「雨を《主のめぐみ・降臨》の意味で使ってるっぽい日本の《隠れゴスペル》歌謡曲特集」〜ジョニー・マーサー『Come Rain or Come Shine』番外編

  • 2018.11.20 Tuesday
  • 22:57

 

 

 

 

 

まいどォ!出場停止が明けたで!

 

お前らワイがおらんくて心細かったやろ!

 

どこや?淋しい熱帯魚ちゃんたちは!?

 

 

おかえり、ナンボク…

 

 

なんで傘なんか差しとんねん?

 

ここ室内やで。

 

 

ああ…

 

前回をちゃんと読んでないのか…

 

 

前回?ん?雨?

 

 

彼の出演回は…

 

はじまりがいつも雨なんだよね…

 

 

ぬお〜〜〜!?

 

 

おっす。

 

 

待ってましたよ!傘を準備して(笑)

 

 

何やったんや、さっきの雨は…

 

っちゅうか誰やねん、この兄ちゃん!?

 

 

俺の名はアサッテカ。

 

昨日でもなく今日でもなく、そして明日でもなく、アサッテカ。

 

 

なんやその「あさっての方向」みたいな口上は!

 

 

彼は泣く子も黙る武装警察隊のエース隊員だから、口のきき方には気を付けたほうがいいよ。

 

 

よろしく、メカドック。

 

 

誰がメカドックやねん。ワイは生身の鶴やっちゅうの…

 

 

さて、今回はジョニー・マーサー『Come Rain or Come Shine』の番外編として、雨を《主のめぐみ・降臨》の意味で使ってるっぽい、日本の”隠れゴスペル”歌謡曲を特集するよ。

 

 

このシリーズ、なんだか「隠れキリシタン」みたいでドキドキする。

 

 

そのうち世界文化遺産になったりしてな。

 

 

これまで、サザエさんのエンディングテーマ『サザエさん一家』や、一休さんのエンディングテーマ『ははうえさま』、そして森山直太朗の『明けない夜はないってことを明けない夜に考えていた』などを紹介してきたね。

 

だけど、その元祖にして最高傑作とも言うべき大事な曲の存在を忘れていた。

 

まずはその曲の話から始めようか…

 

 

雨を《主のめぐみ・降臨》として使っとる日本の歌謡曲といえば、これをおいて他にないやろ!

 

ASKAの『はじまりはいつも雨』こそが、日本の雨系隠れゴスペルソングの最高傑作や!

 

 

 

空気読めよ…

 

どう考えてもこの歌が、今回のクライマックスになる流れでしょ…

 

 

ハァ?なんでや?

 

 

お前は本当に、まいっちんぐだな。

 

 

人を町子先生みたいに言うな!このグラサン野郎!

 

 

町子じゃなくてマチコだよ。

 

 

ああ…

 

オッサンが増えて昭和トークに拍車がかかってるよ…

 

ちょうウザい…

 

 

死刑!


 

ふざけるのは、それくらいにして頂戴。

 

ただでさえ「話が遅い」「関係ないネタが多過ぎる」「ギャグが古い」って言われてるんだから。

 

 

そうだぜ。

 

ぼやぼやしてると日が暮れて、さらに夜まで明けて、見上げたらモーニングムーンなんてことになっちまう…

 

 

どっかで聞いたことあるセリフやな。

 

 

さて、雨を《主の恵・降臨》というポジティブな意味で使っている日本の歌で、その元祖ともいえる超有名ソングって、何だかわかるかな?

 

 

なんだろう?

 

 

雨が降って超ウキウキになる歌だぜ。

 

君も小さい頃、長靴はいて傘をさしてその歌を歌いながら、雨の中をはしゃぎまわった経験があるはずだ。

 

 

傘をさして、雨の中を?

 

 

わかった!コレや!

 

 

 

それ次回のネタだから、ここで出すのやめてくれる…?

 

 

ああ!もしかしてこの歌!?

 

 

 

SAY YES!

 

 

でもこれが《隠れゴスペルソング》なの?

 

『あめふり』って、日本を代表する童謡じゃんか。

 

 

そうだよ。

 

だけど天才作詞家・北原白秋とこの僕を甘く見てもらったら困るね。

 

白秋はトンデモナイ物語をこの歌の中に落とし込んでいるんだよ…

 

北原白秋(1885−1942)

 

 

トンデモナイ物語?この歌詞が?

 

 

傘を忘れた少年Aのところに、オカンが傘を持って来て…

 

一緒に帰ろうとしたら、雨の中で泣いとる子がおって…

 

少年Aは殊勝にもオカンが届けてくれた傘を貸してやる…

 

っちゅう感動的な唄やんけ…

 

あめあめ ふれふれ かあさんが
じゃのめで おむかい うれしいな
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

 

かけましょ かばんを かあさんの
あとから ゆこゆこ かねがなる
PP CC LLL

 

あらあら あのこは ずぶぬれだ
やなぎの ねかたで ないている
PP CC LLL

 

かあさん ぼくのを かしましょか
きみきみ このかさ さしたまえ
PP CC LLL

 

ぼくなら いいんだ かあさんの
おおきな じゃのめに はいってく
PP CC LLL

 

 

なぜ深く歌詞を咀嚼せずに、そうやって安易なストーリーに決めつけるかな?

 

歌詞をよく読み込めば、おのずと違った状況や光景が見えてくるはずだ…

 

 

違った光景?

 

 

まずは1番から見ていこう。

 

あめあめ ふれふれ かあさんが

じゃのめで おむかい うれしいな
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

 

 

ところで「じゃのめ」って何?

 

ミシン?

 

 

なんでやねん。傘のことや、傘!

 

ワイの丹頂みたく天辺に丸い印のある和傘のことや!

 

形がヘビの目ェみたいやさかい「蛇の目」っちゅうんやで!

 

 

 

ええ〜〜?

 

どう見てもコイノボリの目じゃんか。

 

ヘビって言うより「魚の目」だよ。だってヘビの目って、こうじゃん!

 

 

 

アホか!ジャノメはジャノメや!

 

昔からそうと決まっとるんや!

 

 

でもね、ええじゃろうの指摘は、あながち間違いじゃないんだよ…

 

だってこのデザインを英語で何と呼ぶか知ってる?

 

 

英語で?

 

 

「fish eye(魚の目)」だ。

 

そして「fish」と言えば…

 

 

魚?

 

 

ふふふ…

 

1番では主人公のもとに「かあさん」が「じゃのめ(魚)」で現れたんだね…

 

まるで「救世主」のように…

 

だから主人公は「雨の中」で「歓喜の唄PPCCLLL」を歌い出したんだ…

 

 

俺が昔ずぶ濡れだった頃…

 

かあさんは神様で、じゃのめは救世主だった…

 

歓喜の雨に打たれながら、俺は水を得た魚のようにはしゃいでいたっけ…

 

わかるかなァ…?

 

わかんねえだろうなァ…

 

 

松鶴家千とせ師匠!?

 

 

 

お久しぶりです、師匠。

 

『ベイビー・ドライバー』の時以来ですね。

 

映画『ベイビー・ドライバー』で名曲「BABY DRIVER」が流れないって本当ですか?

 

 

イェ〜ィ。

 

 

じゃあ「じゃのめ」と共に現れた「かあさん」というのは…

 

 

もうこれ以上説明はいらないだろう。

 

名曲『あめふり』は、そういう話になってるんだ。

 

 

それでは2番を。

 

かけましょ かばんを かあさんの
あとから ゆこゆこ かねがなる
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

 

主人公は「かばんをかける」んだけど…

 

それが「誰のもの」で「どこに掛ける」のかは不明なんだよね…

 

 

え?

 

お母さんが重そうにしていたから、子供が持ってあげたんだよね?

 

 

またまた何でそう決めつける?

 

こうも読めるんじゃないかな?

 

かけましょ かばんを

かあさんの あとから ゆこゆこ

かねがなる

 

 

《かばん》を掛けて、オカンのあとをついて行くっちゅうことか?

 

どうゆうこっちゃ?

 

 

《かばん》というのは、救世主イエスが背負った十字架、つまり《人類の原罪》のことなんだね。

 

だから「かけましょ かばんを」というのは「架けましょう、十字架を」という意味になってるんだ。

 

そしてイエスが人類の重荷である原罪という十字架を背負って死んだことで、そこに道がひらけた…

 

残された人々は、イエスの通った道を、あとから進むというわけ…

 

 

うわあ…マジですか…

 

 

カ〜ネが鳴るから、か〜えろ。イエ〜ィ。

 

 

さようなら〜!師匠〜!お元気で〜!

 

 

では3番にいくよ。第三の人物の登場だ…

 

あらあら あのこは ずぶぬれだ
やなぎの ねかたで ないている
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

 

 

ずぶ濡れで泣いてる可哀想な子だね…

 

でも何で柳の下で泣いてるの?

 

もしかして…幽霊とか?

 

 

なんでやねん。

 

「雨に泣く」といえば「柳」と決まっとるやろ!

 

 

 

それ「柳ジョージ」が歌う「雨に泣いてる」でしょ…

 

柳の木は出て来ないよ…

 

 

「柳の木の下で泣く」ってのは、聖書が由来なんだよ。

 

かつてユダヤ人がカナンの地を追われバビロンに捕囚された時、ユーフラテスの川岸の柳の木の下で故郷を想って泣いたことが始まりなんだ…

 

 

この歌で有名だな。

 

 

 

そうだったのか!

 

 

そして柳は、聖書に出て来る超有名な人物が、首を吊って死んだことでも知られている…

 

その人物は、自分の師を裏切ってしまい、取り返しのつかない事態を引き起こしてしまった…

 

彼は犯した罪の大きさに苛まれ、柳の木の下で泣き、そのまま首を吊ったんだ…

 

その男の名は、イスカリオテの…

 

 

ああ〜〜!わかりました!

 

その名を最後まで言ってしまうと、またヤヤコシイ人が出て来ちゃう!

 

 

呼びました?

 

 

湯田さん、フライング!

 

 

つまり「柳の下で泣いていた子」ってのは、ユダのことなんだな。

 

 

そして4番で衝撃の展開を迎える…

 

ここで初めて「かさ」という言葉が出て来るんだ…

 

北原白秋、マジ天才…

 

最後の5番まで通して見てみよう…

 

かあさん ぼくのを かしましょか
きみきみ このかさ さしたまえ
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

ぼくなら いいんだ かあさんの
おおきな じゃのめに はいってく
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン​

 

 

なんで「衝撃の展開」なんや?

 

びしょ濡れになって泣いとる裏切り者にも「かさ」を差し出すなんてエエ話やんけ。

 

なんちゅう心の広い奴や。

 

 

じゃあなぜ今まで「かさ」という言葉を使わなかったんだろうか?

 

他は全部「じゃのめ」なのに、なぜここだけ「かさ」なんだろうね?

 

 

そういえば、今まで「かあさん」が主人公の「かさ」を持ってきたなんて歌われてなかったね…

 

うちらが勝手にそう思い込んでただけだ…

 

「じゃのめ」と「かさ」の配置を見ると、白秋は意図的にそうしてる感じだよね…

 

 

そうなんだよ。

 

「かさ」を漢字で書くと、その意図がわかると思う…

 

 

漢字で?

 

「傘」でしょ?

 

 

よく見てみろ。何か他のものに見えないか?

 

ほら…

 

「何か」を挟んで二人が向かい合ってるだろ?

 

 

 

 

 

ああ!

 

じゅ、十字架だァ!

 

 

柳の下で泣いていた子に「十字架刑」を勧めて、自分は「じゃのめ」、つまり「魚」である救世主と行くと言うんだよ…

 

いっけん美談のようで、結構ブラックな物語なんだよね…

 

 

「PPCCLLL」って鼻歌うたっとる場合とちゃうな。

 

 

ピコ太郎かよ。

 

だけどあの国民的童謡が、まさかこんな歌だったとは…

 

ちょっとビックリしちゃった…

 

でもなぜ今まで誰も気付かなかったんだろう…

 

 

少なくとも一人は気付いているよな。

 

 

ですね。

 

 

だ、誰!?

 

 

若き天才ソングライター米津玄師だよ…

 

彼の『あめふり婦人』は、この事実を踏まえて書かれた曲だ…

 

 

 

ホントだ!魚とか子供とかがキーワードとして出て来る!

 

 

でしょ?

 

北原白秋の『あめふり』は日本の《隠れゴスペルソング》の元祖だから、こうして21世紀のアーティストにもリスペクトされているんだ…

 

他にも有名な《隠れゴスペルソング》はあるよね…

 

例えば内山田洋とクールファイブの『長崎は今日も雨だった』とか…

 

 

 

『フィッシュ・ストーリー』って、そのまんま…

 

 

あと、八代亜紀の『雨の慕情』もそうだよね…

 

1番はユダが「イエスに足を洗ってもらったことを思い出す」という歌詞で、2番は「最後の晩餐を思い出して一人で再現する」というストーリーになっている…

 

 

 

確かに、そうゆう歌詞だ…

 

「雨」は「主の愛」で、「私のいい人」は「師イエス」のこと…

 

 

さすが昭和の天才ソングライター阿久悠だ…

 

俺もずいぶんと憧れたもんだぜ…

 

 

そして平成に入って、雨系隠れゴスペルソングの新たな傑作が登場する…

 

それが『はじまりはいつも雨』だ…

 

 

 

何度聴いても、いい歌だよな。

 

いや、聞けば聞くほど深みが増して来る…

 

 

あの…

 

もしかして、あなたは…

 

 

ということで、今回はここまで。

 

次回は「雨を《主のめぐみ》としてポジティブに描いている映画」篇をお届けします。

 

第1回目は『雨に唄えば』を…

 

 

いっそのこと俺たちもジーン・ケリーみたいに豪快にズブ濡れになりながら解説するか?

 

かなり気持ちいいぜ…

 

 

それは勘弁願います!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:音楽

「Come Rain or Come Shine」〜ジョニー・マーサー徹底解剖13

  • 2018.11.18 Sunday
  • 12:38

 

 

 

 

 

さて、ジョニー・マーサーの名曲解説シリーズ、今回は『Come Rain or Come Shine』を取り上げるよ。

Johnny Mercer(1909 - 1976)

 

 

ジャズのスタンダードとして有名な『降っても晴れても』だね。

 

 

その邦題は、この歌の本質を見誤ってしまうから、僕としてはあまり使ってほしくないんだけど…

 

 

見誤る?

 

『Come Rain or Come Shine』は「人生、悪い時も、良い時も」ってことでしょ?

 

 

やれやれ、ここにもいたか…

 

「雨=嫌なこと」という先入観をもつ典型的な日本人が…

 

 

ハァ!?

 

 

逆なんだけどね…

 

『Come Rain or Come Shine』は「人生、良い時も、悪い時も」なのに…

 

 

なに言ってんだよ。晴れてるほうがいいに決まってるじゃんか。

 

雨なんか降らなくてもいいよ!

 

 

そんなこと言うと、雨の神様に怒られるぞ。

 

雨が降らなかったら、僕ら人類はいったいどうなると思うんだい?

 

この魂の渇きをどう癒せばいいんだ?

 

 

雨なんか降らなくても別に困らないよ!

 

それに「魂の渇き」とか大袈裟すぎ(笑)

 

喉が乾いたらコンビニで水を買えばいいじゃんか!

 

 

 

やれやれ…最近の子供ときたら…

 

それにしても遅いな…

 

もう来てるはずの時間なんだけど…

 

 

遅い?来てるはず?

 

誰が?

 

 

前回『One for My Baby』の終了間際のロスタイムに、ナンボクはレッドカードを受けてしまったでしょ?

 

今回は出場停止だから、代わりに助っ人を呼んでおいたんだ。

 

 

助っ人?誰さ、それ?

 

 

その人物とは…

 

 

あれ?雨?

 

 

どうやら彼が来たようだ。

 

 

どひゃ〜〜〜!ここ室内でしょ〜〜!?

 

なんで〜〜〜!?

 

 

お待たせ。遅くなって申し訳ない。

 

ちょっと野暮用があったもんでね…

 

 

相変わらずですね。

 

どうせまた誰かを殴りにでも行ってたんでしょう。

 

 

へっへっへ…

 

さすが名探偵、何でもお見通しのようで…

 

 

あれ?雨がやんだ…

 

ところでいったい誰なんだよ、あんたは!

 

 

俺の名はアサッテカ。

 

昨日でもなく今日でもなく、もちろん明日でもなく、アサッテカ。

 

よろしく。

 

 

アサッテカ?

 

昨日でも今日でも明日でもなくて明後日か?

 

変な名前(笑)

 

 

ええじゃろう君、彼には口のきき方を気を付けたほうがいいよ…

 

彼、こう見えて、泣く子も黙る武装警察隊のエースだから…

 

逮捕されても知らないよ。

 

 

す、すみません、アサッテカさん!

 

よくよく考えてみれば、なかなか含蓄のある素敵な名前だと思います!

 

 

ありがとう。

 

さて、おかえもん。今日わざわざ俺を呼び出したのには当然理由があるんだよな?

 

 

もちろんですとも。

 

今日は『Come Rain or Come Shine』について語ろうと思っているんですよ。

 

 

Yah!ウェーィ!

 

 

お言葉ですが、「ヤァ」は「Yeah」ですよね…

 

 

わかってねえな、このお子ちゃまは…

 

 

「Yah」ってのは「Yeah」のことじゃないんだよ。

 

実は、世界一怖い人の名前の省略形なんだよね…

 

その人を怒らせると、殴られるどころか、命さえも…

 

いや、町ごと消滅させられてしまう…

 

 

なにそのスーパーサイヤ人みたいに人間離れした破壊力…

 

Yahって何者なんだろう…

 

もしかして、Yahoo?

 

 

イエスと言いたいところだが、そんなもんYahに比べたら足元にも及ばねえよ…

 

 

相変わらずキレッキレですね。

 

 

?????

 

 

まあいい。さっさと本題に入ろうぜ。

 

俺も敬愛するジョニー・マーサーの『Come Rain or Come Shine』を、たっぷり語るとしよう。

 

 

ではさっそく曲を聴いてもらいましょう。

 

歌ってくれるのは、木村コツヴ美保。金子将昭のピアノ伴奏でどうぞ。

 

 

 

やっぱり「人生、よくない時も、よい時も、あなたを愛します…」と歌ってるようにしか聴こえないんですけど…

 

 

そいつはおかしいな…

 

もう一度お前に雨を降らせてやろうか?

 

 

もう十分濡れましたから、またの機会にお願いします…

 

 

この歌を聴く時には「雨=嫌い」という先入観を捨てる必要がある。

 

まあ普段から聖書やゴスペル音楽に親しんだり、欧米の音楽や映画を鑑賞する時に意識していれば、そんな必要はないんだけどね…

 

 

その通り。

 

 

それでは歌詞を見ていきましょうか。

 

I'm gonna love you like nobody's loved you 
Come rain or come shine
High as a mountain and deep as a river 
Come rain or come shine

 

訳すと、こんな感じだね…

 

僕は君を愛してみせる

君をここまで愛した人は誰もいない

雨でも、照りつける日差しでも

恵は山のように高く、試練は大河のように深い

雨でも、照りつける日差しでも

 

 

 

ん?

 

照りつける日差し?試練?

 

 

そうだよ。

 

「shine」とは「辛い時」のことを言ってるんだ。

 

「rain」が「恵のある時」で「shine」が「試練の時」なんだよね。

 

 

ええ〜!?雨がめぐみ!?

 

 

さっき雨に打たれた時、気持ちよかっただろ?

 

すべてが洗い流されて、生まれ変わったような心地がしたよな?

 

 

そんなわけ…

 

 

YESって言え!

 

 

イ、イエス!

 

とってもリフレッシュさせていただきました!

 

 

ルネ・クレマン監督&アラン・ドロン主演作『太陽がいっぱい』も、そうだったでしょ?

 

あの映画でも「shine(照りつける日差し)」は試練を表していたよね?

 

アラン・ドロン演じるトム・リプリーは、小舟で海を漂流させられ、身を隠すすべもなく強い日差しに照りつけられ、脱水症状になって気を失い、肌は火傷を負ったようになってしまう…

 

 

そしてラストシーンでは、ビーチで強い日差しに照らされて軽い日射病みたいになり、海の家のオバサンに大丈夫?って聞かれるんだけど、冷や汗を浮かべながら「最高の気分だ!」と強がりを言う…

 

 

あの映画における「眩しい太陽」とは「怒れる天の父」のことなんだよね…

 

そして直射日光が当たらない場所には「神の目」が常に登場する…

 

いくら欺こうとしても全ては見られてる、という物語だったんだよ…

 

もう忘れちゃったかな?

 

『太陽がいっぱい』解説・決定版!

 

 

ああ、そうだった…

 

 

ちなみに光GENJIの『太陽がいっぱい』は大江千里が作った歌で、この映画とは何の関係もない。

 

 

 

僕はデビューからの三曲『STAR LIGHT』『ガラスの十代』『パラダイス銀河』が好きでしたね。

 

ちょっと淋しい部分というか「陰」があって…

 

イケイケの年頃だけど、大人になる不安も隠せない十代後半って感じが、よく出てたと思うんです…

 

 

俺もそう思う(笑)

 

 

それって前世紀の話でしょ?

 

全然ついていけないんですけど…

 

 

ごめんごめん。

 

アサッテカと話すと、ついあの頃の話で盛り上がってしまう…

 

さて、『Come Rain or Come Shine』に戻ろうか。

 

1番の後半部分だ。

 

I guess when you met me 
It was just one of those things
But don't ever bet me 
'Cause I'm gonna be true if you let me

 

僕と最初に会った時、君は思っただろう

「どうせまたいつものパターンね」って

だけどこれは賭けなんかじゃない

君がそう願うなら、最後に愛は勝つ

 

 

 

やっぱりバブル時代を引きずり過ぎじゃね?

 

 

 

名曲って、なんだ?

 

確かにそうだよな。俺もふとそんなことを思う時がある…

 

 

またまた…、あなたほどの御人が…

 

 

ん?

 

 

では2番に行きましょう。

 

You're gonna love me like nobody's loved me 
Come rain or come shine
Happy together, unhappy together 
And won't it be fine?

 

君は僕を愛するだろう

これまでの誰とも違うレベルの愛で

雨でも、照りつける日差しでも

幸せな時でも、困難な時でも

良くない、これ?これ良くなくない?

よくなくなくなくなくなくない?

 

 

 

いや、確かにそういう歌詞だけどさ…

 

 

 

そして2番の後半部分。

 

Days may be cloudy or sunny
We're in or we're out of the money
But I'm with you always
I'm with you rain or shine

 

たとえ曇り空でも、青天でも

富める時でも、貧しき時でも

僕は常に君と共にいる

雨としても、照りつける日差しとしても

 

 

 

あれ?

 

最後の一行だけ「come」が無いんだ…

 

なんか意味深だね。まるで自分が雨や太陽みたいな言い回しで…

 

 

だって、そうなんだもん。

 

この歌の「I(私)」って「神ヤハウェ」であり「主イエス・キリスト」のことなんだよ。

 

 

ええ〜!?マジで!?

 

 

「rain」は慈愛の象徴でイエスを表している。

 

新約聖書の中でも、イエスの愛の教えや降臨は「雨」に喩えられるからね。

 

一方「shine」は厳しさの象徴で、旧約の神ヤハウェを表しているんだ。

 

民に対して次から次へと試練を与え、間違った行動には死という厳罰をもって対処し、時には大量虐殺や民族浄化も辞さない…

 

本当に厳しい神だ。

 

 

さっきの「Yah」って…まさか…

 

 

傷つけられたら牙を剥け…

 

YAH!

 

 

 

この歌って完璧にゴスペル・ソングなんだよね。

 

 

どっちの話?

 

『Come Rain or Come Shine』?

 

それとも『YAH YAH YAH』のこと?

 

 

もちろん『Come Rain or Come Shine』だよ。

 

そして歌詞全体をよく見ると、面白い構造になっているんだ…

 

 

面白い構造?

 

 

「Come Rain or Come Shine(よい時でも、悪い時でも)」のフレーズのように、他の部分も「よい時」と「よくない時」の並びになっているんだ。

 

こんなふうにね…

 

 

ホントだ。

 

「rain」を「嫌なこと」、「shine」や「sunny」を「好ましいこと」って決めつけてたから、今まで気が付かなかった…

 

 

これでも聴け、ボウズ…

 

バブル時代に大ヒットした2曲のメドレーだ…

 

覚えとけよ、「RAIN」は「YES」なんだ。

 

 

 

あれ?

 

二曲目の『SAY YES』って歌、なんか面白い…

 

2番が「君は確かに僕を愛してる」なんだ…

 

これって『Come Rain or Come Shine』と同じだよね。

 

 

偶然だろ、きっと(笑)

 

 

せっかくだから、次回はこんな特集でもするとしましょうか…

 

題して、

 

「雨を《めぐみ》の意味で使っている日本の《隠れゴスペル》歌謡曲特集」!

 

 

キターーーーー!

 

 

一応言っておくが、それも前世紀のネタだ。

 

 

それでは、また次回にお会いしましょう。

 

金田三(かねたさん)耕助でした。

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:音楽

「One for My Baby(and One More for the Road)」後篇〜ジョニー・マーサー徹底解剖12

  • 2018.11.12 Monday
  • 10:25

 

 

 

 

 

お待ちどうさまでした。

 

いよいよ、名曲『One for My Baby(One More for the Road)』が最初に歌われた場面について解説するとしよう。

 

 

イエィ!

 

 

ここまで来るのが長かったな…

 

これまでを未読の方はコチラからどうぞ…

 

 

 

 

まずは歌を聴こうぜ。

 

 

 

あの…トラちゃん…

 

あなたのバージョンも素晴らしいのですが、これでは解説にならないので…

 

 

おお、そうだったな…

 

これは失敬失敬トニー・ケイ。

 

 

ズコっ!それイエスのキーボード!

 

 

 

YES(イエス)は2019年2月に東京・名古屋・大阪公演を控えてるね。

 

スペシャル・ゲストはもちろんトニー・ケイだ。

 

YES結成50周年ツアー日本公演(ウド―音楽事務所 公式サイト)

 

 

俺もよく来日したもんだ…懐かしいな…

 

ちなみに2018年には、俺の伝説的なコンサートのDVD『シナトラ・イン・ジャパン〜ライブ・アット・ザ・武道館 1985』が発売されたんだが、おめえら知ってるか?

 

もちろん『One for My Baby』も歌ってるぞ。

 

 

 

あんたの宣伝はいいの!

 

 

さて、フレッド・アステア版の『One for My Baby』は、これだね。

 

 

Harriman氏が去ったあと、Fredはグラスを眺め、少し何かを考えてから飲み干す。

 

あれはイエスが「ゲッセマネの祈り」で「死の杯」をめぐり葛藤したことを再現したものだ。

 

マタイ26:39 そして少し進んで行き、うつぶしになり、祈って言われた、「わが父よ、もしできることでしたらどうか、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの思いのままにではなく、みこころのままになさって下さい」

26:42 また二度目に行って、祈って言われた、「わが父よ、この杯を飲むほかに道がないのでしたら、どうか、みこころが行われますように」

 

 

なるほど。

 

じゃあ、あのバーテンダーのジョーは何者?

 

てか、何であんな肌を露出した水兵ルックのバーテンダーなんだ?

 

 

 

それにはちゃんと理由があるんだ…

 

たぶん脚本家や監督は「全裸もしくはパンツ一丁のバーテンダー」を出したかったんだと思うよ…

 

でもそれが出来なかったんで、水兵風の姿にしたんだと思う。

 

 

ハァ!?新宿2丁目の店かよ!

 

 

なに言ってんだ、おめえら…

 

これのことだよ、これ。

 

天使の二の腕の「むちむち感」を出したかったんだ。

 

それに水兵バーテンダーの腕をよく見ると、天使らしきタトゥーがあるだろ?

 

 

 

ああ、またいつものやつでしたか…

 

『ゲッセマネの祈り』ジョルジョ・ヴァザーリ

 

 

この「むちむち水兵バーテンダー」相手に1番が歌われる。

 

歌詞を見ていこう…

 

It's quarter to three
There's no one in the place 'cept you and me
So set 'em' up joe
I got a little story I think you oughtta know

 

「客がバーテンダーに話しかける歌」として訳すと、こうなるね。

 

3時15分前だ

もう俺とあんたしかここにはいない

好きな酒をどうぞ、俺がおごるよ

ちょっと面白い話があるんだが聞いてくれないか

あんたは知ってるかもしれないけど

 

 

せやけど映画の描写やと、何か妙な雰囲気やな…

 

 

その通り。

 

まずFredが正面を見つめたまま「3時15分前だ」と言うから、水兵バーテンダーは後ろを向く。

 

だけど、たぶんそこには時計なんか無いんだ。

 

そして水兵バーテンダーが怪訝そうな表情でFredを見ると、今度は「So set them up Joe(だから好きなものを飲みなよ、ジョー)」と言う。

 

水兵バーテンダーは「この酔っ払いめ…」という感じで、Fredから離れていくんだね。

 

 

俺のダンディ・バージョンとは、だいぶ違うじゃねえか(笑)

 

 

なぜなら、そもそもこの歌が「ゲッセマネの祈り」の場面をパロディとして描いたものだからですよ。

 

「set them up」には「酒をおごる」という意味の他に「秘密裏に計画を進める・罠にハメる」という意味もある。

 

イエスはメシアの預言を成就させるために自ら死を選んだわけだから、ある意味、他の人たちはイエスの秘密の計画にハメられたとも考えることが出来る。

 

「So set them up(さあ、彼らを罠にハメよう)」なんて言われたから、天使役の水兵バーテンダーは「なんだこいつ?」みたいな顔して去って行ったんだよ。

 

 

なるほど、そうゆうことだったのか!

 

それならあの演出もわかる(笑)

 

 

そして、ひとりぼっちになったFredはこう歌う…

 

We're drinking my friend
To the end of a brief episode
So make it one for my baby
And one more for the road

 

杯を交わそう、友よ

この場面が終わるまで

俺の愛する人にも一杯作ってくれ

そして景気づけのためにもう一杯

 

 

この場に「愛する人」なんていないのに、オーダーするってオカシイよね。

 

 

おるやんけ。寝とるけど…

 

 

 

もう帰って寝てしまったヒロインの名前「Joan」は、John(ヨハネ)の女性形だからね。

 

彼女がやたらと戦争報道に携わりたがるのは、使徒ヨハネと同一視された福音記者ヨハネの影響だ。

 

『ヨハネの黙示録』は世界最終戦争の記録だから(笑)

 

 

「one more for the road 」は「Lord」との駄洒落だな。

 

主イエスがゲッセマネから連行される道、そして十字架を背負って歩かされる道のことだ。

 

正男の書く歌詞はホントまじ卍。

 

 

頼むからマーサーって呼んで…

 

それにあなたの「べらんべえ口調」で卍とか言われると、超ハラハラするんですけど…

 

 

さて、1番を歌い終わったFredは、次の店へ移動する。

 

Joanと出会った日に晩御飯を食べた思い出の店だ。

 

表向きの意味での「one more for the road」の「the road」とは、この「最愛の人との思い出の場所を辿りながら歩く苦悩の道」のことだったんだね。

 

そしてその店のバーテンダー相手に2番は歌われる。

 

 

 

気持ちはわかる。

 

せやけど、いちいち移動しながら歌わんでもええやろ?

 

 

気づけよ鶴。おめぇの目は節穴か?

 

 

なんやと!?

 

 

今度は白いスーツを着たバーテンダーで天使を表現してるんだ。

 

 

そしてFredが両手を広げたポーズを取るんだけど、これも絵の再現だね。

 

 

 

ズコっ!そう来たか!

 

 

2番の歌詞を見てみよう。

 

I know the routine
Put another nickel in that there machine
I'm feeling so bad
Won't you make the music easy and sad

 

「客がバーテンダーに語りかける歌」として訳すと、こうなるね…

 

よくある話だってことは承知の上だ

あそこのジュークボックスに5セント追加してくれよ

胸くそ悪くなってくるぜ

甘く切ない流行歌に変えてくれないか

 

 

2番のポイントは「nickel」と「machine」だな。

 

 

ニッケルって5¢のコインだったよね…

 

 

アメリカの硬貨の中で最初に「IN GOD WE TRUST」の文字が刻まれたコインや…

 

そして十字架がデザインされた唯一のコインでもある…

 

 

 

そして「マシーン」とは「政治・統治システム」のことも意味する。

 

しかも悪いイメージをもつ「システム」に使われることが多いよね。

 

「従属的・官僚的」な組織とか、「集票マシーン」とか。

 

 

つまり、イエスに対して終始警戒心を抱いていた、ローマ帝国に従属的で硬直的なユダヤの宗教指導者層ってことだな。

 

そしてコインは言わずもがな、エルサレム神殿で論争した時の「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」だ。

 

 

曲調を「easy and sadにしてくれ」というのは、イエスの死後に書かれることになる新約聖書への注文だろうね。

 

血生臭い描写も多く、読むほうもテンションが上がりがちな旧約聖書と違い、平穏な文体で物悲しい感じにしてくれという注文だ。

 

だから2番には「your code」という言葉が出て来る。

 

「code」とはラテン語の「書板」という意味だから…

 

I could tell you a lot
But you gotta to be true to your code
So make it one for my baby
And one more for the road

 

もっとあんたに話したいんだが

まあ、信じるも信じないもあんた次第だ

だから俺の愛する人へ一杯作ってくれ

そして俺の景気づけにもう一杯

 

 

っちゅうことは…

 

バーテンダーの「Joe(ジョー)」には「Jew(ユダヤ人)」が掛けられとるな…

 

『バートン・フィンク』で歌われた『OLD BLACK JOE』みたいに…

 

 

 

その通り。

 

だから「信じるも信じないも、あなた次第」なんだ。

 

ユダヤ教では、イエスは救世主どころか預言者ですらないからね。

 

ちなみにこの『OLD BLACK JOE』という歌は『アメリカのトラップ一家』(邦題:続・菩提樹)でも歌われた。

 

彼らはナチスドイツのユダヤ人差別から逃れて来たから、この歌を歌ったんだ…

 

 

 

昔の歌は面白れえな。

 

 

さて、2番を歌い終わったFredは、またもや次の店に移動する。

 

初めてJoanが踊り歌う姿を見た神殿風ナイトクラブだ。

 

 

彼女と出会った初日のコースを逆に辿ってるんだね…

 

超切ない。

 

 

そしてFredは、横山ノックばりに頭がツルピカのバーテンダーに向かってCメロを歌う。

 

 

 

ノック師匠ばりにツルピカやと!?

 

人の身体的特徴をそうゆうふうに言うたらアカン!

 

頭髪が著しく後退された方って言え!

 

 

しょうがねえだろ。そのために起用された役者なんだから。

 

あのツルピカ頭が必要だったのよ。

 

 

なぬ!?

 

 

前の二人のバーテンダーと大きく異なる点があるよね?

 

彼だけ立ち位置が逆なんだ。

 

そしてあの絵でイエスから見て天使の位置の反対側にあったものといえば…

 

 

お月様…

 

 

 

ウケるね、ジョニー・マーサー(笑)

 

さて、Cメロはこんな内容だ。理解するには、ちょっとトンチが必要だよ。

 

You'd never know it
But buddy I'm a kind of poet
And I've got a lot of things I want to say
And if I'm gloomy, please listen to me
Till it's all, all talked away

 

まあ、あんたにはわからんだろうな

だが友よ、俺は詩人みたいなもんなんだ

言いたいことは山のようにあるんだぜ

もし俺がウザくても

頼むから終わりまで聞いてくれ

この酒を全部飲み干してしまうまで

 

 

確かに「なぞかけ」みたいだな。

 

 

「俺は詩人みたいなもんだ」がヒントだ。

 

つまり「韻を踏んでる言葉遊び」が隠されているってことだな。

 

Cメロの中で一番目立つ言葉は何だ?

 

 

「gloomy(陰気な・憂鬱な)」かな?

 

あんなに特徴的な音なのに、それに対応してる単語がないから浮いている。

 

 

さすがだな、小僧。

 

では、このCメロが歌われる状況を踏まえて「gloomy」から想起される言葉とは?

 

 

わ、わかったで!

 

「loony(狂人)」や!

 

 

その通り。

 

古来から月(luna)は人を狂わせるものとされてきた。

 

Cメロは「ツルピカお月様」に向かって歌われるから、あえて「loony」が隠されていたんだ。

 

そして「ツルピカお月様」が消えて、Fredは「closed」した「bar」のカウンターの上で「受難のダンス」を踊り出す…

 

 

 

例によって「closed bar(閉店したバー)」とは「crossed bar(交差した木の棒:十字架)」のことだよな。

 

もうトム・ウェイツの『CLOSING TIME』解説シリーズで、耳にタコが出来るくらい聞いた。

 

 

しかもよく見るとバックの鏡が三面になってて、十字架のポーズをとるFredが「三人」映る仕掛けになってるんだ。

 

ゴルゴダの丘では、イエスとディスマスとゲスタスの三人が十字架に架けられたからな。

 

『磔刑図』アンドレア・マンテーニャ

 

 

なるほど!上手い!

 

 

そして踊り終えたFredは、鏡の前にあったキラキラ輝く大きなグラスのビルディングめがけてイスを投げつけるんだ。

 

そして鏡もろとも豪快に破壊する…

 

これは意味わかるかな?

 

 

 

イスで大きなビルを破壊?イエスが?

 

 

エルサレムと神殿のことだ。『磔刑図』のバックにも描かれているだろう。

 

イエスはエルサレム神殿を自身の体に喩え、破壊されてから復活することを預言した。

 

これは「古いエルサレム(旧約)」から「新しいエルサレム(新約)」へ時代が変わることを言ったんだな。

 

John 2:19

Jesus answered them,“Destroy this temple,

and I willraise it again in three days.”

 

イエスは彼らに答えて言われた、「この神殿を壊したら

わたしは三日のうちに、それを起すであろう」

 

 

あ、そうか!

 

 

そして派手に器物破損をやってのけたFredの前に4番目の男が現れる。

 

この男はこれまでのバーテンダーと違って、ちょっと嫌な奴だ…

 

 

このシーンは非常に興味深いから、ちょっと動画を見てほしい。

 

 

男はFredに器物損壊の苦情を申し立てた…

 

するとFredは、お金を男の胸ポケットに突っ込んで、わざわざ男と重なるようにして去ってゆく…

 

 

もうわかったかな…

 

この男の名前は?

 

 

 

ユダ…

 

『ユダの接吻』ジョット

 

 

あの…

 

私のこと、呼びました?

 

 

お!未亡人じゃねえか…

 

でもあんた何者だ?

 

 

気にしないでください…

 

ユダって名前に反応して異世界から出て来るんです…

 

 

制作陣は上手いこと考えたよね。

 

ここまで完璧に「ゲッセマネの場面」を再現するとは。

 

 

 

俺にはツルピカのCメロ男が最高だったけどな。

 

 

禿同!

 

 

さて、この第4の男に対して3番が歌われる。

 

3番だけはちょっと長いんだ。まず前半部から。

 

Well, that's how it goes
And joe I know you're gettin' anxious to close
So thanks for the cheer
I hope you didn't mind
My bending your ear

 

まあ、こういうわけだ…

ジョーよ、俺だって気付いてたさ

あんたがずっと終わりの時間を気にしてたことを

ありがとな、付き合ってくれて

あんたの耳を煩わせてなければいいんだが

 

 

3番で「close(cross)」の心配をしてる「Joe」とは…

 

「Judas(ジューダス:ユダ)」のことだな…

 

 

そうだす…

 

 

「俺があんたの耳を煩わせてなければいいんだが」は強烈な皮肉やで…

 

「最後の晩餐」の時、ユダの耳に悪事を吹き込んだ張本人やんけ…

 

『ヨハネによる福音書』

13:26 イエスは答えられた、「わたしが一きれの食物をひたして与える者が、それである」。そして、一きれの食物をひたしてとり上げ、シモンの子イスカリオテのユダにお与えになった。

13:27 この一きれの食物を受けるやいなや、サタンがユダに入った。そこでイエスは彼に言われた、「しようとしていることを、今すぐするがよい」

 

 

 

さすが正男の歌詞、キレッキレだな。

 

そして3番の後半部もトンデモねえぞ。

 

But this torch that I found
It's gotta be drowned
Or it soon might explode
So make it one for my baby
And one more for the road

 

だけどよ、この愛の残り火も

いつかは雨に濡れて消えちまうんだ

あるいは火花を散らして一瞬で燃え尽きたりな

だから俺の愛するベイビーに一杯作ってくれ

そして旅立つ俺に景気づけのもう一杯を

 

 

「torch」が「イエスの説いた愛の教え」ですね。

 

だから「drown」されるか、もしくはすぐに「explode」するんです。

 

 

へ?

 

 

「drown(水没する)」には「drawn(描かれる)」が掛けられているんだよ。

 

イエスの死までの一連の場面が「いつか絵画に描かれる」って意味になってるんだね。

 

実際たくさんの名画が描かれ、それらにインスパイアされて数々の芸術作品が生まれた。だからこうして僕が解説してるというわけだ。

 

そして「explode(膨張的に破裂する・爆発する)」は、イエスの愛の教え、つまりキリスト教が世界中に爆発的に広まるって意味になってるんだね。

 

 

うまい!

 

山田君、ジョニー・マーサーに座布団あげてください!

 

 

誰だ?ヤマダクンとは…

 

また誰か出て来るのか?

 

 

いえ、日本では上手いこと言った人に、こう言う風習があって…

 

 

やっぱり歌解説は、最初に使われた状況から読み解くのが一番だね。

 

何かを詳しく調べたかったら原本にあたるのと一緒だ。

 

 

さて、翌日の金曜日は、Fredが遠い戦場へ旅立つ日。

 

もちろんJoanには何も告げずに出発するつもりだった。

 

だけどHarriman氏がJoanに全てを打ち明ける。Fredの正体と、なぜ彼がJoanの求愛を避けていたのかを…

 

そしてJoanを戦争報道班のカメラマンに任命し、Fredが飛び立つ基地へ向かわせた。

 

 

Harrimanのオヤジ、やるじゃんか!

 

 

間一髪Fredの出発に間に合い、Joanは輸送機に乗り込む直前のFredの写真を1枚を撮る。

 

その時、ファインダー越しに映し出された姿は、なんと…

 

 

 

 

ああ!

 

カメラのファインダーの照準のクロスが…

 

十字架に…

 

 

ねーちゃん、最後の最後に、やべぇモン見ちまったな。

 

愛する男が生きて帰っては来ないことを知っちまったわけだ…

 

たとえ帰って来たとしても、すぐにまた空へ戻っちまって、二度と姿を現すことはねえ…

 

 

Joanは見てはいけないものを見てしまったような表情を一瞬するんだけど、「たぶん気のせい」と気を取り直し、すぐにFredに声をかけて駆け寄っていくんだ。

 

そして二人は強く抱き合い、Fredは自分の正直な想いを伝えた…

 

時間が来て、フライング・タイガーの同僚パイロットのReginaldが「いいところで悪いが、もう時間だ。早く乗れ!」と声をかける。

 

Fredは輸送機に飛び乗り、ハッチが閉まる直前に、こんなことを笑いながら言い残した…

 

F「何だか幸せ過ぎて、天国にいるみたいだ!俺、死ぬのかも(笑)」

 

そしてJoanが答える…

 

J「そんなこと言ったら、私なんて5回も殺されちゃう!」

 

 

 

おいおい…

 

もう完全にギャグじゃんか…

 

イエスは十字架の上で罪人ディスマスに「今パラダイスにいる」と言ったもんな…

 

それにJoan Manionのモデルである使徒ヨハネは、毒殺されたり、煮えた油の中に突き落とされたり、十字架に架けられたり、何度も処刑された…

 

だけど不思議と死ななくて、それが「死なない人」と噂になったんだ…

 

 

そして空の彼方へ消えてゆく輸送機を見送りながら、Joanは涙を浮かべて何かつぶやく…

 

その言葉だけは、なぜか音声が消されているんだ。おそらく非常に意味深なものだったんだろうね…

 

 

 

実にトンデモねえ映画だったな。

 

俺は口が悪いが、これは褒めてるんだぞ。

 

 

実に細部まで作り込まれた良作品だと思いますよ。

 

ただ、公開された時期が悪かった。

 

愛する人を残して戦地に向かおうという人を「十字架で死ぬイエス」に喩えるのは、やっぱり多くのアメリカ人にとって引っ掛かるものがあったはず…

 

戦時中じゃなかったら、大人のブラックユーモアとして成立したと思うんだけどね…

 

同じ戦時中でも、厭戦ムードが高まっていたベトナム戦争時だったら、また違った評価になったかもしれない…

 

 

マジ卍だな…

 

ところでこのJCやJKが多用する「まじ卍」ってどうゆう意味なんだ?

 

 

そういえばオイラも知らないな。

 

 

せやったらワイが教えたる…

 

若いオナゴにはな、お赤飯でお祝いする日があって…

 

 

ピピ〜〜〜!

 

はい、イエローカード。

 

 

まだ何も言うとらんやんけ!

 

 

言おうとしたでしょ。

 

 

別にオカシナこと言おうとしたんとちゃうで…

 

白地に赤く染まるこの丹頂に誓って…

 

 

はい、累積2枚でレッドカード。

 

退場だよ。そして次回も出場停止だからね。

 

 

なんでや!

 

しかもそんなルールあったんか!

 

 

残念だったね。

 

次回はこのシリーズ最大の山場、名曲『Come Rain or Come Shine』だってのに…

 

 

わお!

 

ってことは、おかえもんの大好きなジュディ・ガーランドやボブ・ディランやカズオ・イシグロの話もたくさん出て来るってことだ!

 

 

 

マジか…

 

 

落ち込むなよ、鶴。

 

俺と飲みに行くか?行きつけのバーがあるんだ。

 

午前3時の閉店時間まで飲み明かすとしようぜ!

 

 

トラ公…

 

お前エエ奴やな…

 

 

さあ、行くぜ!

 

 

あれま。ホントに行っちゃったよ、あの二人…

 

しかも結構楽しそう…

 

 

♪One for my baby〜

 

and one more for the road〜♪

 

 

ということで、次回もお楽しみに!

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:音楽

「One for My Baby(and One More for the Road)」中篇〜ジョニー・マーサー徹底解剖11

  • 2018.11.11 Sunday
  • 13:42

 

 

 

 

 

 

さて前回に引き続き、ジョニー・マーサーの名曲『One for My Baby』が最初に歌われた映画『The Sky's the Limit』(邦題:青空に踊る)を見ていきながら、この歌が「何を意図して作られたのか?」を探っていこう。

 

フレッド・アステア演じるFred Atwillは、極東アジアの伝説的飛行部隊フライング・タイガーの「スーパー・エース」として名を挙げた国民的英雄だ。

 

久しぶりに一時帰国したにもかかわらず、同僚二人と共に軍当局による戦意高揚キャンペーンツアーに駆り出されてしまうが、「客寄せパンダ」にされることを嫌って列車から逃走。

 

ヒッチハイクでニューヨーク入りし、偶然見かけた雑誌カメラマンのJoan Manionに一目惚れしてしまう。

 

彼女の「夜のバイト先」であるナイトクラブにも付いて行き、帰り道に晩御飯を一緒に食べ、Fred Burtonという偽名を名乗り、そのまま彼女を家まで送り、翌朝なぜか彼女のアパートメントのキッチンでFredが朝食を作ってたところまで話したね。

 

『One for My Baby』前篇

 

 

映画の元ネタになっとる「イエスの最後の1週間」やと、日曜にエルサレム入城したイエスはエルサレム神殿を訪れ、その夜は郊外にあるベタニア村のマルタとマリアの家に泊まった。

 

 

FredがJoanの朝食を作っていたのは、ベタニア村のマリアが元ネタだね。

 

Joanの苗字はManionで、彼女には「Marion(マリア)」が投影されている。

 

ベタニアのマリアは、料理の手伝いをしないことで姉のマルタに怒られていた(笑)

 

そして二日目の「月曜日」は「宮清め」だったよね、トラちゃん…

 

ん?

 

トラちゃんことシナ虎之助さんの姿が見えないな。

 

どこ行っちゃったんだろう?

 

 

すまんすまん。

 

やっぱりジョニー正男を呼ぼうと思って電話してたんだが、あいつ、出やしねえんだ…

 

どうせまたディズニーランドにでも行ってるんだろうけどよ…

 

 

だから呼ばなくていいって!

 

 

前回この映画が「イエスの最後の1週間をベースにして作られている」と解説したんだけど、よくよくストーリーをチェックしてみたら「最後の五日間」だった。

 

つまり「エルサレムに入城した日曜から十字架で死ぬ金曜」までってことだ。

 

映画の中で晩餐会が「二度」登場するので、ちょっと混乱してしまったんだよね…

 

わかりやすくするために両者の対応表を作っておいたよ。

 

 

 

ご苦労様。確かに筋がそっくりだな。

 

バーで『One for My Baby』が歌われるのは、木曜の深夜ってことか。

 

 

つまり「ゲッセマネの祈り」にあたるわけだ。

 

 

ですね。

 

この『One for My Baby』という歌は、歌詞の中で時間が「三時頃」としか言及されないので、「ゲッセマネの祈り(午前3時)」にも「十字架での死(午後3時)」にもとれる。

 

本当にうまく出来た歌だ…

 

さて、月曜の朝にFredがJoanのアパートメントのキッチンに居たのには、彼が夜のうちにアパートの別の部屋を借りていたからだった。

 

仕事もしてないプータローなのに部屋を借りるお金があることに疑問を感じつつも、JoanはFredに説教をする。

 

もっと愛国心をもち、真面目に仕事をして社会に貢献しなさい、とね。

 

まさか相手がアメリカ軍きっての英雄だとは知らずに(笑)

 

 

「イエスがモデルの男に対し、仕事もしないで毎日フラフラしてると女が説教する」って構図は、ジョニー・マーサーの最初のヒット曲『LAZYBONES』と一緒だね。

 

Johnny Mercer『LAZYBONES』徹底解説

 

 

だね。きっと欧米では定番の喩えなんだろう。

 

さて、Joanが出勤した後に何もすることのないFredは、彼女の仕事先にやってきてディナーデートを申し込む始末。

 

Joanは「明日うちのボスと面接するならOKよ」と答え、その夜は慰問活動のために軍人クラブへ向かった。

 

JoanとFredが軍人クラブで歌い踊っていると、運悪くFredが一緒にツアーを回っていたフライング・タイガーの同僚二人が現れ、その美人(Joan)を譲れと言ってくる。

 

Fredが拒むと二人は「彼女にお前の正体をバラすぞ」と脅し、恥をかかせるためにFredをテーブルの上で躍らせ、会場が騒然と…

 

 

 

テーブルをひっくり返すんじゃなくて、上で踊ってしまったのか!

 

とんだ「宮清め」だな(笑)

 

 

そして火曜日。JoanのボスPhil Harriman氏との面接の日だ。

 

Phil Harriman(ロバート・ベンチリー)

 

ちなみに「Harriman」という名前は「Harry man」のことで、「harry」は「悩ませる・苦しめる」という意味なんだ。

 

そして「Phil」とはギリシャ語で「愛する」という意味。

 

「Phil Harriman」で「愛する人を苦しませる人」という意味になっていて、これは部下のJoanにしつこく求愛していることを指している。

 

 

今風に言えばパワハラ&セクハラだね(笑)

 

 

さて、面接でHarriman氏は、仕事の話ではなくJoanのことばかり聞いてくる。

 

さらには「二年もプロポーズし続けているけどOKしてくれない」と悩みを打ち明け、どうしたらいいかとFredに相談までしてきた。

 

Fredは戦闘機乗り。金曜日には戦地へと旅立ち、再び生きて帰れるかは知れぬ身。Joanとのことは最初から「束の間の遊び」のつもりだった。

 

だから「そんな自分よりも出版社オーナーのHarriman氏のほうがJoanを幸せに出来る」とFredは考えた。

 

そこでFredはHarriman氏の求婚が成功するように作戦を練る。

 

そして今夜約束していたディナーデートを、Joanに内緒でHarriman氏に譲ることを思いつく。

 

Harriman氏の住むテラス付き高級ペントハウスで、ロマンチックなディナーをセッティングしてあげれば、さすがのJoanもイチコロだと考えたんだね…

 

 

しかしFredがHarriman家の執事とスペシャルディナーの準備をしてる頃、Harriman氏はJoanがFredを愛していることを知ってしまい、今夜の作戦のことをJoanにバラしてしまった…

 

そしてディナーの準備を終えたFredが、さあ自分は御役御免で消えるとしよう…と玄関へ向かうと、なぜかJoanが予定時間よりも早く1人で現れて、Fredに積極的にアピールし始める…

 

「ここはHarriman氏の家だよ…」とFredはビビるが、Joanは全くお構いなし。Harriman氏は来ないことを知っているからだ。

 

結局FredはJoanの押しに負けて、ついに二人はテラスで「愛のダンス」を踊った…

 

 

 

主人の留守中にゲストがディナーの準備をしてて、そこに女が急に現れて、驚くゲストに迫って、テラスで愛のダンスを踊る…?

 

どっかで聞いたようなシチュエーションだな。

 

 

カズオ・イシグロの『Nocturnes(夜想曲集)』第2話「Come Rain or Come Shine(降っても晴れても)」だね。

 

 

あの話のラストシーンが、まさにそのシチュエーションだった。

 

しかもどちらの作品でも「6月の出来事」なんだよね。イエスの十字架刑というテーマを扱っているのに。

 

だからイシグロは踊る時の曲を『パリの四月』にしたわけだ。

 

イエスが死んだ「パレスチナの4月」を想起させるためにね。

 

 

なるほど。

 

 

ジョニー・マーサーの大ファンであるカズオ・イシグロは、ジョニー・マーサー関連のネタを小説の中に散りばめていたんだ。

 

この決して有名とは言えない映画『The Sky's the Limit』のネタもね。

 

そもそも表題の『Come Rain or Come Shine』がジョニー・マーサーの代表曲なんだから、もっとこれに早く気付くべきだった…

 

 

あの解説シリーズは短編5話のうち第3話目で中断したままだぞ。早く再開させろ!

 

「Astaire(アステア)? A satire(風刺)?」

カズオ・イシグロ『夜想曲集』徹底解剖

 

 

2019年の抱負は、これを終わらせることだね。

 

 

あとクリストファー・ノーランとイサク・ディネーセンもな!

 

まだ他にもあったような気がするけど、とにかく中断してるやつを完成させろ!

 

 

何の話をしてるんだ?

 

 

すみません、こっちの話でして…お恥ずかしい…

 

では解説を進めましょう。

 

テラスでのダンスで愛は燃え上がったけど、プロポーズには煮え切らない態度を示すFredに対し、Joanは「無職であることを気にしているに違いない」と勘違いしてしまう。

 

そしてFredにどんな仕事に興味があるか尋ね、Fredは「飛行機…」と答える。

 

幸運にも、ちょうど木曜の夜に航空王Sloan氏の晩餐会が開催されるので、JoanはそこにFredを連れて行って、Sloan氏に雇ってもらおうと考えた。

 

だけど金曜には再び戦場へ飛び立たなくてならないFredは複雑な心境だ。

 

せっかくJoanとHarriman氏をくっつけて自分は去ろうと思っていたのに、事態はどんどん悪化する一方…

 

 

いよいよ最後の晩餐だ!

 

 

ちゃんと座る位置も合っとるし、明日旅立つ主人公が憂鬱な顔をしとるのも一緒や…

 

 

 

最も愛された弟子ヨハネを困らせているペテロがHarriman氏だったんだな(笑)

 

 

Fredが浮かない顔をしているのも無理はなかった…

 

この晩餐会は、Sloan社が開発した最新鋭高速爆撃機のお披露目会の場でもあったんだ…

 

大量の爆弾を搭載し、地上を広範囲に無差別爆撃できるタイプのね…

 

 

 

Fredは『紅の豚』のポルコ・ロッソのような昔気質の戦闘機乗りで、飛行機は人殺しの道具ではないと考えておったんや…

 

 

 

だから飛行艇乗りは誇り高い人たちなんだって、おじいちゃんが言ってた…

 

 

俺たちのフィオを汚すな!

 

 

失礼。

 

Fredは次第に苛立ちを隠せなくなってしまい、ついにSloan氏に面と向かってSloan社の飛行機をディスり、氏を激怒させてしまう…

 

FredはHarriman氏とJoanと共に晩餐会会場をあとにし、三人は「反省会」を兼ねてHarriman氏行きつけのバーへと向かった…

 

 

やっと「ゲッセマネの祈り」に辿り着いたぞ!

 

 

しかも「Fred(イエス)・Joan(ヨハネ)・Harriman(ペトロ)」という組み合わせもバッチリや。

 

欲を言えば、もうひとり(ヤコブ)おったら完璧やったけどな。

 

『ゲッセマネの祈り』ジョルジョ・ヴァザーリ

 

 

「なぜ晩餐会であんなことをしたのか?」とJoanが問い詰めても、Fredは答えようとしない。

 

せっかく結婚のために就職させようと努力したのに踏みにじられてしまったJoanは「もう寝る!」と帰ってしまった。

 

 

それでOK。寝るのが正解(笑)

 

 

そしてHarriman氏は、Fredが名乗っている「Fred Burton」が偽名で、本当は国民的英雄Fred Atwill本人であることを見抜く。

 

そしてHarriman氏も明日の仕事があるから帰って寝ると言い、Fredをひとり残してバーを去る…

 

 

よっしゃ!ペトロも寝た!

 

いよいよ《運命の杯》受け入れ問題をめぐって『One for My Baby』が始まる!

 

 

ひとり残ったFredは、悶々として杯を重ねる…

 

明日は戦場へ旅立つ日…

 

生きて再び帰って来れる保証はない…

 

だからFredは、女性を傷付けないために、愛さないと決めてた…

 

それなのに、Joanを深く愛してしまっている自分…

 

 

ジーナさんだったら、こう言うね!

 

 

 

 

マダム・ジーナと共演したかったぜ。メシと女はイタリアに限る。

 

 

「死と愛」の狭間で苦悩するFred…

 

そして気が付けば午前2時45分、閉店時間の3時間近になっていた…

 

泥酔したFredは、おもむろに歌い出す…

 

『One for My Baby(and One More for the Road)』を…

 

 

 

やっと本題だ!

 

 

ということで、続きは後篇にて。

 

 

ズコっ!

 

どんだけもったいぶるんだよ!

 

 

カッコいいとは、こういうことさ。

 

 

オチまで意味不明!

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:音楽

「One for My Baby(and One More for the Road)」前篇〜ジョニー・マーサー徹底解剖10

  • 2018.11.10 Saturday
  • 01:08

 

 

 

 

 

さて今回は僕にとって「因縁の曲」である『One for My Baby(One More for the Road)』を解説するよ。

 

Frank Sinatra『One for My Baby』

 

 

なんで因縁やねん?

 

 

この歌の「本当の意味」に気付いてしまったから、僕は大変な泥沼に入りこんでしまうことになったんだ…

 

もしも気付くことがなかったら、コーエン兄弟徹底解説シリーズも書かなかっただろうし、イサク・ディネーセンの『バベットの晩餐会』完全解説も書かなかっただろうし、トム・ウェイツの『CLOSING TIME』全曲完全解説も書くことは無かっただろう…

 

そしてこのジョニー・マーサー名曲完全解説シリーズも…

 

 

 

確かに泥沼だ。

 

渡り切るのに相当労力がいる(笑)

 

 

そういや、この曲は『ブレードランナー2049』にも使われてリバイバルヒットしたらしいな。

 

 

ホログラムのシナトラだね。

 

 

この映画を作った人は、よくわかってる。

 

この歌の主人公、つまりバーテンダーのジョーに話しかける男は、バーの閉店時間である「3時過ぎ」に死んでしまうんだ…

 

僕は『ブレードランナー2049』を観てないから詳しくわからないけど、どうやら歌詞の内容が映画のストーリーにピッタリっぽいよね…

 

 

確かにウィキであらすじ読んだら、それっぽいな!

 

 

結論から言うと、この歌は「イエスの十字架での死」を歌ったものなんだよね。

 

「午前3時」というのは、イエスが死んだ午後3時のことなんだ。

 

だって歌詞では一言も「午前3時」なんて言っていないからね。

 

しかも舞台が「酒場」だとも、話し相手のジョーが「バーテンダー」だとも、一言も言っていない。

 

さらにコインで音楽を奏でるのが「ジュークボックス」だとも一言も言っていない。

 

だってそもそも「午後3時にclose(cross)するbar(十字架)で死んだイエス」の歌なんだからね。

 

みんな思い込みで「午前3時の閉店間際のバーが舞台の歌」だと決めつけているんだ(笑)

 

これは海外の業界人の間では常識なんだけど、なぜか日本では僕以外の誰も指摘していない。

 

これまで日本の音楽評論家も誰もこれを紹介していないし、映画評論家も「なぜブレードランナー2049でこの歌が使われたのか」を全く解説していなかった…

 

 

たしかに…

 

 

あのU2のボノもTVのクリスマス特番でこの歌を歌ったよね。

 

わざとモノクロ画面にして、お酒のグラスだけを赤くして…

 

あの赤い杯は、葡萄酒の赤であり血の象徴。イエス・キリストを表したものなんだ…

 

 

 

わざわざボノがクリスマス特番のパフォーマンスにこの歌を選ぶくらいだから、間違いなさそうだな。

 

ちなみにこの歌には、どんな「誕生秘話」があるの?

 

 

元々はパロディ・ソングだったんだ。

 

冗談の歌だったんだよね。

 

 

ええ!?こんな渋い歌なのに!?

 

 

後にフランク・シナトラが渋く歌ったんで、そのイメージが定着したんだ。

 

だけど、最初にフレッド・アステアが映画の中で歌った時は、酔ったアステアがヤケクソで歌うというものだった。

 

バックで流れる演奏も笑えるほどユーモラスなんだよね…

 

 

 

ホントだ…

 

でもフレッド・アステア、酔っ払い過ぎだし、間奏で暴れ過ぎ…

 

店を破壊してるじゃんか…

 

どんな酔拳ダンスだよ…

 

 

シナトラ版とは大違いだよね(笑)

 

 

 

呼んだ?

 

 

麻生さん!?

 

それともマフィア!?

 

 

俺の名はシナ虎之助だ。

 

黒と黄色のツートンカラーと、帽子にあるST印がトレードマーク。

 

 

これはこれは。

 

虎之助さん、ようこそ。

 

 

そんな堅っ苦しい呼び方せんでくれ。

 

トラちゃんでいいぞ。

 

 

トラちゃん、男前〜!

 

 

俺の代名詞ともいえる『One for My Baby』を解説すると聞いて、居ても立っても居られなくてな。

 

せっかくだから、正男も呼ぼうか?

 

 

まさお?

 

 

俺に数々の名曲をプレゼントしてくれた天才作詞家ジョニー正男だよ。

 

 

ややこしくなりそうだから呼ばないで!

 

あなたとジョニー正男が並んだらシャレにならないっす!

 

 

あ、そう。

 

 

今から『One for My Baby』が最初に歌われた背景について解説しようと思っていたところです。

 

1943年公開のフレッド・アステア主演作『The Sky's the Limit』(邦題:青空に踊る)の解説を…

 

 

あれは「ワケアリ映画」だったな。

 

戦時下の映画としては「不適当なメッセージ」が織り込まれており、映画は当たらなかった。

 

 

不適当なメッセージ?

 

どゆこと?

 

 

他の戦時下の映画のように「アメリカ万歳!自由と平和のために敵を叩きのめせ!」というストーリーじゃなかったんだよ…

 

フレッド・アステア演じる戦闘機乗りの主人公は、一時帰国の際に目の当たりにした「熱狂するアメリカ社会」に対し、冷ややかなんだ…

 

「お前ら、現実の戦争がどういうものなのか、わかってんのか?」という感じでね…

 

彼は再び戦場に行けば「死」が待っていることを知っている。だから「死の杯」を受け入れなければならない自分の運命に苦悩するんだ。

 

映画の中で主人公は「エルサレム入城から復活までの、イエスの最後の一週間」を演じ、ラストで再び空へ飛び立つ…

 

その時ヒロインに「必ず帰って来る」と言い残すんだけど、復活のあとの昇天後にイエスが帰って来ていないことは御存じの通り…

 

かれこれ二千年ほど帰って来ていないよね…

 

『ヨハネの黙示録』によれば、次にイエスが地上に降臨するのは「世界の終わりの日」とされている…

 

つまり、主人公とヒロインは、精神レベルでは愛で結ばれるんだけど、肉体レベルでは永遠の別れをすることになるというわけなんだ…

 

 

だからあの荒れっぷりだったのか…

 

自由と平和のために戦地へ赴く正義のアメリカ人としては、確かに「不適当」だな…

 

 

非常に重いテーマを戦時下にコメディタッチで描いたもんだから、観客はどう反応していいのか困ったんだろうな。

 

『One for My Baby』を歌ったアステアも、「これは今まで私に与えられた歌の中で最高傑作だ!」と大興奮だったが、映画自体が成功しなかったため、歌もヒットすることはなかった…

 

だからイメージをハードボイルド風に変えた俺のバージョンが、この歌の定番となったんだ。

 

 

では、『One for My Baby』という名曲が、どのような状況で最初に歌われたのかを、映画『The Sky's the Limit』のストーリーを紹介しながら解説していこう。

 

この名曲の歌詞の本当の意味を考えるには、この映画について知るのが一番だ。

 

だって、そのために作られた曲だからね。

 

 

ねえねえ、映画タイトルの『The sky's the limit』って、どうゆう意味?

 

 

「遥か空の彼方まで」とか「終わりが見えない」ってことだね。

 

日本語でも限度が見えないことを「青天井」と言うでしょ?

 

つまり「再び会える日はいつになるかわからない」って意味なんだ。

 

 

戦時下の戦意高揚映画なのにタイトルが意味深過ぎ…

 

 

映画はまず、フレッド・アステア演じる主人公「Fred Atwill」が中国戦線から一時帰国するところから始まる。

 

Fred Atwill(フレッド・アステア)

 

 

冴えない表情やな。せっかく戦地から帰って来たっちゅうのに。

 

 

Fred Atwillはアメリカ社会の熱狂ぶりと自身の扱われ方にウンザリしてるんだ。

 

せっかく久しぶりの休暇で一時帰国したのに、彼は「客寄せパンダ」として全米を回ることになってしまった。

 

フライング・タイガーの「スーパー・エース」として名を馳せていた彼は、国民の戦意高揚と戦時国債の販売促進のため、軍当局に休暇返上で駆り出されたんだよ。

 

 

フライング・タイガー?スーパー・エース?

 

 

『マクロス』のロイ・フォッカーか?

 

 

 

虎の話なら、この俺に任せろ。

 

「フライング・タイガー」とは、昆明を中心とした南中国戦線で活躍した「アメリカ人の航空部隊」のこと。

 

漢字では「飛虎」と書く。

 

日中戦争が始まった1939年時、中国の空軍力は極めて脆弱だった。そこで蒋介石がアメリカに支援を求め、米軍が協力したってわけだ。

 

 

アメリカが日本と戦闘を開始するのは1941年12月やろ?

 

1939年じゃあ、まだやんけ。

 

 

 

だから「中国軍のアメリカ人部隊」なんだよ。

 

彼らは米軍を除隊して、いち民間人として参加したんだ。つまりボランティア、傭兵の外人部隊だね。

 

だけどそれは形式上のことで、実は米軍の全面バックアップで結成された部隊だった。

 

給料も合衆国政府から支払われ、パイロットの月給は現代の金額で240〜300万円ほど。

 

さらに日本軍の飛行機を1機撃ち落とすごとに200〜300万円のボーナスが支給されたらしい…

 

 

高給取り!

 

 

せやけど命懸けやで。

 

装備が旧式やった中国軍の中じゃ、最新の戦闘機も期待できへんし…

 

 

その通り。日本の戦闘機は高性能だったからな。

 

ちなみに部隊のマークは、ウォルトディズニー社のアニメーターによるデザインだ。

 

 

 

カワイイ(笑)

 

 

やがて日米が正式に交戦状態に入り、フライング・タイガーは米軍の指揮下に置かれ、多くの米国民はその存在を初めて知ることになる。

 

そして「軍籍を捨ててまで正義のために、遠いアジアで命を懸けて戦っていた英雄」として大絶賛されたんだ。

 

 

 

そして戦闘機乗りの間では、敵機を5機撃ち落とした者は「エース」と呼ばれていた。

 

フレッド・アステア演じる主人公Fred Atwillは「スーパー・エース」、つまり10機以上撃ち落とした「撃墜王」だったんだね。

 

日本だったら軍歌で歌われるくらいの国民的英雄だ。

 

野球で言えば、打者なら3割30本塁打30盗塁の「トリプルスリー」、投手なら20勝200奪三振200イニングの「トリプルツー」みたいなもんだよ。

 

 

スーパースターだな…

 

 

だからFred Atwillは米軍当局による戦意高揚の全米縦断ツアーに駆り出されたんだね。米国民を熱狂させる「客寄せパンダ」として。

 

だけどFred Atwillは自分のことを「晒し者」のように感じてしまう…

 

いくら戦争とはいえ、たくさんの命を奪った自分に対し熱狂する人々に違和感を覚えてしまうんだ…

 

 

『紅の豚』のポルコみたいな昔気質の飛行機乗りなんやな。

 

 

ちなみにこのツアーには、他にもフライング・タイガーの同僚が二人同行していた。

 

こちらは「普通のエース」で、名前を「Reginald」と「Richard」という。

 

 

 

顔も似てるし名前も紛らわしいコンビだな。

 

脚本家は何でそんなふうにしたんだろう?

 

 

ちゃんと理由があるんだな…

 

よく考えてみて。

 

「スーパー・エース」のFred Atwillは「イエス・キリスト」だ。

 

そして聖書では、イエスと共に「空中」にあった「二人組」がいたよね?

 

よく似た名前の二人組が…

 

 

ああ!ディスマスとゲスタス!

 

『磔刑図』アンドレア・マンテーニャ

 

 

この絵も『受胎告知』同様に、様々な音楽や小説、映画の元ネタになっているな。

 

コーエン兄弟の『バートン・フィンク』とか。

 

 

ですね。

 

LAでバートン・フィンクが滞在するホテルのロビーは「ゴルゴダの丘」が投影されていました…

 

スティーヴ・ブシェミ演じるホテルのボーイがロビーの地下から登場するのも、この絵が元ネタだった…

 

 

 

懐かしいな!詳しくはコチラ!

 

コーエン兄弟『BARTON FINK』徹底解剖

 

 

全30話以上ある泥沼シリーズやで。

 

読み始める前にそこんとこ覚悟しといたほうがええ…

 

 

さて、全米ツアーで見世物にされることにウンザリしたFred Atwillは、移動列車から姿をくらます。

 

飛び降りたところは西部の乾燥地帯にある田舎町。ここからヒッチハイクでニューヨークへ向かった…

 

 

なんでニューヨークなんや?しかもヒッチハイク?

 

鉄道で行きゃええやろ。

 

 

イエスの「エルサレム入城」を再現しているんだよ。

 

わざわざ西部の乾燥地帯からニューヨークへ向かうのは、聖書の舞台パレスチナ地方をイメージしてのことだろう。

 

そしてイエスは「子ロバ」の背に揺られて、ゆっくりとエルサレム入りした。

 

だから鉄道ではなくヒッチハイクなんだろうね。

 

 

ちなみにイエスのエルサレム入城は日曜日のこと。

 

だがその夜は郊外にある小さな村ベタニアのマルタとマリア姉妹の家で過ごす。

 

月曜日はエルサレム神殿へ出向き「宮清め」を行い、火曜日はユダヤの宗教指導者たちと論争を行った。

 

水曜日は再びベタニア村のマルタとマリアの家で過ごし、木曜日は過越し前の食事「最後の晩餐」を弟子たちと行い、ゲッセマネで夜通し祈り、そして逮捕される。

 

金曜日は朝から裁判が行われ、死刑が決まると十字架に架けられた。午後3時頃に息をひきとると、イエスは石室に葬られる…

 

土曜日は何事もなかったが、日曜日に復活。弟子たちの心を確かなものとして昇天した…

 

 

詳しいやんけ、トラちゃん。

 

 

俺はイタリア系で、カトリックとして育てられたからな。

 

 

そしてこのイエスの一週間が、そのまま映画のストーリーになっているんだ。

 

ジョニー・マーサーとハロルド・アーレンが手掛けた曲の数々も、このストーリーに沿った内容となっているんだね。

 

 

さて、ニューヨークへ「入城」したFred Atwillは、偶然出会った美しい女性Joan Manionに一目惚れしてしまう。

 

そのまま彼女の後を追って、ナイトクラブ「the Colonial Club」へ…

 

 

コロニアル・クラブとは皮肉の効いた名前の店やな。

 

イエスが生きた当時のエルサレムはローマ帝国の属領やった。いわば植民地や。

 

せやからユダヤ人にはイエスを死刑にする権限が無くて、ローマ人の総督ピラトの裁量を仰がんといかんかった…

 

 

Joanは出版社で働く報道カメラマンだった。

 

だけど訳あって芸能班に回されていて、ナイトクラブにやって来るセレブの写真を撮っていたわけだ。

 

Joan Manion(ジョアン・レスリー)

 

さて、彼女の名前で気付くことはないかな?

 

もう彼女がどんな役割を演じるのか一目瞭然だと思うんだけど…

 

 

「Manion」っちゅうのは「Marion」のことやろ。「マリア」の変形名や。

 

 

わかりやすいね。

 

イエスが愛したマグダラのマリアや、ベタニアのマリアのことだ。

 

だからFred Atwillは一目惚れしたんだな(笑)

 

 

「Joan」のほうは?

 

 

ジルベルト?

 

 

「Joan」というのは「John」の女性形なんだよ。

 

聖書風に言うと「ヨハネ」だね。

 

 

ああ!そうか!

 

イエスに最も愛され、最期を見届けた弟子ヨハネと…

 

『ヨハネの黙示録』を書いた福音記者ヨハネ!

 

だから出版社の報道カメラマンなんだ!

 

 

その通り。

 

さて、Joanの気を惹きたいFred Atwillは、さんざん仕事を邪魔した挙句、仕事帰りのJoanのあとをつけて晩御飯を共にすることに成功する。

 

 

でもJoanは報道カメラマン志望なのに、なんで国民的英雄のスーパー・エースに気付かないんだ?

 

 

この頃はまだテレビも無かったし、遠い戦地で戦っていた「非米軍兵士」の写真なんて、あまり出回っていなかったんだろう。

 

名前を聞けば気付くけど、顔だけでは気付かないんだ。

 

 

「遠山の金さん」や「鬼の平蔵」みたいなもんやな。

 

誰でも名前は知っとるけど、顔は知らんから悪者たちも騙されて、最後に名前を聞いて腰を抜かす。

 

 

だからFred AtwillはJoanに名前を聞かれて偽名で答える。

 

「Fred Burton」と名乗るんだね。

 

 

バートン!?

 

 

この名前にも仕掛けがあるんだぜ。

 

本名と偽名を足すと面白いことになるんだ。

 

 

本名と偽名を足す?

 

どゆこと?

 

 

本名の「Atwill」は「at will」だから「自分の意志で」という意味だよね…

 

そして「burton」は「消息を絶つ・消える・死ぬ」という意味があるんだ…

 

だから「burton at will」だと…

 

 

自分の意志で消息を絶つ…

 

自分の意志で死ぬ…

 

イエスのことだ…

 

 

トンデモネェ映画だよな。

 

 

そしてJoanは、Fred相手に芸能班の仕事を愚痴り始める。

 

実は彼女のボスが彼女にぞっこんで、プロポーズまでしていたんだよね。だから芸能班に回していたわけだ。楽な仕事だから。

 

だけど彼女はジャーナリズムと愛国心に燃えていて、何とか戦争報道に携わりたいと考えている。

 

そして国民的英雄であり、戦争の裏表を全て知るFredに対し、戦争論を吹っ掛けるんだね。

 

 

しゃあないな、本人やと知らんのやさかい…

 

潜入捜査しとる金さんや鬼平に気付かん盗人みたいなもんや…

 

 

グーグルグラスとか無くて良かったね。

 

 

そして夜も遅くなり、FredはそのままJoanの住むアパートメントまで付いていく…

 

そして翌朝Joanが目を覚ますと、キッチンで朝食を作っているFredの姿が…

 

 

ええ!?さっき出会ったばかりでしょ!?

 

 

アステアの野郎、いつもこうなんだよな。

 

街でイイ女を見かけると、あとをつけて、晩飯いっしょに食って、翌朝なぜか部屋にいる。

 

 

映画とはいえ、鮮やか過ぎますね(笑)

 

しかも全くガツガツしていない。気付いたら「いる」みたいな感じ。

 

 

もはやファンタジーだろ…

 

 

さて、続きは次回の後篇でゆっくり解説しようかな。

 

名曲『One for My Baby』の本当の意味もバッチリ解読しちゃうよ。

 

 

その時は俺の出番だな…

 

やっぱりジョニー正男も呼んで…

 

 

それだけはやめて!

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:音楽

「スカイラーク」後篇(SKYLARK)〜ジョニー・マーサー徹底解剖9

  • 2018.11.08 Thursday
  • 00:16

 

 

 

 

 

さて、トイレも行ったしドリンクバーもとってきたし、準備万端だ。

 

もし前篇を未読の人がいたら、急いで読んでおいたほうがいいよ。

 

ジョニー・マーサー『SKYLARK(ひばり)』前篇

 

 

いらんかもしれんけど、登場人物紹介いちおう作っといたで。

 

 

 

なんだよコレ。

 

 

さて、準備はいいかな?

 

ジョニー・マーサーの代表曲中の代表曲『SKYLARK(スカイラーク)』の歌詞を解説するよ。

 

まず改めて歌を聴いてもらおうか…

 

 

待てぇ!ワイお薦めのタイン・アンジェラで行こか!

 

超イロっぽいで!

 

 

 

わお!せ〜くすぃ〜!

 

これぞ真夜中のジャズって感じ!

 

 

でもやっぱりこの歌は男性が歌ったほうが「本来の形」だな。

 

ということでオーストラリアのRai Thistlethwayteの弾き語りをどうぞ。

 

 

 

 

ライ・シスルレスウェイツ…

 

発音、難し過ぎ…

 

 

彼の名前はどうやって日本語にしたらいいのか僕にもわからない。

 

こちらのサイトで発音を確認してみてね。

 

各言語での読み方も大変そうなんだ。オランダ語とかドイツ語なんて、何言ってるんだかサッパリわからない…

 

だから彼は「Sun Rai」という名でも活動している。

 

 

そのほうが助かるな。

 

 

さて、この『スカイラーク』の曲自体は、名曲『スターダスト』でお馴染みの天才作曲家ホーギー・カーマイケルが、若くして亡くなった天才トランぺッター「ビックス・バイダーベック」の生涯を描いたミュージカルのために作ったものだ。

 

だけどミュージカルの企画が流れてしまい、カーマイケルはジョニー・マーサーに「何か好きな詞をつけていいよ」と手渡した。

 

それは1941年のこと。

 

つまり妻帯者ジョニー・マーサーが、国民的歌姫ジュディ・ガーランドとの「秘めたる関係」に悩んでいたと言われる頃のことだ…

 

 

おお!またドキドキの展開!

 

 

ジョニー・マーサーの頭の中は「ジュディ」のことでいっぱいだった…

 

だけどそれは禁断の愛…

 

今は有名人の不倫なんて掃いて捨てるほどありふれたニュースだけど、この当時は「その重み」が違う…

 

世間に知れてしまったら「人間失格」の烙印を押され、本当に社会的に抹殺されてしまうものだったんだ…

 

 

せやからハリウッドにはプロの「揉み消し屋」がおったんやな。

 

コーエン兄弟『ヘイル、シーザー!』のジョシュ・ブローリンみたいに…

 

 

 

だね。

 

さて、実はこの歌、ジョニー・マーサーの手により歌詞が何度も改変されている…

 

僕なりにその理由を考えてみたんだけど、やはりそれは「ジュディ絡み」としか思えない…

 

 

なぜそう決めつける?

 

 

ホーギー・カーマイケルが「喪失」をイメージして作った曲だけに、歌詞を考えるジョニー・マーサーの頭の中からジュディのことが離れなかったことは想像に難くない…

 

こんな切ないメロディを聞いたら、しょうがないよね…

 

だからジョニー・マーサーは「ジュディ・ロス」をストレートに歌にした…

 

だけどあまりにもストレート過ぎたので、歌詞を何度も書き換えることになったんだ…

 

たぶん最初はもっと「最愛の歌姫を失う喪失感」が描かれた歌詞だったんだろう…

 

 

なるほど…

 

もっと具体的に切ない歌だったというわけか。

 

 

だと思うんだ。

 

でなきゃ何度も歌詞を書き替える理由が見当たらない。

 

「これだとバレるかも…」ってジョニー・マーサーは思ったんじゃないかな?

 

というわけで、現在歌われているバージョンでの歌詞を見てみよう。

 

まずは1番から…

 

Skylark
Have you anything to say to me?
Won't you tell me where my love can be?
Is there a meadow in the mist
Where someone's waiting to be kissed?

 

ヒバリよ

僕に何か言うことがあるよね?

教えてくれてもいいだろう

僕のこの愛はどうしたらいい?

それとも霧に包まれた緑の牧場で

誰かが君の口づけを待っているとでも?

 

 

 

いきなり、めっちゃ切ないな。

 

 

せやけど何で「霧に包まれた緑の牧場」なんや?

 

 

ジョニー・マーサーは、最愛の女性ジュディ・ガーランドが「飛んで行った先」のことを歌っているんだ。

 

どこだったか覚えてる?

 

 

わずか2カ月前に先妻と離婚したばかりだったDavid Rose(デヴィッド・ローズ)氏!

 

David Rose & Judy Garland (1941年7月〜)

 

 

せやから、なんで「霧に包まれた緑の牧場」が「デヴィッド・ローズ」なんやねん?

 

 

実はこの歌詞って、旧約聖書『詩篇』第23篇(Psalm 23)の引用なんだよ。

 

 

また詩篇23!?

 

 

The Lord is my shepherd; I shall not want.

He causes me to lie down in green pastures;

He leads me beside still waters.

He leads me in paths of righteousness for His name’s sake.

 

主は私の羊飼い。私は求めることがありません。

主は私を緑の牧場に横たえ、水のほとりへ導きます。

主は私を義の小路へ導きます。主の名のために。

 

詩篇23では冒頭で「求めない姿勢」が歌われ、続いて「緑の牧場と水が与えられること」が歌われる。

 

そして「小路」というのは「バージンロード」を指しているね。

 

Rose(ローズ氏)とLord's(主)が掛けられているんだ。ジュディが結婚式で歩くバージンロードのことだね。

 

これが『SKYLARK』の1番になってるわけだ。

 

ジョニー・マーサーは「ヒバリ」をこれ以上求めないことにした…

 

だけど、どうしても「ヒバリ」の口から直接聞きたいことがあったんだ…

 

「行き先」である「霧に包まれた緑の牧場」についてを、ね…

 

だから詩篇第23篇を引用した…

 

「waters(水分)」を「mist(霧)」に言い換えて…

 

 

なるほど…

 

アメリカ人ってホントに好きなんだな、詩篇23を…

 

 

ねえ、僕の名前を連呼しないでって言ったよね?

 

 

い、いえ…うちらじゃありません…

 

連呼したのは、このオッサンです…

 

 

ぼくを、おこらせたな。

 

 

ごめんごめん。

 

でもあなたのことじゃないんだ。

 

お詫びに、このチキンのガーリックソテーを注文しようかな。

 

 

別にそれで僕の時給が上がるわけじゃないんだけどね。まったく…

 

 

やれやれ、とんだ邪魔が入ってしまった。

 

 

あんたが入れたんだろ!

 

 

さて『スカイラーク』に戻ろうか…

 

ちょっと思い出してほしいことがあるんだ。

 

詩篇23のタイトルは何だったっけ?

 

 

詩篇23のタイトルぅ?

 

 

あ!

 

ダ、ダビデの賛歌…

 

A song of David…

 


そういうこと。

 

ジョニー・マーサーが「詩篇23ダビデの賛歌」を基にして『スカイラーク』の歌詞を書いたのは、ジュディ・ガーランドの結婚相手デヴィッド・ローズ氏のことを想起させるためだったんだね。

 

そして「David Rose」って名前は「David Lord's(主のダビデ)」にも聞こえるからね。

 

ジュディは「Lord's 夫人」になったとも言える…

 

 

うひゃ〜

 

 

では2番を見てみよう。

 

Skylark
Have you seen a valley green with spring
Where my heart can go a-journeying
Over the shadows and the rain
To a blossom covered lane?

 

ヒバリよ

春の芽吹きに覆われた谷を見たかい?

僕の心が体を離れて天高く飛び立ち

雨降る死の陰の谷を越えて辿り着いた

花に覆われたあの谷を

 

 

 

「over the shadows」って「over the rainbow」の駄洒落かな?

 

 

だね。

 

そして2番も詩篇23の続きになってるんだ。

 

Even when I walk in the valley of darkness,

I will fear no evil for You are with me;

Your rod and Your staff, they comfort me.

 

たとえ死の陰の谷を歩むとも

あなたと共にあるならば

私は恐れることはありません

あなたの裁きの杖が私を慰め癒すから

 


ほぼ「そのまんま」やんけ!

 

 

まさに「そのまんま」なんだよ(笑)

 

そして例によってCメロは「読解のヒント」になっている。

 

ここで「スカイラーク」が「ジュディ・ガーランド」であることを臭わせるんだね。

 

And in your lonely flight
Haven't you heard the music of the night?
Wonderful music, faint as a will o' the wisp
Crazy as a loon
Sad as a gypsy serenading the moon

 

君の孤独な旅の途中で

あの「夜の調べ」を聞かなかったのかい?

君は素晴らしいと言ってたじゃないか

気絶するほど、気が狂いそうなほどって

月夜にジプシーが歌うセレナーデみたいに悲しいって

 

 

 

「スカイラーク」が聴いたはずの「the music of the night(夜の調べ)」って、もしや…

 

『Blues in The Night(夜のブルース)』のこと…?

 

 

その通り。

 

ジョニー・マーサーは『Blues in The Night』を完成させた夜に、ディナーパーティーの席でさっそくお披露目を行った。

 

その時ジュディ・ガーランドは、感動のあまりこう言ったんだよね。

 

「お願い、もう1回聴かせて…」

 

 

『Blues in The Night(夜のブルース)』後篇

 

 

そんで「ジプシー」といえば『オズの魔法使い』やな…

 

 

 

ちなみに『オズの魔法使い』も「詩篇23ダビデの賛歌」が元ネタになっている。

 

Even though I walk through the valley of the shadow of death,
I will fear no evil; for You are with me;
Your rod and Your staff, they comfort me.

You prepare a table before me in the presence of my enemies;
You anoint my head with oil;

 

ここに「I will fear no evil」「your rod and your staff」「you anoint my head with oil」という言葉があるよね?

 

 

ああ!

 

「臆病ライオン」と「詰め物のカカシ」と「錆びたブリキ」のことじゃんか!

 

「staff(杖)」が「stuff(詰め物)」の駄洒落になってるんだ!

 

 

 

このように「Psalm 23(詩篇23ダビデの賛歌)」は、さまざまな作品の元ネタになっている。

 

特にアメリカ人はこの「PS23」が大好きなんだ。

 

だからジョニー・マーサーもこっそり引用した。

 

まあ世間の目は誤魔化せても、僕の目は誤魔化せないよね。

 

でも「四分の三世紀」も人々を欺けたんだから、ジョニー・マーサーとしては大成功だったのかもしれないな。

 

さて、最後に3番を見てみよう。

 

Skylark
I don't know if you can find these things
But my heart is riding on your wings
So if you see them anywhere
Won't you lead me there

 

ヒバリよ

君がこの歌の本当の意味に気づくかどうか

僕にはわからない

だけど僕の心は君の翼に乗って天高く舞う

そしてもしいつかどこかで気づいたなら

僕もそこに連れてってくれるかな?

 

 

 

「僕の言ってることに気付くかな?」って自分で言うとるやんけ…

 

 

そうなんだよね。

 

よく歌詞を読めば、ちゃんと意味がわかるようになってるんだ。

 

そして「僕の心はいつも君と共にある。いつか君のもとへ導いてほしい」と歌われる。

 

これは『オズの魔法使い』のオチと一緒だね。

 

 

これも「詩篇23ダビデの賛歌」の〆の部分が元ネタになっているんだよ…

 

May only goodness and kindness pursue me all the days of my life,

and I will dwell in the house of the Lord for length of days.

 

私の生きているかぎりは必ず恵みと慈しみが伴うことでしょう

私はとこしえに主の家に住まうのです

 


ああ…

 

『サザエさん』のエンディングテーマと一緒…

 

 

そして実に興味深い歌詞があることに気付かない?

 

 

興味深い歌詞?

 

 

「my heart is riding on your wings」だね。

 

トム・ウェイツのデビューアルバム『CLOSING TIME』のB面4曲目『Little Trip to Heaven(On the Wings of Your Love)』は、この『SKYLARK』をもとにしている。

 

 

し、しばりくん!?

 

 

おやおや。これは驚いたな。

 

 

僕、とあるブログを愛読してるんだけど、書いてたのキミだったんだ…

 

ほら、これ…

 

TOM WAITS『天国への小旅行(愛の翼に乗って)』

 

 

ええ〜〜〜!?

 

 

そういえばキミたちも出てるよね?

 

あんまり役に立ってないけど。

 

 

なぬ!?

 

 

この二人も重要なんだよ。

 

もし居なかったら、僕は延々ひとりごと言ってる痛いオジサンになってしまう。

 

 

確かにw

 

 

そうとう読み込んでる!

 

 

まさかこんなところで僕の読者に会えるなんて思ってもみなかったな…

 

しかも子供の頃『すすめパイレーツ』の愛読者だったから余計にうれしい。

 

 

トム・ウェイツ『CLOSING TIME』徹底解説は面白かったです。

 

「マーサ=ジョニー・マーサー」説には正直「ハァ?」って感じだったけど、今回のでようやく腑に落ちました。

 

トム・ウェイツは明らかにジョニー・マーサーを意識して『CLOSING TIME』を作ってる…

 

 

そうなんだよね。

 

この二人も君みたいに物分かりが良ければいいんだけど。

 

 

ハァ!?

 

 

「しばり」の連呼も疑ってすみません。

 

『SKYLARK』のことだったんですね。

 

この歌、なぜだか僕も大好きで…

 

 

そうだろうね。

 

だってこの歌は「女性(ジュディ)」のことを「男性(イエス)」に偽装して歌っているんだから。

 

春の日に十字架で死に、天高く昇っていくイエス・キリストの姿を歌ってるように見せかけてね。

 

だからこの歌は教会で歌われることが多いんだ。「ゴスペルソング」として…

 

 

 

せやけどホンマは「ヒバリ」が「女」で、しかも背徳の関係にあった男が歌った歌やと知ったら驚くやろな…

 

 

歌に罪はない。

 

その人が感じたままに歌えばいいだけ…

 

 

ちなみに次はどの曲を?

 

 

『One for My Baby (and One More for the Road)』を予定している。

 

 

 

来た!

 

これまたトム・ウェイツの『CLOSING TIME』にとって重要な歌!

 

 

さすが、よくわかってらっしゃる。

 

 

僕、楽しみにしてる。

 

明日中にはアップしてほしいな。

 

 

やれやれ、とんだ注文が舞い込んだ…

 

仕方ない。大切な愛読者のリクエストだ。頑張って書いてみるとしようか…

 

 

やった!絶対だよ!

 

そしたら次回来た時に大サービスしてあげる。

 

 

これはこれは、楽しみだな。

 

 

じゃあね、僕そろそろ上がりの時間だから。

 

ゆっくりして行って。バイバイ。

 

 

はい、お疲れさまでした…

 

 

ねえねえ、ナンボク…

 

これも「オジサンのひとりごと」だよね…?

 

 

せやな…

 

しかもかなり痛いやつや…

 

 

何か言った?

 

さあ、君たち。『One for My Baby (and One More for the Road)』回の打ち合わせと行こうか。

 

今度はどんな設定にしようかな…

 

 

ねえねえ…

 

やっぱり家に帰って打ち合わせしない?

 

また別のややこしい店員が出て来て気が散ってしまう予感が…

 

 

そうだね。

 

やっぱり、おうちが一番だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:音楽

「スカイラーク」前篇(SKYLARK)〜ジョニー・マーサー徹底解剖8

  • 2018.11.07 Wednesday
  • 09:49

 

 

 

 

 

わ〜い!深夜のファミレスだ〜い!

 

 

前回のラストで言うたけど、ホンマに来るとは思わんかったわ。

 

 

なんだか打ち合わせしてるみたいな気分だね。

 

うちらが編集者で、おかえもんがネームやアイデアに苦労してる作家。

 

 

何か言った?

 

ところで、ヨナタンでよかったかな?

 

 

ヨナタン言うな。ジョナサンや。

 

 

ごめんごめん。つい聖書風に読んでしまうクセが…

 

 

そういえばさ…

 

ジョナサンといえばカモメなのに、ジョナサンのロゴにはカモメのマークが入ってないんだね。

 

 

 

 

当たり前やろ。

 

ジョナサンは「すかいらーく」グループやで。

 

なんで会社名が「SKYLARK(ヒバリ)」なのに、関係あらへん鳥「かもめ」をロゴに入れるんや?

 

 

ひばり?美空?

 

 

 

これも「隠れゴスペルソング」だ。

 

1番の舞台はゲッセマネ。

 

「夜のグラス」とはイエスが祈りの中で言及した「運命の杯」のこと。そして「口づけ」とは「ユダの接吻」だね。

 

そして2番の舞台はゴルゴダの丘。

 

いきなり「丘の上のホテル」だもんね。そして「心の灯り」が消えると「小雨」が降る。人間としてのイエスが死んで雨が降ったことの引用だ。

 

3番は「復活の預言」について歌われる。だから残された女は「祈る」わけだ…

 

 

「美空ひばり」っちゅう芸名もアヤシイな。

 

ジョニー・マーサーの『SKYLARK』を意識した名前とちゃうんか?

 

 

かもね。

 

ちなみに「すかいらーく」だけど、これは創業の地が現在の西東京市「ひばりが丘団地」だったので、「ヒバリ」の英語名「skylark」から付けられたそうだ。


 

 

 

美声で歌いながら天高く舞い上がるヒバリの姿に、あやかったわけだね。

 

ヒバリは漢字で「雲雀」と書くほど、天高く舞い上がることで知られている。

 

「告天鳥」や「叫天子」とも呼ばれるんだ。

 

 

すかいらーくのヒバリは、体もデブだし、眠くてヤル気なさそうだし、あんまり天高く飛べそうにない感じだけどね(笑)

 

 

失礼なこと言うな、ボケ。

 

すかいらーくの株価もヒバリ同様に天高く上昇中やで。知らんけど。

 

 

ヒバリは春の繁殖期にオスが鳴きながら天高く舞う行動(揚げ雲雀)をとることから、古来より縁起物とされ、「春の代名詞」とされてきた。

 

和歌や俳句の世界でも「春の季語」だよね。

 

 

『うらうらに照れる春日に雲雀上がり心悲しも独りし思へば』

(大伴家持:万葉集)

 

『永き日を囀り足らぬひばりかな』

(松尾芭蕉)

 

などが有名だ。

 

 

そしてこれは日本だけではなく、西洋社会でも同じこと…

 

ヨーロッパでも古くからヒバリは「春の吉鳥」とされてきた。

 

イースターの季節、ヒバリが囀りながら天高く昇っていく姿は、十字架で死んで天の父のもとへ帰ったイエス・キリストに重ねられてきたんだ…

 

揚げ雲雀 by Alpsdake 

 

 

 

春の季語なのは知ってたけど、「ヒバリ=イエス・キリスト」説は初耳だぞ。

 

 

この絵を見てごらん…

 

スコットランドのバンド「SKYLARK」のアルバム『ALL OF IT』のジャケットなんだけど、ヒバリはイエスのイメージに重ねられているよね。

 

ヒバリが飛び立つ木の両脇の木は、イエスと共に十字架に架けられた二人の罪人の十字架…

 

その下にいる男女は、イエスの死を見届けた二人、最も愛された弟子ヨハネと母マリアのモチーフだ…

 

 

だから「すかいらーく」のヒバリは、半分閉じた虚ろな目をしているんだよ…

 

十字架の上で、意識が朦朧としながら最期の言葉を発したイエスをイメージしたものだから…

 

 

 

もうええ!オッサンのウンチクは腹いっぱいや!

 

ストップ!ひばりネタ!ダメぜったい!

 

 

 

呼んだ?

 

 

ひ、ひ、ひばりくん!?

 

 

あの…

 

いちいち僕の名前を叫ぶのやめてもらえませんか?

 

テーブルの呼出ボタン押してもらえば来ますんで…

 

注文まだでしたよね?

 

 

これはすっかり忘れてた。ドリンクバー3つでお願いします。

 

 

勝手に決めるな!パンケーキも付けろ!

 

 

仕方ない。どうぞ。

 

 

ドリンクバー3つとパンケーキ1つですね?

 

かしこまりました。

 

あと、くれぐれも次回の御注文の際は、呼出ボタンでお願いします…

 

 

 

 

・・・・・

 

 

あの店員さんカワイイね。ジョナサンに来て正解だった。

 

 

あほか!あれは男や!

 

 

ええ〜〜〜!?

 

 

君たち、声が大きいよ。他のお客さんに悪いじゃないか。

 

さて、各自ドリンクを取って来たら、今回の本題であるジョニー・マーサーの『SKYLARK(スカイラク)』の解説を始めるとしよう…

 

 

準備OKで〜す!

 

 

ではまず曲を聴いてもらおうか。

 

はい、イヤホンをどうぞ。では再生するよ…

 

歌ってくれるのは、タイのプラヤー・ウォラカン(Prayer Worakan)嬢だ…

 

 

 

色っぽくて、ちょっと切ない!

 

そして祈るように歌うのがいいね!名前が「Prayer」だけに!

 

 

でもやっぱりこの歌は男性が歌ったほうが様になるな…

 

うん、やっぱりこの歌は男性歌手に限る。

 

ということで、ルカ・マニング(Luca Manning)の熱唱をどうぞ…

 

 

 

おお!気持ち込めまくりやんけ、ルカだけに。

 

 

だけど何でこの歌は男のほうがいいの?

 

キレイなお姉さんのほうがいいに決まってると思うんだけど…

 

 

だってこの歌は、ジョニー・マーサーが「叶わぬ恋」を歌ったものだからね…

 

妻帯者である自分の手元には留めることの出来ない「ひばり」を大空へ…、というか他の男へリリースしなければならない切なさを歌ったものなんだ。

 

 

まさか…

 

大空へリリースした、叶わぬ恋の相手「ひばり」って…

 

 

あの…

 

いちいち僕の名前を呼ばないでくださいって言いましたよね?

 

田舎のキャバレーじゃないんだから、やめてもらえます?

 

 

ああ〜!ごめんなさい!

 

でもあなたのことじゃなくてヒバリの話なんです…ヒバリの…

 

 

だから「しばり、しばり」って僕の名前を連呼するの、やめてもらえますか?

 

 

し、しばり…?

 

「ひばり」でしょ?

 

 

だから「しばり」って言ってるじゃないですか。

 

 

もしや…

 

ちょっとお願いがあるのですが、「賞品」って言ってもらえます?

 

 

しょうしん?

 

 

ああ、やっぱり…

 

ひばりさん、あなた江戸っ子ですね。

 

 

神田の生まれよ!

 

おっと忘れてた…

 

ナウ・ゲッタ・チャ〜ンス!

 

只今キャンペーン中につき、パンケーキをご注文された方には、パンケーキ追加無料のチャンスが!

 

さあこのスクラッチカードをコインで削ってみて!何枚当たるかな?

 

 

は、はい…

 

 

あれ?0枚…?

 

 

残念!

 

じゃあまた何かあったら呼んでください。

 

その時は僕の名前を呼ぶのではなく、そこの呼出しボタンでね…

 

 

 

やれやれ。まったく紛らわしい店員だ。

 

 

お前がわけのわからん設定にして出したんだろ…

 

 

僕ね、子供の頃、樹木希林が演じる「かねたさん」のファンだったんだけど、伊東四朗が演じる「バーミヤン伊東」も大好きだったんだ。

 

 

それを言うならベンヤミン…

 

ちゃうちゃう、ベンジャミンや!

 

オッサンの癖が伝染してもうたわ。

 

 

 

電線だけにね(笑)

 

ちなみにこの電線音頭の歌詞は『マタイによる福音書』第10章の…

 

 

もう脱線しなくていい!

 

 

そう?

 

では本題に入ろう。

 

このシリーズの読者には説明は要らないと思うけど、この曲で歌われる「ひばり」とはジュディ・ガーランドのことだと言われている…

 

名曲『スカイラーク』とは、ジョニー・マーサーがジュディ・ガーランドへの想いを歌ったものだと言われているんだ…

 

最初に紹介した曲『I REMEMBER YOU』同様にね…

 

 

またかよ!

 

どんだけ未練があったんだ!?

 

 

だって当時のジュディ・ガーランドは『オズの魔法使い』の大ヒットでトップアイドルに登りつめていたんだよ。

 

しかも歌や踊りの才能も抜群に素晴らしかった。まさにカリスマ的な歌姫ってやつだ。

 

天才ソングライターのジョニー・マーサーが惚れ込む理由はいくらでもある。

 

でもジョニー・マーサーは妻帯者…

 

どんなに愛しても一緒にはなれない…

 

だから1941年7月のジュディ・ガーランドとデヴィッド・ローズの電撃結婚は、ジョニー・マーサーに計り知れない衝撃を与えた…

 

二人の結婚式で鳴らされた教会の鐘の音を聞いて『I REMEMBER YOU』を書いたというのは、以前話した通り…

 

だけどそれだけではジュディへの想いを断ち切ることは出来なかった…

 

そしてマーサ―は、誰にも言えない胸の内をすべて吐き出すため、愛の残り火を完全に消し去るために、『SKYLARK』を書く…

 

 

そんなヘビーな曲だったのか…

 

 

ジュディ・ガーランドは身長が151cmと、アメリカの白人女性としては小柄だった…

 

だから『オズの魔法使い』で17歳だったのにもかかわらず少女ドロシーを演じられたんだけどね…

 

だけどそんな小さな体で、誰もを魅了する圧倒的な歌声を持っていたわけだ…

 

ジョニー・マーサーにとって、まさに彼女は天に舞う雲雀だったんだね…

 

 

なるほど!

 

小っちゃくて歌が上手いカリスマは、洋の東西を問わず「ヒバリ」なんだな!

 

 

 

では歌詞を見ていこう…

 

と言いたいところだけど、ちょっと長くなっちゃったんで「次回に続く」にしようかな。

 

 

長いのは全部あんたの無駄話だ(笑)

 

 

無駄話とは失礼な。「伏線」と呼んでくれたまえ。

 

さて後篇が始まる前に、トイレとか行っといたほうがいいよ。

 

あと、ドリンクバーのお替りもね…

 

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:音楽

 

「夜のブルース」後篇(Blues in The Night)〜ジョニー・マーサー徹底解剖7

  • 2018.11.05 Monday
  • 23:23

 

 

 

 

 

さて、1941年の某月某日のこと。

 

のちにアカデミー歌曲賞にもノミネートされ、ジャズのスタンダードともなる名曲『Blues in The Night』を完成させた作詞家のジョニー・マーサーと作曲家のハロルド・アーレンのコンビは、あまりの達成感でその日のうちに誰かに聴かせたくなり、歌手のマーガレット・ホワイティングを電話で呼び出そうとした。

 

だけどホワイティングは自宅でのディナーパーティーの準備中で、行けるとしても夜遅くなるという返事…

 

だけど、そのパーティーの面子を聞いて、ジョニー・マーサーは色めき立った。

 

ミッキー・ルーニー、メル・トーメ、マーサ・レイ、そしてジュディ・ガーランド…

 

錚々たるスターが揃ったディナーと知り、ジョニー・マーサーは「俺たちがスペシャルソングを引っ提げて飛び入り参加だ!出来立てホヤホヤの歌を聴かせてやるぜ!」と電話を切り、ホワイティング宅へと向かったのだった…

 

 

 

詳しくは前回を参照のこと。

 

「夜のブルース」前篇

 

 

ジュディ・ガーランドは知ってるけど、他の人たちもそんなに有名なスターなの?

 

ミッキー・ルーニーとか…メル友とか…

 

 

メル・トーメや!

 

 

もちろん、みんなスターだよ。

 

まずジョニー・マーサーが電話を掛けたマーガレット・ホワイティングは、この当時、素朴さというか田舎っぽさが売りの若手歌手としてミュージカル映画で大人気だった。

 

マーサーが共同設立者となったキャピトル・レコードの専属契約歌手第1弾でもあったんだよ。

 

Margaret Whiting (1924 - 2011)

 

 

最後のタメ息が可愛い(笑)

 

 

そしてミッキー・ルーニーは、ジュディ同様に1930年代に天才子役として名を馳せ、40年代にはジュディとのコンビで数々のラブコメディ映画に主演した。

 

歌って踊れる喜劇俳優として大人気だったんだ。

 

Mickey Rooney (1920 - 2014)

 

 

ミッキー・ルーニーといえば『ティファニーで朝食を』の謎の日系人ユニオシっちゅうのもあったな…

 

 

そしてメル・トーメは、1940年代後半から自身の楽団を率い、戦後のジャズ・エンタメ界を支えたレジェンドだ。

 

これぞアメリカン・エンターテイナー!という人物だね。

 

トーメのスキャットはまさに伝説的だった…

 

Mel Torme (1925 - 1999)

 

 

超カッコいい!

 

 

そして最後のひとりは喜劇女優のマーサ・レイ。

 

「大口女」として人気を博し、チャールズ・チャップリンの『殺人狂時代』のヒロインとしても有名だ。

 

 

Martha Raye (1916 - 1994)

 

 

1941年某月某日に行われた『Blues in The Night』完成の夜のディナーパーティーにはおらへんかったけど、参加者の人間関係において重要な人物であるデヴィッド・ローズの元嫁やな。

 

デヴィッド・ローズは5月19日にマーサ・レイと離婚して、7月28日にジュディ・ガーランドと電撃再婚するんや…

 

 

 

たった二ヶ月で再婚って、どうなの?

 

しかもマーサ・レイとジュディは仲良しの友達同士なのに…

 

 

セレブの世界っちゅうのは、ワイら一般人には理解できひんな…

 

 

しばらくは関係が冷え込んだ時期もあったらしいけど、マーサ・レイとジュディの友情は生涯続いたそうだよ。

 

のちにはこんな共演もしているほどだ。

 

 

 

なんか冒頭のデュエット部分の歌詞が意味深やけど、「あの頃はお互い若過ぎたのよね」的な雰囲気でエエな。

 

 

それにしてもマーサ・レイの変顔が迫力あり過ぎる(笑)

 

 

 

こんな彼女だけど、実はアメリカではジュディ・ガーランド以上の名声を得ているんだ。

 

なんとマーサ・レイは、アメリカ合衆国政府が制定する勲章の中で最高位の「大統領自由勲章」を授与されている。

 

これまでの歴史上、女優で授与されたのは、オードリー・ヘプバーンやメリル・ストリープなど僅か8人…

 

マーサ・レイはその内のひとりなんだよ。

 

 

すごいじゃんか!

 

でも何で?

 

 

第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争時の慰問活動(USO)で、映画女優として最大の貢献をしたんだ。

 

だから彼女の死後には米海兵隊から名誉大佐の称号が、陸軍からは名誉中佐の称号が与えられた。

 

 

あの変顔で、泣く子も黙る海兵隊の名誉大佐なのか!

 

人は見かけで判断しちゃいけないな。

 

 

さて、マーガレット・ホワイティング宅のディナーパーティーに飛び入り参加したジョニー・マーサーとハロルド・アーレンは、さっそく出来たばかりの曲『Blues in The Night』を披露した。

 

ジョニー・マーサーが歌い終わった瞬間、部屋は短い沈黙に包まれ、まずメル・トーメが立ち上がって叫んだ…

 

 

「信じられない!」

 

そしてミッキー・ルーニーが叫ぶ。

 

「なんだこれ!?これまで聴いた中で最高の歌だ!」

 

そしてジュディ・ガーランドが呟いた…

 

「ねえ、もう1回聴かせて…」

 

 

気が付けばジュディとホワイティングはジョニー・マーサーのすぐ横で、『Blues in The Night』を練習し始めていた。

 

結局この席でジョニー・マーサーは7回も『Blues in The Night』を歌わされることになったそうだ…

 

 

よかった。修羅場にならなくて。

 

 

せやけど、なんか引っ掛かるな…

 

この歌、そこまで凄い曲か?

 

コード進行は単純なブルースやし、歌詞もそこまで大絶賛するほどのものとは思えへん。

 

前回この曲がアカデミー歌曲賞で本命視されてたっちゅう話の時も、正直「?」って感じやったわ…

 

 

確かに「どうってことない」歌詞だよね。

 

ママが「男の習性」を娘に教えるって、昔から歌われている典型的なブルースだもん。

 

 

確かにそうだね。こんな歌詞だから。

 

 

私がまだポニーテールだった頃

ママは私にこう言った

男は甘い言葉をささやいて

女に散々期待だけさせといて

ことが済んだらハイさようなら

男は二つの顔をもつ

捨てられた女は夜にひとり

ブルースを歌う羽目になる

 

雨が降って来たみたい

夜汽車の汽笛が聞こえる

ウーウィー!

ママは私にこう言った

聞こえるかしら?

高架橋を渡る列車の寂しげな汽笛の声が

ウーウィー!ウーウィー!ガタンゴトン

汽笛だけがこだまする

夜のブルースの中で

 

夜風に揺られて木々が泣く

月明りも消えてしまったそんな夜

もしもあなたがブルーな気分だったら

思い出すのよ、私の言葉を

そしてモッキンバードの悲しい歌を

あの男もわかっていたの

このまま行ったらマズいってことを

そしてそれは正しかった

 

 

 

なんでこれが「アカデミー歌曲賞確実」で「信じられない歌」で「今まで聴いた中で最高の歌」なんだ?

 

どう考えても「盛り過ぎ」だろ。社交辞令じゃないのか?

 

 

ものごとの「うわべ」だけ見てるから、そう思うんだろうね。

 

でも僕もそういう生き方をしてみたかったな…

 

それだったら毎日考えることも少なくて楽チンな人生だったのに…

 

 

なぬ!?

 

 

この歌、「母から娘への忠告」を歌ってるようで、実は全く違うことを歌っているんだ。

 

僕が言ってる意味、もうわかるよね?

 

ジョニー・マーサーに死ぬほど憧れていたトム・ウェイツがデビューアルバム『クロージング・タイム』でやったことといえば…

 

 

また聖書ネタ、イエス・キリストの歌か!

 

 

その通り。

 

この『Blues in The Night』という歌は、歌詞が完璧なダブルミーニングになっていて、極めて高度な「隠れゴスペルソング」だといえる。

 

その切れ味が余りにも素晴らしかったので大絶賛されたんだ。

 

 

てか、ずっとこのパターンばかりなんですけど…

 

 

文句は僕にでなく、ジョニー・マーサーやトム・ウェイツに言っておくれ。

 

まあそれくらい西洋人にとって聖書というのは重要なものなんだ。いろんな意味で「無いと生きていけない」くらいにね。

 

 

というわけで、歌詞を見ていこうか。

 

My mama done tol' me
When I was in pigtails
My mama done tol' me
A man's gonna sweet-talk and give you the big eyes
But when the sweet-talking's done
A man is a two-face, a worrisome thing 
Who'll leave you to sing the blues in the night

 

 

いきなり「豚の尻尾」が出てくるんは、ジョークやったんか。

 

最初に軽くジャブ打っとく、みたいな。

 

 

だね。

 

イエスの教えは小アジアやローマで「非ユダヤ化・普遍化」されるまで「ユダヤ教の改革派」みたいな部分があった。

 

イエスはあくまで「ユダヤの王」として死に、生前も「律法は大切だ」と語ってた。信徒も割礼や戒律を重視していたからね。

 

つまり豚は不浄だと考えていたはず。

 

それを歌の出だしに、さり気なく入れちゃうあたりにジョニー・マーサーのセンスを感じる。

 

 

じゃあ目を見開かせる「sweet-talk」ってのは…

 

 

イエスが説いた教えや預言のことだね。

 

だから「sweet-talk(預言)」が「done(成就)」されると、「who'll leave you(あなたを残して行ってしまう)」んだ。

 

そして残された者は「the blues」を歌うことになる。

 

前も話したね、歌の中に「the blues」が出て来た場合、どんな意味になることがあるのかを…

 

 

ブルースは「スリー・コード」だから、父と子と聖霊、キリスト教の「三位一体」のことで〜す!

 

 

森山直太朗いわく「ろくでなしのブルースをスリーコードで歌にした」やな。

 

森山直太朗『明けない夜はないってことを明けない夜に考えていた』

 

 

その通り。

 

そうすると「A man is a two-face(男は二つの顔を持つ)」もわかるよね?

 

 

「天の父」であり「人の子」でもあるイエス・キリストのことだ!

 

 

『ヨハネによる福音書』では、イエスが「A man is a two-face」を語る。

 

14:8 ピリポはイエスに言った、「主よ、わたしたちに父を示して下さい。そうして下されば、わたしたちは満足します」。

14:9 イエスは彼に言われた、「ピリポよ、こんなに長くあなたがたと一緒にいるのに、わたしがわかっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのである。どうして、わたしたちに父を示してほしいと、言うのか。

 

 

ジョニー・マーサーに座布団1枚!

 

 

実に鮮やかだよね。では2番にいってみよう。

 

Now the rain's a-fallin'
Hear the train a-callin, "whoo-ee!"
My mama done tol' me
Hear that lonesome whistle blowin'

'cross the trestle, "whoo-ee!"
My mama done tol' me
A-whooee-ah-whooee ol' clickety-clack's
A-echoin' back th' blues in the night

 

 

いきなりゴスペルソングの二大キーワード「rain(雨)」と「train(列車)」が登場だ!

 

 

「雨」は「主のめぐみ」や。

 

そんで「列車」は「天国へ導くもの」やな。

 

 

だからここでは表向き「猥歌」になっているんだ。

 

古いブルースで汽笛の音「whoo-ee(ウーウィー)」とは「アレの時の声」で、「clickety-clack(ガタガタゴトゴト)」は「アレの時の物音」なんだよね。

 

のちの「rockn' roll」みたいなものだ。

 

 

さすが古いブルースやジャズのレコードを2000枚以上持っていただけあるな(笑)

 

 

黒人音楽バーのマスターを10年以上やっていったからね。僕のウンチクは筋金入りだ。

 

さて、2番は表向きはエロ歌になってるんだけど、本当の意味は違う。

 

「rain」とは「イエスが十字架で死んだ時(メシアの預言が成就した時)に降った主の雨」のことで、「train」とは「地上から天国への移動」を意味している。

 

そしてその状況を詳しく説明する歌詞が続く。

 

Hear that lonesome whistle blowin'

'cross the trestle, "whoo-ee!"

 

 

ああ!「'cross(across)」だ!

 

トム・ウェイツの『CLOSING TIME』で「close・across・cloth」が「cross(十字架)」を意味していたのと一緒!

 

 

「the trestle」っちゅうのは何や?

 

 

「trestle」とは「架台」のこと。木材や鉄骨を組んで何かを支えるものだね。

 

 

そして列車が通る「trestle」とは、これのことだ。

 

 

 

「'cross the trestle」で「架台を十字架にする」ってことだったのか…

 

 

つまり「十字に組まれた架台の上の、ひとりぼっちの男の口笛を聴け」という意味になっていたんだね。

 

だけど「男の口笛」は「こだま」となって虚しく響くだけだと歌われる。

 

これは十字架でイエスが天に向かって叫んだ言葉のことだね。

 

 

エリ・エリ・レマ・サバクタニ

わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか?

 

 

 

2番も完璧だな…

 

 

そしてCメロが登場する。この歌で最大の見せ所だ。

 

ここが「何のシーン」を歌ったものなのか気付いた時、僕は震えたね…

 

The evenin' breeze'll start the trees to cryin'
And the moon'll hide it's light
When you get the blues in the night
Take my word,

the mockingbird'll sing the saddest kind o' song
He knows things are wrong, and he's right

 

 

なんだろう?

 

「最も悲しい歌を歌うモッキンバード」って誰のことかな?

 

 

「もしあなたが夜にブルーな気分になったなら」?

 

やっぱり「あの夜」しかないやろ…

 

イエスがめっちゃブルーになったゲッセマネの夜や…

 

 

その通り。

 

Cメロは「ゲッセマネの夜」のシーンを歌ったものだったんだね。

 

 

風に揺られて泣く樹々…

 

隠れてゆく月…

 

ブルーな気分になる「あなた」…

 

悪いと知りながら最も悲しい歌を歌うモッキンバード(お喋りな鳥)…

 

そしてそれは正しいことだった… 

 

 

たぶんこの絵が元ネタになっているよね。

 

『ゲッセマネの祈り』ジョルジョ・ヴァザーリ

 

またこの絵か!

 

トム・ウェイツ『CLOSING TIME』と全く同じパターン!

 

 

若き日のトム・ウェイツは、よほどジョニー・マーサーが好きだったんだろうね。

 

だから丸っきり同じ手法を使ったんだ。

 

 

モッキンバードは「イスカリオテのユダ」のことやったんか…

 

せやから「彼は悪いことだとわかっていた。そして彼は正しかった」なんや…

 

ユダが裏切らへんかったら、メシアの預言は成就せん…

 

つまり「裏切り」は「正しい」…

 

 

そう…

 

人は時に誰かを裏切らなければ生きていけない…

 

 

ゆ、湯田さん!

 

 

あなたはここにいてはいけない人…

 

さあ、行くんだ。あなたには帰る場所がある…

 

 

はい…さようなら…

 

 

 

やれやれ、危ないとこだった…

 

未亡人のストーカーなんてシャレにならないよな。

 

 

おかえもん多層ユニバースにフラッシュポイントで穴が開き、アース2からこっちへ抜け出して来たんとちゃうか?

 

 

何言ってるのか全然意味わかんねえよ(笑)

 

 

さて、これでこの歌の「凄さ」がわかったと思う。

 

「甘い言葉で誘惑し、やることが済んだら逃げてしまう男」

 

のことを歌っているようで、実は

 

「愛の教えを説き、預言が成就したら天へ帰ってしまった男」

 

のこと、つまりイエス・キリストのことを歌っていたんだね。

 

 

これなら確かに驚くのも納得だ。

 

「え…?なに?もしかして?おお〜!!!」ってなるよな。

 

 

だね。

 

さてお終いに、ジョニー・マーサーの『Blues in The Night』の影響を正しく受け継ぐ日本の『夜のブルース』をひとつ紹介しよう。

 

 

待ってました!黒沢明とロス・プリモスか?

 

 

五木ひろしの『夜明けのブルース』だよ。

 

 

 

ギターソロ、めっちゃカッコいい!

 

野村義男や野口五郎…、いやカルロス・サンタナみたいだ!

 

 

レーモンド松屋が作り五木ひろしがヒットさせたこの歌は、1992年のレコード大賞で作曲賞も受賞したほどの名曲だ。

 

そして数ある日本歌謡界の『夜のブルース』の中で、唯一、ジョニー・マーサーの『Blues in The Night』を正しい形で引用した作品でもある。

 

 

どゆこと?

 

 

まず1番。歌詞をよく考えてごらん…

 

このグラス飲み干せば帰ると

言えばおまえが絡みつくから

すねてる肩をそっと引き寄せれば

膝にもたれて耳元ささやく

秘密に出来るの 誰にも言わずに

トキメキこころは 運命(さだめ)と信じて

 

 

ああ〜〜!

 

「グラスを飲み干したら帰る」って…

 

ゲッセマネでイエスが祈った言葉「この杯をわたしから過ぎ去らせてください」じゃんか!

 

 

描かれるポーズが、完璧にこの絵やんけ…

 

『ゲッセマネの祈り』カール・ハインリッヒ・ブロッホ

 

 

もうそのまんま過ぎて感動的だよね。

 

僕、この歌を初めて聴いた時、軽く法悦状態になったよ。

 

特にこのサビの部分で…

 

ここは松山 二番町の店

渋い男の夜明けのブルース

 

 

なんで?どこが?

 

 

だって「松山」だよ…

 

 

せ、せや!

 

ゲッセマネはオリーブ山やった!

 

せやから「松山」なんや!

 

 

そうなの〜〜!?

 

 

では2番は何のシーンかわかるかな?

 

かっこつけて一人タクシー乗っても

後ろ髪引く別れ口づけ

ひきかえしたら思いっきり抱きしめ

夜のしじまにとけてみようか

秘密に出来るの きっと最後の恋だと

トキメキこころは 見つめ合う目と目

ここは松山 二番町の店

シャレた女の夜明けのブルース

 

 

私の名前、呼んだ?

 

 

うわ!また出た!

 

確かに今から呼ぶところだったんだけど…

 

『ユダの接吻』ジョット・ディ・ボンドーネ

 

松山か…

 

一度行ってみたかった…

 

 

あんた刑務所行くんじゃなかったの?

 

夫の殺人未遂で…

 

 

松山にもあるよ。

 

 

おじさま…

 

私が出所する時、迎えに来ていただけますか?

 

 

ええ、もちろんですとも。

 

そして二番町の店で出所祝いをしましょう。

 

カラオケでこの歌を歌っちゃおうかな。

 

 

その時はまた…

 

わたくしの足を洗ってくださるかしら…

 

 

もちろん。小豆島産のエクストラ・バージン・オイルでね。

 

 

 

よかった…

 

ではその日が来ることを楽しみにして、刑期を勤めてまいります…

 

さようなら…おじさま…

 

 

 

やっと帰って行った…

 

もう戻って来ないよな…

 

 

うん、大丈夫だと思うよ。

 

 

でも、これまで登場した単発キャラも、たまには出してあげないと可哀想かも…

 

 

せやな。オモロイ奴も仰山おった。

 

 

さて、次回紹介する曲は、またしても名曲中の名曲『Skylark(スカイラーク)』だよ。

 

お楽しみに。

 

 

なんだかお腹空いてくるな、そのタイトル。

 

今から夜のファミレスとシャレこむか!

 

 

いいねえ。たまには編集会議でもしようか。

 

 

 


 

 

JUGEMテーマ:音楽

「夜のブルース」前篇(Blues in The Night)〜ジョニー・マーサー徹底解剖6

  • 2018.11.04 Sunday
  • 18:34

 

 

 

 

 

さて今回は、ジョニー・マーサーの名声を決定づけた名曲『Blues in The Night』(ブルース・イン・ザ・ナイト)を取り上げよう。

 

 

日本では邦題の『夜のブルース』のほうが有名かな。

 

 

熱唱だね、キャロラインお姉さん!

 

だけど『夜のブルース』って邦題は、なんだかイマイチ…

 

演歌とかムード歌謡みたい(笑)

 

 

『夜のブルース』といえば、黒沢明とロス・プリモスやで。

 

ちなみに『銀座 夜のブルース』は石原裕次郎や。

 

 

五木ひろしの『夜明けのブルース』なんてのもあるけどね…

 

 

さて、この『Blues in The Night』は1941年に映画の主題歌として発表され、大ヒットを記録した。

 

翌年のアカデミー賞でも歌曲賞にノミネートされ、最有力候補とされていたんだ。

 

だけど大方の予想を裏切り、なぜか受賞を逃してしまうという「事件」が起こる…

 

この「事件」がきっかけで、アカデミー歌曲賞のルールが変更される事態になったという、いわくつきの歌なんだよね…

 

 

なにそれ!?

 

めっちゃ気になる!詳しく教えろ!

 

 

あわてない、あわてない。

 

この「日本の隠れゴスペルソング群」の代表曲『ははうえさま』でも聴いて、心を落ち着かせて。

 

 

 

「日本の隠れゴスペルソング群」って世界遺産みたいだな。

 

 

『ははうえさま』や『サザエさん』のオープニング&エンディングの歌は「日本の隠れゴスペルソング群」として世界文化遺産登録してもいいくらい、日本人にとって重要なものだと思うんだけどね。

 

他にもまだまだあるんだよ。

 

例えば…

 

 

それは別の機会にやってくれ!

 

とんでもなく長くなりそうな予感しかしない!

 

今は『夜のブルース』に集中しろ!

 

 

ブ〜ラジャ―!

 

まず映画『Blues in The Night』の話から始めよう。

 

この映画の原作はブロードウェイのミュージカルだ。

 

あのエリア・カザンが関わっていた作品で、映画の脚本もエリア・カザンが書くはずだった。

 

ニューヨークで大成功していたカザンの、全国区進出記念作としてね…

 

Elia Kazan(1909 - 2003)

 

 

ああ、聞いたことある名前。

 

たしか女優ゾーイ・カザンのおじいちゃんだよね、この人。

 

 

 

なにが「ゾーイ・カザンのおじいちゃん」やねん!

 

『欲望という名の電車』『紳士協定』『エデンの東』『波止場』『群集の中の一つの顔』などで知られる、20世紀のアメリカ演劇・映画界を代表する大演出家や!

 

 

だけど映画界では苦労したんだ…

 

NYの演劇界での名声を引っ提げて西海岸へやって来たカザンだったけど、1940年当時のハリウッドでは、いくらニューヨークで有名人でも、無名の新人扱いだった…

 

脚本家なんて「いくらでも代わりのいる」使い捨ての存在だったんだね…

 

 

コーエン兄弟の『バートン・フィンク』みたい(笑)

 

 

 

そしてコロコロと変わるスタジオの方針によって、とうとうエリア・カザンの脚本はボツにされてしまった。

 

 

ええ!?

 

バートン・フィンク「みたい」じゃなくて、バートン・フィンク「そのまんま」じゃんか!

 

 

脚本をボツにされたカザンは、脇役の「クラリネット奏者」として映画に出演することになる。

 

ニューヨークではイケイケの演出家だったカザンにとって、まさに屈辱だよね…

 

後にカザンはこう語っている。

 

「監督のアナトール・リトヴァクの仕事を見て、僕の方が絶対に上手く撮れると思った」とね。

 

このとき自信が確信に変わったカザンは、1945年に初監督作品『A Three Grows in Brooklyn(ブルックリン横丁)』で華々しくメジャーデビューする。

 

『Blues in The Night』での屈辱が、彼の演出家魂に火をつけたんだね。

 

それでは、脚本をボツにされたエリア・カザンが脇役のクラリネット奏者を演じた映画『Blues in The Night』の予告編をどうぞ…

 

 

 

あのクラリネット奏者がゾーイ・カザンのおじいちゃんなのか!

 

 

ちょい待てぇ…

 

どアップになったラッパの穴に吸い込まれていく描写、どっかで見覚えが…

 

 

 

コーエン兄弟の『BARTON FINK』は、この『Blues in The Night』が元ネタなんだね。

 

わざわざニューヨークから招かれたのに脚本をボツにされたエリア・カザンを主人公のモデルにしただけじゃなく、各シーンがこの映画へのオマージュになっているんだ…

 

 

 

ズコっ!クリソツすぎ!

 

 

 

だからバートン・フィンクは自分がゲイじゃないかと悩んでいたんだね。

 

エリア・カザンが『Blues in The Night』で「クラリネット奏者」だったことが元ネタなんだ(笑)

 

 

 

 

フランスの猥歌『クラリネットをこわしちゃった』や…

 

あれはそもそも童謡とちゃう…

 

 

コーエン兄弟は「ハリウッドの赤狩り」をネタにした映画『ヘイル、シーザー!』も撮っているし、よっぽどエリア・カザンがお好きと見える…

 

アメリカ社会では超少数派である「オスマン・トルコ帝国で生まれたギリシャ人」というバックボーンに親近感を覚え、「脚本も一流、演出も一流」というスタイルに強い憧れを抱いたのだろうか…

 

 

確かにコーエン兄弟もアメリカ社会では少数派のユダヤ人だし、自分たちで脚本を書くことにもこだわってるよな。

 

Coen Brothers (Ethan & Joel)

 

 

さて、映画『Blues in The Night』は1941年の11月にアメリカ西海岸エリアで公開され、その素晴らしい音楽で大きな評判となった。

 

そして12月、アメリカ東部でも公開される。当然ヒットが予想されていたわけだ。

 

だけどトンデモナイ出来事が起こってしまったんだよね…

 

 

トンデモナイ出来事?

 

 

アメリカ時間の12月7日、日本がハワイの真珠湾を攻撃し、アメリカとイギリスなどに宣戦布告をしたんだ。

 

これまでアメリカはヨーロッパの戦争に不介入の立場を貫いており、ドイツのフランス占領も黙認していた。

 

だけどそのアメリカが、ついに第二次世界大戦に参戦することになったんだね。しかも大西洋と太平洋の両サイドで。

 

アメリカ社会は一気に戦争モードに変わった。

 

退廃的なムードが漂う『Blues in The Night』みたいな映画は、見向きもされなくなってしまったんだよ。

 

 

なるほど。確かにあんな暗い映画を観てる場合じゃない。

 

 

だけどジョニー・マーサーとハロルド・アーレンが手掛けた音楽は素晴らしい出来だったので、年明けの1942年のアカデミー賞では、主題歌の『Blues in The Night』が歌曲賞にノミネートされることになった。

 

しかも下馬評では『Blues in The Night』が本命視されていたんだよね。

 

 

ジョニー・マーサーとハロルド・アーレン?

 

こ、このコンビは…

 

 

そう。

 

のちに名曲『Come Rain or Come Shine』や『One for My Baby(and One More for the Road)』を生み出すことになるコンビだ。

 

1940年代の音楽シーンにおける最強タッグだね。

 

ちなみにハロルド・アーレンは『オズの魔法使い』の主題歌『Over the Rainbow(虹の彼方に)』の作曲者でもある。

 

 

 

元祖レノン=マッカートニーみたいなもんやな。

 

 

ボブ・ディランやポール・マッカートニー、ポール・サイモン、トム・ウェイツをはじめ、1940年代に生まれて、1960年代に活動を始めたシンガーソングライターで、このコンビに憧れていなかった人はいないと思うよ。

 

 

さて、アカデミー賞当日となり、歌曲賞が発表された。

 

だけどその歌の名前がアナウンスされると、会場は騒然となったんだ。

 

本命視されていた『Blues in The Night』ではなく、まったく期待されていなかった『The Last Time I saw Paris』が選ばれたんだよね。

 

 

「まったく期待されていなかった」は失礼やろ。

 

いちおうノミネートされとるんやさかい…

 

 

いや、本当に誰も予想してなかったんだよ。

 

だって曲を書いたジェローム・カーンとオスカー・ハマースタイン2世が二人とも授賞式に来ていなかったくらいだからね。

 

本人たちですら、まさか選ばれるなんて思ってなかったんだよ。

 

それくらい『Blues in The Night』が大本命視されていたんだ。

 

 

なんでそんな事態になってしまったの?

 

 

戦争だよ。

 

『The Last Time I saw Paris(パリを最後に見た時)』という内容が、戦意高揚にピッタリだったんだ。

 

欧州におけるアメリカの目標は「フランス解放」だった。「パリからナチスを追い出せ」が合言葉だったんだね。

 

戦時中、このアカデミー賞授賞式というのはラジオで各米軍キャンプにも届けられ、米兵たちを励ます役割を担わされた。

 

だからそれにふさわしい歌が選ばれたというわけだ。

 

 

芸術の政治利用か…

 

 

でもそれは当のジェローム・カーンとオスカー・ハマースタイン2世を困惑させることになった。

 

そもそも二人が「受賞はない」と考え、授賞式にも出席していなかったことには理由がある。

 

実はこの『The Last Time I saw Paris』という曲は、映画用に作られたものではなく、過去に別の形で発表されていたものだったんだ。

 

だから受賞なんてするわけがないと考えていたんだね…

 

 

へ?

 

 

そもそもアカデミー歌曲賞は「映画のために作られた歌」が選考対象だ。

 

だけどそれが規約に明言されていなかった。

 

当たり前のこと過ぎて、書かれていなかったんだ。

 

だから当局にゴマをすりたいハリウッド関係者は『The Last Time I saw Paris』をノミネートさせ、受賞までさせてしまったんだよ。

 

 

おそるべし、業界の忖度…

 

 

だけど、音楽家仲間のジョニー・マーサーとハロルド・アーレンから歌曲賞を奪ってしまったことになったジェローム・カーンとオスカー・ハマースタイン2世は、声明を発表した。

 

アカデミー歌曲賞の規定に「映画のために作られた曲」という文言の明文化を望む声明をね…

 

 

男気あるな!

 

 

実に面白い話だよね。

 

だけど、この『Blues in The Night』という歌には、他にも興味深い逸話があるんだ。

 

それはジョニー・マーサーとハロルド・アーレンが曲を完成させた、1941年のある日のこと…

 

 

うんうん。

 

 

苦心の末に曲を完成させたジョニー・マーサーは、早く誰かに聴かせたくて、仲の良かった歌手マーガレット・ホワイティングに電話した…

 

 

 

 

おい、マーガレット!

 

凄い歌が完成した!今すぐ聴きに来たまえ!

 

 

 

あら、それはバッド・タイミングだわ。

 

今夜はお客さんが来てて、いまからディナーなの。

 

行けるとしても遅くなっちゃう…

 

 

 

私の最高傑作と毎晩食べるディナーのどっちが大切だと言うんだ!?

 

 

 

でもそのお客さんがスペシャルなのよ。

 

ミッキー・ルーニーとメル・トーメとマーサ・レイ…

 

そしてジュディ・ガーランドも来てるの。

 

 

 

 

フ、フローレンス・ガム(ジュディの本名)が!?

 

なぜそれを早く言わん!

 

今から俺とハロルドでそっちへ向かうからな!

 

今夜のディナーは俺様の生演奏付きだ!こんにゃろめ!

 

 

 

「こんにゃろめ」は言わないでしょ(笑)

 

でもジュディ・ガーランドとジョニー・マーサーといえば…

 

 

そう…

 

シュガーの『ウェディング・ベル』の元ネタになったとされるジョニー・マーサーの名曲『I Remember You』は、同業の音楽家デヴィッド・ローズとジュディ・ガーランドの結婚式の鐘の音を聴いた時の切ない想いを基に作られた、と言われている。

 

詳しくはコチラで…

 

『I REMEMBER YOU』の「You」は誰のこと?

 

 

なんかちょっとドキドキする展開じゃんか。

 

 

それだけじゃないんだ。

 

そこに同席していたマーサ・レイという喜劇女優は、デヴィッド・ローズの奥さんだったんだよね。

 

このデヴィッド・ローズ氏なる人物は、1941年の5月にマーサ・レイと離婚して、7月にジュディ・ガーランドと再婚したんだよ…

 

 

ええ!?

 

じゃあこのディナーの日は…?

 

 

1941年の何月何日のことかはわからないけど、少なくともローズ氏とマーサ・レイが離婚する前…、5月以前のことだろうね。

 

新旧のローズ夫人が仲間内のホームパーティーに同席するとは考えられない…

 

 

もし、ローズ氏とジュディの交際が秘密にされていたら、離婚した5月から再婚する7月までの間ってことも考えられるよね?

 

ほら、旦那さんと別れたマーサ・レイを励ます会みたいな感じで、仲のいい友達が集まって…

 

 

可能性はなくもないけど、果たしてそんな場にジュディ・ガーランドが来るだろうか?

 

旦那を奪う形になった当の本人がノコノコと…

 

 

そ、そうだった…

 

 

せやけどジョニー・マーサーもジュディ・ガーランドと「密かな関係」があったと言われとる…

 

何かが起きそうな予感がプンプン臭うやんけ…

 

いったいどうなるんや、このディナーパーティーは…

 

 

まさに「男は二つの顔をもつ。そして捨てられた女はブルースを歌う」と歌われる『Blues in The Night』にふさわしい展開だね。

 

盛り上がってきたところで、後篇に続くとしよう。

 

 

あ〜!気になる〜!

 

はたして修羅場ラバンバだったのか!?

 

 

 

僕にはこの動画のシチュエーションのほうが気になるけどね…

 

だけどまあ安心してくれ。マーガレット・ホワイティングの家でのディナーパーティーは修羅場にはならなかったらしい。

 

後年、マーガレット・ホワイティングとメル・トーメがジョニー・マーサーメドレーの中で、当時を思い出しながら和やかに『Blues in The Night』を歌っているのが、その証拠だ。

 

 

 

でも年月が経ったから、こんなに和やかに思い出せるって可能性もあるぞ…

 

 

どうしても修羅場にもっていきたいようだね(笑)

 

土曜ワイド劇場とかの見過ぎじゃない?

 

 

お前が言うな!

 

前回まで三文ミステリー調の猿芝居をうちらにやらせてたくせに!

 

 

てへぺろ。

 

では後編でお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:音楽

「P.S. I LOVE YOU殺人事件」完結篇〜ジョニー・マーサー徹底解剖5

  • 2018.11.03 Saturday
  • 08:43

 

 

 

 

 

では最後の手紙の謎解きをしましょう。

 

 

その前に前回を未読の方はコチラをどうぞ!

 

「P.S. I LOVE YOU殺人事件」後篇

 

 

登場人物紹介も作っといたで。

 

 

 

ありがとう。

 

さて湯田さん、あなたは御主人の書いた「最後の手紙」を使って、あたかも御主人が「ワケアリの資金に穴を開けて、裏社会の人間であるブラウン兄弟に命を狙われている」と思わせ、僕らをミスリードさせようとしましたね…

 

 

 

・・・・・

 

 

でも「ブラウン兄弟」なんて最初から存在しなかった…

 

もちろん「穴を開けてしまったワケアリの金」もです…

 

たまたま御主人の書いたものが「そういうふうにも読めた」ため、架空のストーリーをでっち上げたんです…

 

 

・・・・・

 

 

では「最後の手紙」を詳しく見ていきましょう。

 

Write to the Browns just as soon as you're able
They came around to call
I burned a hole in the dining room table
And let me see, I guess that's all
Nothing else for me to say
And so I'll close but, by the way
Everybody's thinking of you
P.S. I love you

 

 

せやったら「The Browns」っちゅうのは、いったい誰のこと言うとるんや?

 

 

簡単だよ。

 

この「手紙」は福田氏が「イエスの死後の物語」を想像して書いた詩だった。

 

第2の手紙で言及された「雨が降った昨日」というのは、十字架で死んだ日のことだ。

 

つまり、いわゆる「13日の金曜日」のことだね。

 

聖書にはイエスが死んだ時に「水が落ちて来た」と書かれており、映画などでもイエスの死の際には「雨」が降る光景がよく描かれる。

 

最初の手紙では「第9の刻(午後3時)」に「ベッドに入る(死んで墓に入る)」と、第2の手紙では「きのう(13日の金曜日)雨が降った」とジョークを飛ばしたわけだ。

 

 

・・・・・

 

 

!!!!!

 

 

さて、ここでちょっと知恵が必要だ。

 

手紙の中の「今」は土曜日。

 

昨日は十字架に架けられ、明日は復活する日だね。

 

そして福田氏は「The Brownsに急いで手紙を書いてくれ」とイエスの想いをジョークをこめて代弁した。

 

今日「The Browns」にフラっと来られちゃマズいわけだ…

 

来るのは明日の日曜日でないと困るんだよ…

 

なぜなら「二日のちに蘇る」と言っちゃってるからね…

 

 

さて、この「The Browns」とは、いったい誰のことだろう?

 

 

土曜やのうて日曜に来るべき人間?

 

 

わかった!

 

イエスの墓の様子を見に来た、マグダラのマリアを含む数名の弟子たちだ!

 

日曜の朝に来ないと困るもんね!

 

きっと天使の手配もしてあるだろうし(笑)

 

 

その通り。

 

 

せやけどなんで「The Browns」なんや?

 

 

それは…

 

特に意味はないんじゃない?

 

 

!!!!!

 

 

やかましいわ、マイマイ。お前に聞いとるんやない。

 

 

「The Browns」とは「中東・パレスチナに住む人々」のことを意味するんだよ。

 

サハラ以南のアフリカ人の肌の色は「ブラック」、東アジア人は「イエロー」としたように、北アフリカから中東・中央アジア・インドにかけてのエリアに住む人々の肌の色は「ブラウン」とされたんだ。

 

聖書の登場人物は、ローマ人・ギリシャ人を除けば皆「ブラウン」だよね。

 

 

 

なるほど。言われてみれば…

 

 

そして問題の「I burned a hole in the dining room table」だ。

 

これには僕もすっかり騙された。

 

「burned a hole(in the pocket)」で「大金を手にして金遣いが荒くなる」という意味だからね。

 

しかも「in the dining room table」が、まるで「最期の晩餐」のワンシーンのことみたいに聞こえるから余計にタチが悪いんだ…

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』では、イエスを売ったユダは、その代価である銀貨の入った袋を「ダイニングルームのテーブルの上」に置いていたからね…

 

まるで本当に福田氏がワケアリのお金を横領して「裏切り者扱い」されていたみたいに聞こえたのも、これじゃあ仕方がないな(笑)

 

 

 

・・・・・

 

 

じゃあ本当は、どうゆう意味だったの?

 

 

「dining room」が「dying room」にかけてあったんだよ。

 

イエスの死体が収められた墓室のことだね。

 

そこに「burned a hole(穴を開けておいた)」というんだ…

 

つまり、これのことだろうね(笑)

 

 

 

ああ…

 

 

「I'll close(もう眠くなってきた)」というところも面白いよね。

 

トム・ウェイツの『CLOSING TIME』同様に、「close(終わる)」には「cross(十字架)」が掛けられている。

 

そして手紙のラストは、これまで以上の「主を賛美する言葉(Psalm)で」で締め括られるんだ。

 

Everybody's thinking of you
P.S. I love you

あらゆる者が、あなた様を想い

その栄光を称えることでしょう

わたしは主を愛しています

 

 

実は完璧に主イエス・キリストを賛美する内容になっていたんだ…

 

文才というか詩才があったんだな、福田音吉氏は…

 

 

 

 

そして福田氏がベッドの中でこの「詩」を書きあげた頃、マイマイが部屋へやって来たのです…

 

地権者のひとりが、どうしても福田氏と今すぐ会いたくて近くの店で待っていると伝えに…

 

もちろんそんな人物はいません…

 

でも何も知らない福田氏は、マイマイの案内でホテルから出ると裏路地に向かい、そこで暴漢に襲われてしまいました…

 

 

湯田さん、あなたの計画通りに…

 

 

 

・・・・・

 

 

な、なんやと!?

 

未亡人が旦那の殺害を計画したァ?

 

 

ナンボク…

 

今まで気付いてなかったの?

 

何のために断崖絶壁へ舞台が移ったと思ってたんだよ…

 

 

い、いや…

 

たまには気分転換もせなアカンかなと…

 

 

・・・・・

 

 

ちょい待て、マイマイ…

 

ひょっとして未亡人とエエ仲なんとちゃうか!?

 

お前らデキとるんやろ!

 

 

そこもいま気付いたのか…

 

 

私たちは決してそんな「やましい関係」ではありません…

 

マイマイは私の悩みや心の苦しみを、ずっとそばで聞いててくれて…

 

主人にも言えない私の心の奥深くにある想いを、マイマイはただひとり理解してくれて…

 

 

そうゆうのがアカンのや…

 

あんたがそうゆうつもりやのうても、男っちゅうもんは勘違いしてまう…

 

罪な女やで。

 

 

福田氏の度重なる無謀な事業計画に、あなたはもう心底疲れ果てていた…

 

実家の家土地まで抵当に入れられ、あなたは親族の間で相当肩身の狭い思いをしていたはず…

 

そんな時、いつもそばにいてくれたマイマイの優しさに、ふと魔が差してしまったのでしょう…

 

こんなに苦労ばかりしてきたんだから、自分は幸せになってもいいんだと…

 

若いマイマイとの、気苦労のない未来の生活を考えてしまったんですね…

 

 

・・・・・

 

 

福田氏は雇われた暴漢に襲われ命を落とし、マイマイも手筈通りに「大怪我」を負った…

 

そして翌日、あなたは実家でその報を受け、御主人の遺体が待つ首都へと向かいました…

 

到着した時の日付は、殺された夜から二日後の朝…

 

しかし、あなたが悲しみの「未亡人」を演じながら遺体安置室に入ると、予想外の出来事が待ち受けていました…

 

なんと福田氏の遺体が消えていたのです…

 

 

ま、まさか…

 

ゾンビになって外へ出て行ってもうたとか…

 

 

・・・・・

 

 

ねえナンボク…

 

本気で気付いてないの?

 

 

な、何に?

 

 

マスクを被ってて素顔が見えず、しかも声まで出せないキャラって、どう考えてもアヤシイと思わない?

 

それこそスケキヨさんと同じじゃんか…

 

 

っちゅうことは、何か?

 

マスクの下の素顔はマイマイやのうて…

 

ふ、福田音吉か!?

 

 

ご苦労様でした。

 

もういいでしょう、マスクを取っても。

 

ねえ、福田さん…

 

 

わおっ!

 

 

あ、あなた!

 

 

 

・・・・・

 

 

たまにあることなんだそうです。死んだと思われた人が、蘇生することって…

 

まるで聖書に登場するラザロのようにね…

 

あの時、完全には死んでいなかったんですよ、福田さんは。

 

二日後の早朝に安置室で蘇生して、湯田さんが訪れる前に抜け出していたんです。

 

 

では、あなた…

 

すべて気付いていたの…?

 

 

最初は何が何だかわからなかったよ…

 

だが意識がしっかりしてきて、陰からお前たちを観察しているうちに、ようやく事態がつかめてきたんだ…

 

正直、あまりのことに死ぬほど驚いたがな…

 

 

福田氏が陰から見ていたとも知らず、湯田さん、あなたは、マイマイの病室を何度も訪れていました…

 

おそらく計画の練り直しをしていたのですよね?

 

まさか死体が消えてしまうとは夢にも思っていなかったでしょうから…

 

そしてあなたは、福田氏の部屋に残されていた「手紙」を見つけました…

 

そこに書かれていた内容に注目したあなたは、ある「ストーリー」を思いつきましたね?

 

ワケアリの金に穴を開けてしまった御主人がブラウン兄弟なる悪党に命を狙われている…というストーリーを。

 

 

ああっ…

 

 

しかも「死んでもなお、愛する妻へ手紙を書き送る夫」という、一種の美談にもとれる筋書きです。

 

本当にうまいこと考えましたね…

 

早速あなたは退院したマイマイに福田氏の筆跡の練習をしてもらい、封筒に宛名を書き入れました。

 

そして自分宛てに送ったわけです。

 

 

あれ?本物のマイマイはどこに行っちゃったの?

 

 

先日、頃合いを見計らって、私はマイマイの前に姿を現した。

 

あいつはすぐさま自分の犯した罪を認め、泣きながら私に謝罪して来たよ。本当に申し訳ないことをした、とね。

 

今頃は警察署で全てを話し終えていることだろう。

 

 

ああ…なんてこと…

 

 

断崖絶壁という舞台を用意したのですが、どうやら無駄になったようです…

 

あなたは誰も殺してないんですからね。自分の命も粗末にする必要はありません。

 

まだ十分やり直せますから…

 

 

金田一さん…

 

 

何度も言いますが、金田一ではなく金田三(かねたさん)です。そして…

 

 

子供の頃から大好きだった樹木希林をリスペクトしている…でしたね。

 

 

最後の最後でようやく覚えてくれましたか。

 

 

なんかまた猿芝居が始まるみたいだぞ、おい。

 

 

僕からはもう何も言うことはありません…

 

それでは、お元気で…

 

 

あの…

 

ちょっと待って…

 

私も…連れてってください…

 

 

来た(笑)

 

 

私、探偵はまだ出来ないけど…

 

きっと覚えます!

 

こんな子供と鶴なんかより役に立ってみせます!

 

 

ハァ!?

 

 

 

私、私…お願い!

 

一緒に行きたい…

 

 

湯田さん、バカなこと言うんじゃないよ。

 

お前さんはこれからブタ箱でしっかり反省しなきゃならないんだ…

 

お日様の下で暮らせるのは、そのあとだよ。

 

 

おじさま…

 

 

ほら、聞こえるだろう?

 

あれはお前さんを迎えに来た埼玉県警のパトカーのサイレンの音だ…

 

またいつかどこかで会おう。地球の裏側あたりで…

 

さあ君たち、おいとまするぞ!

 

 

未亡人の「うなじ」っていいもんだなあ…

 

 

おめえ、残ってもいいんだぜ。

 

 

湯田さん、達者でな〜!

 

 

 

 

 

ありがとう。皆さん、さようなら…

 

 

行ってしまったか。

 

しかし、なんと気持ちのいい連中だろう…

 

 

私、ずっと昔からあの方を知っていたような気がするの…

 

ああ、私のお迎えが来てしまったわ…

 

これであなたとも、またお別れ…

 

 

 

 

くそっ!一足遅かったか!

 

ブラウン兄弟め、まんまと盗みおって!

 

 

 

いいえ、あの方は何も…

 

 

え?

 

 

ブ、ブラウン兄弟!?

 

 

奴らは国際指名手配中のブラウン四兄弟です。

 

 

ええ!?

 

 

よ、四兄弟?

 

彼らは三人でしたが…

 

 

あなたの部下マイマイというのが、残りのひとりなんですよ…

 

奴は手引き役として、あなたがた夫婦に接近したのです…

 

すべては何年も前から用意周到に計画されていたもの…

 

 

げげぇ!

 

 

奴らは、とんでもないものを盗んでいきました…

 

福田さんの巨大プロジェクトの開発資金を一切合切、そしてあなたの御実家の土地の権利書、そして、ついでに警察署内の貴重品すべてを…

 

 

 

・・・・・

 

 

では、失礼します!

 

ブラウン兄弟を追え!地の果てまで追うんだ!

 

 

 

 

 

サイナラ―、サイナラ―、サイナラ―...

 

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:音楽

calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    
<< April 2019 >>

hulu

wowow

U-NEXT

RAKUTEN

GEO

selected entries

categories

archives

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM