡ったモーセと、海に飲み込まれるファラオの軍勢」のデザインだったんだよ。

 

「神は我らが側にあり!イギリスに未来はない!」ってことだよね(笑)

 

 

うわあ…

 

あの大英帝国と戦争になって興奮してたのはわかるけど、その後の外交とか考えたらボツにして正解だったな…

 

トランプ政権である今のアメリカがこれを使ってたらシャレにならない…

 

 

まあそういうわけで、『ライフ』という映画が「ピルグリム・ファーザーズ」の物語をベースにしたものであることがわかってもらえたと思う。

 

 

いや、全然わからないし!

 

「ピルグリム」なんて探査機の名前は「いつか火星に移住できたらいいなあ」くらいのノリで付けられたかもじゃんか!

 

 

まったく疑い深いなあ…

 

僕が言ってるんだから間違いないのに。

 

 

その謎の自信も意味不明ですから!

 

 

じゃあ順を追って説明していくしかないね。

 

まずは登場人物から。

 

火星探査機が到着した国際宇宙ステーション(ISS)には6人のクルーがいた。

 

 

各人の名前、演者、職業、国籍も紹介しよう。

 

デヴィッド・ジョーダン(ジェイク・ギレンホール):医師、USA

 

ミランダ・ノース(レベッカ・ファーガソン):検疫官、UK

 

ヒュー・デリー(アリヨン・バカレ):宇宙生物学者、UK

 

エカテリーナ・”キャット”・ゴロヴキナ(オルガ・ディホヴィチナヤ):司令官、RUSSIA

 

ローリー・アダムズ(ライアン・レイノルズ):航空エンジニア、USA

 

ショウ・ムラカミ(真田広之):システムエンジニア、JAPAN

 

 

いつもはこんなに登場人物を詳しく紹介しないよね…

 

国籍とか、なんか意味あるの?

 

 

あるどころの騒ぎじゃないよ。

 

名前と国籍で「モデルとなった人物」がわかるようになっているんだ。そこが理解できて初めて「真のストーリー」が見えてくるようになっている。

 

 

ええ!?

 

モデル!?真のストーリー!?

 

 

映画作る人が、何も考えずにキャラクターの名前つけたり国籍決めたりすると思う?

 

脚本家のレット・リースとポール・ワーニック、そして監督のダニエル・エスピノーサを甘く見ないでほしいね。

 

もちろん、この僕のことも。

 

 

あんたのことはどうでもいいから、「モデルになった人物」と「真のストーリー」とやらを解説しろ!

 

 

はいはい…

 

じゃあまずはこの動画を見てもらおうかな。

 

この映画の「秘密を解き明かすキーワード」がテンコ盛りのシーンだ。

 

地球外生物の発見に沸く地球の人々…というか、事の重大さがイマイチわかってないアメリカの子供3人の質問に、宇宙飛行士たちが答えるシーンだね。

 

 

 

「他愛もない」を絵に描いたようなシーンやんけ。

 

 

そうだよ、どこが「秘密テンコ盛り」なの?

 

アメリカの子供たち平均知能低すぎでしょ(笑)

 

 

わざとバカっぽい質問にしてるんだよ。「キーワード」を仕込むためにね。

 

まずはアラン少年がキャット司令官にこんな質問をする。

 

 

「(エイリアンは)緑色ですか?」

 

 

 

何がキーワードやねん。緑の宇宙人とかベタ過ぎるやろ。

 

こんなしょーもないガキが何でアメリカ代表でテレビに出とるんや?

 

アホちゃうか、アメリカ人。

 

 

いや、アラン君はとんでもなく鋭い質問をしているんだよ。

 

アホなのはナンボクのほうだ。

 

 

なんやとォ!?

 

 

まあまあ…

 

いったいどうゆうことなのさ、おかえもん?


 

アラン君はキャット司令官の「正体」を無意識下で見抜いてるんだよ。

 

彼女、実は「緑色をしたエイリアン」なんだよね…

 

 

 

 

ハァ!?なに言ってんだよ!?

 

アタマ大丈夫か?

 

 

恐らく世界初公開になるだろう…

 

これがキャット司令官の本当の姿だ…

 

 

 

いや…ちょっと待って…

 

確かに「緑色」だけど、どう見ても「エイリアン」じゃないでしょ…

 

てかこの人、誰?

 

 

 

緑色の軍服に身を包む男装の麗人…

 

彼女の名は、ロシアの女帝、エカテリーナ2世…

 

 

あ、あの有名なチチョ…じゃなくてエカチェリーナ2世!?

 

 

この緑の軍服姿は、彼女がクーデターを指揮した時のもの…

 

夫である皇帝ピョートル3世に反旗を翻し、力ずくで退位させ、自分が女帝となった時のものだ…

 

だから国際宇宙ステーションでも、司令官が男性じゃなくて女性だったんだね。

 

キャットの本名も「エカテリーナ」だから。

 

 

でもクーデターまで起こす女帝だからといって「エイリアン」のわけがない!

 

大黒屋光太夫みたいに直接会ったわけじゃないから断言はできないけど、99.999%人間のはず!

 

 

人間なのは間違いないだろう。

 

でも彼女は「100%エイリアン」なんだ。

 

 

へ?

 

 

どうやら君たちは「エイリアン=宇宙人」だと勘違いしてるようだね。

 

そもそも「alien」って「外国人・異邦人」って意味なんだよ。外から来た人は皆「エイリアン」なんだ。

 

「宇宙人」なんて意味で使い始めたのは、ここ最近のことなんだよね。

 

 

そ、そうなの!?

 

 

せやった!

 

80年代にはスティングが「ワイは法の上ではエイリアン」って言うとったやんけ…

 

 

 

エカテリーナ2世は、父がプロイセンの軍人で、母がデンマーク系ドイツ人貴族というルター派キリスト教徒の両親のもとに生まれ、2歳からはユグノーのフランス人、つまりカルヴァン派の教師のもとで育てられた。生粋のプロテスタントなんだ。

 

15歳でロシアに渡りロシア正教に改宗するんだけど、彼女にはロシア人の血は流れていない。だからロシア国民からするとバリバリの「エイリアン」なんだよね。

 

まあ当時のヨーロッパの王室では、決して珍しいことじゃないんだけど。

 

 

そうゆうことか…

 

アラン、すまん。馬鹿にして…

 

 

まだまだアラン君の凄さをわかってないと思うよ。

 

実はあの質問って「ダブルミーニング」になっているんだ…

 

「(エイリアンは)緑色ですか?」って…

 

 

「(外から来た人は)カトリックですか?」

 

 

という意味でもあるんだよね。

 

 

な、なんで?

 

 

アイルランドの国旗を思い出してごらん。あの三色ってどんな意味だったっけ…

 

 

 

え〜と…

 

緑がカトリックで、白が中立・調和で…

 

オレンジがオランダのカルヴァン派プロテスタント…

 

あっ!

 

 

そういうこと。

 

アラン君は、火星探査機「ピルグリム」に運ばれて来た「エイリアン」を「緑色ですか?」と聞いた。

 

でもこれは「海を渡って来たピルグリム・ファーザーズはカトリックですか?」という意味でもあったんだね。

 

 

げげぇ!

 

 

ちなみに言っておくと、この映画での「火星」とは宗教改革の父「マルティン・ルター」のことでもあるんだ。

 

 

Martin Luther 1483-1546

 

「Martian(火星人)」と「Martin(マルティン)」って一文字違いだからね。

 

「火星の土壌」から「カルビン」が採取されたというのは…

 

「マルティン・ルターが耕した宗教改革の土壌」から「カルヴァン主義」が生まれたという意味になっているんだよ。

 

 

全盛期の桂歌丸ばりの切れ味だ…

 

山田君、座布団…

 

 

面白いよね。

 

そしてキャット司令官はアラン君に対し、こんな風に答えるんだ…

 

 

「それはね、肉眼では見えないの。とっても小さな細胞なのよ。でもね、あなたの体だって、それが無数に集まって出来たものなのよ」

 

 

 

普通に細胞の説明じゃないの?

 

 

違うんだな。

 

彼女はアレン君に「アメリカ人」を説明しているんだよ。

 

アメリカ人の始祖ピルグリム・ファーザーズはカルヴィン主義の急進派である「分離派」だったんで、カトリックやイギリス国教会みたいにピラミッド型の聖職や教会組織を持たなかった。

 

信徒の万人が平等で、それぞれのグループにも上下関係はなかったんだ。そして教会もカトリックと違って超シンプル。質素で町内の集会所みたいな感じだったんだね。

 

つまり「NO COLOR」だったわけだ。

 

だけどスピリットは強い。見た目の派手さはないけど、ひとりひとりの個がしっかり立っていて、いざという時の団結力も半端ない。

 

その目に見えないピルグリム・ファーザーズの細胞が「アメリカ人」の体の中にはある…ってことをキャット司令官は言っていたんだ。

 

 

なるほどな…

 

せやけどキャット司令官はロシア人やろ?

 

なんでアメリカを熱く語るんや?

 

 

いいところに気が付いたね。

 

実はキャット司令官には、もうひとつ「モデル」がいるんだ。

 

そっちで彼女は「アメリカン」なんだよ。

 

 

 

もう「ひとつ」のモデルがアメリカン?

 

もう「ひとり」じゃなくて?

 

てか「アメリカン」って「アメリカ人」と違うの?

 

 

そう。

 

キャット司令官は「ネコ」なんだ。キャットだけに。

 

 

ね、ネコやと!?

 

レベッカ・ファーガソン演じるミランダが「タチ」ってことか!?

 

 

いや、そういう意味じゃなくて。ホントの猫だ。

 

実はピルグリム・ファーザーズの船メイフラワー号には「猫」が搭乗していたんだよ。

 

当時船内にはネズミがたくさんいて、ただでさえ節約しなければならない食料を食い荒らしていたんだ。

 

だからヨーロッパから猫も載せて来たんだね。ネズミ退治のために。

 

そしてピルグリム・ファーザーズが産めよ増やせよ地に満ちよで「アメリカ人」になったように、その時の猫も負けじと繁殖して「アメリカン・ショートヘアー」になったというわけ

 

 

そうだったのか!

 

だからキャット司令官は「ショートヘアー」だったんだな(笑)

 

 

笑えるよね。

 

さて、キャット司令官の「アメリカ人論」にアラン少年は驚いてみせる。

 

そしてなかなかパンチのきいたセリフを吐くんだよ…

 

 

「僕の体の中にもエイリアンがいるってこと!?」

 

 

 

やるな、アラン。あいつ黒人やったさかいな。

 

おそらくピルグリム・ファーザーズの細胞は入っとらん。別ルートの「アメリカ人」や。

 

レニー・ブルースや全盛期のエディ・マーフィーばりにキレッキレの返しやで。

 

 

まだ動画のアタマ12秒しか解説してないのに、内容が濃過ぎる…

 

 

アラン君の予想外のマジ返しに、笑顔のままフリーズするキャット司令官。

 

うしろで作業をしてる振りして話をずっと聞いてたローリー・アダムスが、話を「表の筋」に戻そうと助け船を出す。

 

 

「君の先生も時々そう思ってるだろうな」

 

 

つまり、

 

「大人が答えに困るようなことを聞くんじゃねーぞ。マイノリティーだからって調子に乗るなよな…」ってことだね。

 

 

「俺ちゃん」にしては回りくどいツッコミや。

 

 

だよね。R指定じゃない映画だから遠慮してるのかもしれない。

 

しかも子供たちは無反応だった。つまり滑ったんだね…

 

微妙な空気を察したアナウンサーはすかさず話題を変える。

 

次はそのローリー・アダムスへの質問だ。

 

続きは次回の講釈で。

 

 

 

長期戦の予感だな…

 

 

 

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